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【聖ヨハネホーム闘争報告】 命と人権、民主主義を求めて市役所へ

 私の務めている社会福祉法人聖ヨハネ会の特別養護老人ホーム・桜町聖ヨハネホームでは職員の大量離職がいままさに進行中で、利用者や職員の命や安全性が脅かされている状態です。
 利用者の命を守ることや責任ある運営体制、私に対する不当な懲戒の撤回を求めて、法人に対し団体交渉を要求していますが、この緊急事態にもかかわらず法人は12月中の団交拒否など不誠実な態度に終始しています。
 これまでの経過については、以下のnoteもお読みいただけると幸いです。

1回 社会福祉法人聖ヨハネ会は、介護施設の利用者の命を守ってください
https://note.com/sguion/n/n9c3aa48da1e6
2回 桜町聖ヨハネホームで介護崩壊が目前に迫っています
https://note.com/sguion/n/n9242d51ab160
3回   「見せしめと隠蔽」から、「対話」に基づく開かれた聖ヨハネ会へ
https://note.com/sguion/n/n8ab8a05c10f1

■事実の調査がないまま進められた
 人格攻撃のための懲罰委員会

 聖ヨハネ会からユニオンあてに12月23日付で回答書が送られてきました。
 その中に、私に対して行われた表彰・懲戒委員会の詳しい経過が記された議事録など一連の資料がありました。
 私はそれを見てびっくりしました。

 せっかくなのでみなさんに、私がどんなことで懲戒委員会にかけられているのかお伝えしたいと思います。

・利用者が水を頼んだのに水をくれなかった。
・利用者がおむつ対応を頼んだが、遠いからめんどくさいようなことを言った。
・食堂でタブレットを入力していて、利用者からのお願いを断った。
・ホワイトボードに「過労死寸前」と書いた。
・(仕事がつらくて)「この場から逃げ出したいくらいだ」と言った。
・夜勤中に要望書をつくった(注:職員が大量離職のため苦しんでいることを改善してもらうため、法人本部に提出した要望書のこと)
・「本部と戦うぞ」と言った。そんなことを思っている職員は一人もいません。

 これらの懲戒事由はいずれも、「いつ」「どこで」など5W1Hが記されていないうえに、特に上記二つの「利用者に水をあげなかった」「おむつ対応をしなかった」は全く事実に反することでした。

 更に12月23日付で法人が開示した、私の懲戒のための懲戒委員会の議事録をみて私はとても驚きました。
 なぜなら12月1日に行われた懲罰委員会の1回目の議事録では、上記懲戒事由について一切事実確認がされていない上に、懲戒事由と全く関係のない「S職員に関して、ヨハネホーム職員への聞き取り内容」なる文書が出され、議題とされたのです(「S職員」というのは私のことです)。

 この「S職員に関して、ヨハネホーム職員への聞き取り内容」という文書は、ヨハネホームの職員に管理職が行った聴き取りの結果をまとめたものということで、私への事実確認のないまま懲罰委員会に提示されました。

 いくつかを抜粋すれば、私に関して以下のようなことがあるということになっていました。

「1、入職当初から自分の頭で決めたことにこだわり頑固なところがあった」
「19、協調性がない」
「21、やり方、方法を自己中心的に変える」
「24、ひとつひとつ、独り言が多い」
「28、前向きな発言がない」
「30、自己中心的な言動が多い」


 これは懲戒理由とは全く関係のない、私に対する人格攻撃だと思います。

 挙げられていた項目の中に「職員代表の仕事をしていて仕事をしない」という趣旨のことが繰り返し書いてあったのが不思議でした。

 園長代行の一人が私の調査をしていたことは分かっているのですが、それはちょうど法人が「職員代表の信任投票」なるものを始めた頃でした。この文書を法人が作成したのは、私を職員代表に選任させまいとしたのではないか、と私は疑義を抱かざるを得ません(結果としては信任されたのですが・・)

 さて、懲罰委員会の議事録に話題を戻しましょう。議事録を読み進めると、聖ヨハネ会の懲戒委員会がいいかげんで、不当なものであったのかがわかります。

 懲罰委員会の委員たちは、上記懲戒事由とは関係のない調査文書に関して私に事実確認を行わず、弁明の機会も設けずに、それを根拠に、私に介護の在り方を反省させるためのレポートを提出させる決定を行うのです。

