株式会社日本保育サービス「保育園の閉園にあたって、保護者の事情を確認する必要はない」←本気で言ってますか？

　私は株式会社日本保育サービスが運営する「アスク保育園」で給食調理員として働いているAと申します。2年前に労働組合に加入し、賃上げや未払い賃金の支払いを会社に求めています。

　2021年の4月末、突然会社から「2022年3月末日をもって閉園します。」と発表されました。
　しかし、10月になっても、勤務地の異動を希望した私には来年度の職場について何の音沙汰もありませんでした。そこで異動・労働条件の決定について協議するために団体交渉の申し入れをしました。

　株式会社日本保育サービスは、「入園する園児が減ったこと」「継続的な赤字構造」「経営状況が悪くなったこと」などを理由に閉園を決定しています。閉園が発表された直後から現在まで、保護者は来年度からの受け入れ先を必死に探し、職員は人員不足の保育園に振り分けられるか退職を選ばざるを得ない状況に追い込まれています。

　保育園は福祉施設の一つです。保護者や園児は二の次で、利益を第一に考える企業が保育園を運営して良いのでしょうか？

　この記事では、私たち組合の要求に対する会社の回答をもとに行った団体交渉について記してあります。利潤を求めて保育園を運営する企業の本音を知ってもらうために、多くの人にこの記事を読んでほしいです。

11月現在でも勤務地の候補園すら決められない。

　まず、私が来年度から勤務する異動先を年内に決定してほしい、少なくとも、候補園については、明らかにしてほしいということを会社に要求していました。
　しかし会社から来た回答は、「異動先の決定は、各事業場の人員の状況・将来の欠員の見込みや人員についての要望を踏まえて、既存の社員、新卒社員、中途採用社員も含めて、総合的に調整の上で決定を行う。それゆえ、現時点で候補先も含めて未定である。」というものでした。
　団交でも、この点を追及したところ、以下のような発言が会社からありました。

組合：閉園が決まっていて職員が異動しないといけないとなっている。こういった事情があるのに結局は欠員が出ないと異動できないのですか？

会社：異動や退職で空いたところに異動させる。

　閉園が発表された4月末に、「閉園する園で働く職員の異動希望は、他の（閉園しない）園の職員よりも優先される」とも説明されていたのに11月現在も私の勤務地は候補園すら上げられていませんでした。また、職員が異動希望を出しても結局は人の足りていない保育園にしか異動することができません。異動希望を出しても人の足りていない「空いたところ」に放り込まれるなんて身勝手すぎます。

「閉園にあたって、保護者への確認は必要ない」！？

　また、閉園するにあたって保護者に事情を確認したのかと質問したところ、会社からは驚くべき回答が返ってきました。

組合：閉園するにあたって保護者に事情を確認したのですか？
会社：してない。閉園を決定する前に保護者に話をするのは適切ではない。会社としては言わない。

組合：保護者に確認する必要はないと考えているということですか？
会社：なぜ確認する必要があるのですか？

組合：閉園まで１年以内というのは短すぎませんか？
会社：どのくらいだったら適切なのでしょうか？そんなにギリギリですか？

組合：閉園まで１年以内というのは会社としては問題はないと考えているのですか？
会社：回答しません。

組合：保護者に閉園を伝える時に、２年前などに伝えるのと、１年前に伝えるのは違うのではないですか？
会社：２年前だったら早く次の預け先が決まるんですか？

　閉園にあたって、保護者には事情を確認する必要はない、と会社は答え、挙げ句、そもそもなぜ確認する必要があるのかと逆に質問をしてきました。保育園を運営する会社であるにもかかわらず、保護者の事情は優先して考えるべきことでないと明言したのであり、非常に憤りを覚えます。

　そして、保護者の事情だけでなく労働者の事情も、また何より、親しくなった先生や友達のいる保育園で成長を積み重ねてきた子どもたちのことも会社はないがしろにしています。　自らの利益追求のことしか考えず、急な閉園で保護者や子ども、労働者の人生を振り回す日本保育サービスに対して、適切な対応をするよう、今後も求めていきます。

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