連載1回目:【株式会社アドバンテスト】「持ち帰り残業を労働時間として認めてください!」ストライキを実施しました。
総合サポートユニオンは2023年12月22日(金)にアドバンテスト(株式会社アドバンテスト (advantest.com))に対してストライキを実施しました。
ストライキの要求は、半導体技術者のAさんが行った持ち帰り労働時間が会社の黙示の業務命令に基づいたものであったことを、会社が認めることです。
2017年、組合員Aさんは自宅での200時間にも及ぶ長時間の持ち帰り残業などの結果、精神疾患に陥り、休業を余儀なくされました。
Aさんが長時間にわたる持ち帰り残業をせざるを得なかったのは、当時、同社で毎月9時間までの厳しい残業規制があったにもかかわらず、アドバンテストが適切な労務管理を行わず、従業員の持ち帰り労働を黙認していたからでした(こういう状況は法的には「黙示の業務命令」があったといえます)。
ところが、アドバンテストは、会社が明示的に持ち帰りを指示した事実はなく、Aさんが勝手に業務を自宅に持ち帰っていただけで、Aさんの持ち帰り残業は労働時間ではないと主張し続けています。会社は、その根拠として、他の従業員が業務を持ち帰っていないとも言い張っています。
しかし、Aさんが手元にある事実を分析し、団体交渉で会社にも事実関係の調査を要請する中で、プロジェクトチーム5名の内4名が日常的に会社のPCを自宅に持ち帰り、サービス残業(管理職1名除く)を行っている実態が明らかになりました。
組合は、管理職を除けば4名中3名もの従業員が日常的に持ち帰りサービス残業を行うことになった労働実態を詳細に把握するように求めましたが、アドバンテストは調査を拒み続けています。
一方でアドバンテストは全従業員に、内部通報(ヘルプライン)を利用すれば、事実関係を詳細に調査することを約束しています。しかし実際は、問題が生じると調査をせずに拒むような態度をとり続けます。この状態が維持されると、あらゆるハラスメントや労働問題に直面した被害者は適切に救済されず、会社の都合の良いように片付けられてしまいます。
そこで私たちは、過去の問題の再調査と合わせて、二度と同じ過ちを繰り返さない体制を整えるように抗議し、ストライキを実施しています。
◆これから持ち帰りが生まれたメカニズムについて連載していきます。
第4回に分けて、詳細を報告します。
-第1回:ストライキの実施報告(今回)
-第2回:持ち帰る残業を生み出したアドバンテスト社の「残業規制」
-第3回:アドバンテスト社の持ち帰り残業の実態 これが本当に自主的な持ち帰り?
-第4回:アドバンテスト社の時短ハラスメントの構造
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