 「大丈夫か、この人たち…」と私までが心配したくなる迷走ぶりです。

 この後の議事録をさらに追っていきましょう。
 
 第二回の懲罰委員会が12月5日に開かれました。
 この時に私は、懲戒事由に逐一反論し事実無根であることを明快に述べた反論文を法人に送付しており、委員会では私の反論が読みあげられたようで、それがそのまま議事録になっています。
 ところが私の反論について検討された形成が一切ありません。私の反論は事実関係についてさらなる調査を要することを主張する内容でした。ところが懲罰委員会は具体的な検討は行わず、形式的に読み上げただけですべてを済ませたのです。その証拠に、3回目・最後の委員会の議事録にも事実確認についてすら一切の記載がありません。

 にもかかわらず委員会は、私の不適切ケアの事実は「間違いない」と判断しています。
 ところが懲戒処分はなしの決定です。 
 にもかかわらず懲戒委員会は続き、反省文は書けというのです。

 私には聖ヨハネ会の懲罰委員会が何をしているのか訳が分かりません。 
 そして、こんないい加減な議事録をユニオンに提示し、自分たちがちゃんと審査していないことを自分から暴露してしまう・・・。
 
 「聖ヨハネ会は腐敗しきっている」。
 残念ながらそう思わざるを得ません。


■ホームに対する小金井市介護福祉課の不審な調査

 今お読みいただいたとおり、今回の表彰・懲戒委員会は組織の体をなしていない茶番に過ぎないものだったのですが、その話には茶番とは言えないような続きがありました。

 12月18日ヨハネホームに小金井市介護福祉課が調査に入ったという話は聞いていたのですが、それがあろうことか、私が行ったとされる「不適切ケア」に対するものだと知って、これまでにない強い衝撃を受けました。
利用者に水をあげないという私から見れば実在しない「不適切ケア」に対して、行政が立ち入り調査を行った。更に介護福祉課職員の隣には数々のコンプライアンス違反を犯しながら私にハラスメントを行い続けている竹川理事がいて、利用者に対して聞き取り調査を行ったとの情報も聞きました。

 法人がでっちあげた個人に対する人権侵害に、行政が加担した。

 これまでも竹川理事のハラスメントに対しダメージがなかったわけではありませんが、人権侵害に対する行政の加担という事実に、私は今までにない精神的ダメージを受けました。

■利用者の命を守るため、人権のために、駆けつけてくれた人たち

 これは私一個人の人権に対する問題であるに留まらず、民主主義や人権に対する挑戦だと私は思いました。
 それと介護福祉課の法人・ホームに対する対応は馴れ合いと言わざるを得ないもので、利用者の命や安全性を守るという強い姿勢が見られない。

 今回は小金井市にどうしても申し入れを行いたい。
 私の強い思いにユニオンの人や市議会議員さんが協力してくださいました。

 12月27日午前中に小金井市介護福祉課へ申し入れを行うことが決まりました。
 日程が決まったのがわずか2日前というたいへん急なことでした。
その前にユニオンの人たちに事前に案内をしていたとはいえ、年末押し迫って皆さん忙しい時期に人は集まらないだろう、そう思って現地に行ってみると…

 現地には十名以上の人たちが駆けつけてくれたのでした。
 中には遠く群馬から、このためだけにやって来てくれた人もいました。
もう本当に心の底からありがたい思いでいっぱいでした。

 小金井市議の片山かおるさん高木あきなりさん森戸ようこさんを加えた総勢14名での申し入れとなりました。
 市側は当初保健福祉部長へも参加を打診していましたが時間が取れないとのことで、介護福祉課課長、ヨハネホーム担当の主任、記録担当の職員の3名の出席でした。

■市役所への申し入れ

 私たちの申し入れの趣旨はこうです。

 介護職の一斉退職、大量離職は法人が現場の意見に耳を閉ざし続けることが原因となっており、私たちは一斉退職を防ぎ、利用者の命を守るため法人の運営を改めるよう訴えてきた。ところが法人は利用者家族に退所を希望する人は申し出るよう伝えるなど、利用者を守るための十分な職員の確保を諦めてしまった。
 これに対し市の対応は具体性を欠き、危機感がない。
 一方法人の私に対するハラスメントは介護福祉課職員が私に関する情報を法人に漏らしたことがきっかけである可能性が高いと私は思っている。
 12月3日にそのことと、法人による違法な懲戒や、でっちあげの「不適切ケア」について介護福祉課に対して公益通報を実施しており、介護福祉課は「不適切ケア」について、法人と私の間に意見の食い違いがあることは把握していたはず。
 それにもかかわらずその「不適切ケア」について調査に入ることは、市が個人に対する人権侵害に加担しているととられかねない重大な行為かと考えられる。

 上記を伝えた上で、以下の3点を申し入れました。
 1、市として早急に措置としての介護を実施してください。
 2、聖ヨハネ会による不当労働行為に加担しないでください。
 3、介護福祉課課長が市議会の厚生文教委員会で、ヨハネホームの大量離職の理由を個人の都合というふうに聞いたと答弁しましたが、これは事実と異なります。改めてください。

■市民と行政の対話

 私たちは、前述の通りの聖ヨハネ会の懲戒委員会の実情を、議事録を証拠に、そのまま説明しました。

 かなり長い説明になりましたが、課長も主任も真剣な面持ちで聞いてくれているのが分かりました。
 人の心は計りがたいものですが、ここから場の空気が変わっていって、もっと具体的な話ができるようになった、そんな気がしています。

 主任からは、施設の方から「不適切ケア」があったと言われれば事実確認できていなくても可能性のある時点で入ることになっている、そのことは理解してほしいとの言葉がありました。
 利用者の安全性という観点から見れば行政としては当然そうするべき対応なので、私もその言葉を素直に聞きました。

 法人のガバナンスのないありさま、行政への報告のいい加減さなどについて意見交換をしてから、私が退職予定者8人から聞き取った、職員の退職理由の話題になりました。

 職員の意見が反映されない。連携協力体制が不十分、 業務負担の多さ、入退所調整が成立していなかった。シフト作成の問題。新入職職員のサポ ート体制の問題。

 こういうことをホームから介護福祉課は説明を受けましたかと聞くと、やはり直接は聞いていないというニュアンスの返答をもらいました。

 さらに8月に介護職員30名から法人本部に対して介護現場の窮状を改善してもらうことが目的で要望書を提出したにもかかわらず、法人が誠実に対応しなかったため、年末の大量離職につながったことを説明したところ、はっきりとは答えなかったものの同課はやはり聞いていないという様子でした。
 こうした事実は職員会議の詳細な議事録として残され職員たちに公表されています。
 これがいやで私を出勤停止にしたと推測している、という話もしました。

 利用者数と職員数の比率を定めた人員配置基準、入浴回数の話をした後、その数字に表れない職員たちの必死の努力、疲弊について介護福祉課は知っているのか、私たちの施設は職員がものすごく頑張るから虐待とか起こらないのだけれど、でもあんまり過酷だからついには耐えられなくなって辞めてしまう。
 こうした実態を把握するため、実際に職員にヒアリングをしたのか、という話になりました。
 ここで主任は答えられない、と言っていましたが、現場の情報から考えてもしていないことは明らかでした。

 利用者を病院に社会的入院をさせて人員配置基準に合うように辻褄合わせをしているが、病院に入院することは本当に本人の意志なのか、そういう重い問いもありました。

 結局新入職職員が入ってきてもすぐ辞めてしまうなど新入職職員に対するサポート体制のなさがあるが、それに対して行政は何が出来るのかという問いかけをしています。
 行政にも出来ることの限界はあると思いますが、私としてはあの人たちは質問されると、辻褄合わせをしようとして頑張るので、どんどん質問してほしいとお願いしています。

 介護福祉課との話し合いは、申し入れの枠を越えて、ホームの課題全般に及ぶものとなりました。
 当初1時間程度の申し入れの予定が、終わってみれば2時間を大きく越えていました。
 初めは全く噛み合わない話し合いでしたが、最後の頃は対話と呼べるものに変わってきたのではないかと思います。

 今回介護福祉課の人たちから何回も出てきたのが公権力の強さに対する自制、情報を外部へ洩らせない、ということでした。
 その態度は行政を司る立場の人としてはそうならざるを得ないところもあるのでしょうが、利用者や職員の安全性、人権擁護についての具体的な話をしなければいけないときには、大きな障壁になってしまうのも事実です。
ただそれに対して、介護専門ではなく、一般市民や学生として素直な意見を言ってくれる人たちがいてくれたことは、その壁に少しだけ穴を開ける力となった気がして、とてもありがたかったと感じています。
 行政が今後どのような対応をするのか正直よく分かりませんが、今後も情報の共有や対話を継続していきたい、と思っています。

 ただその一方で、行政に対して重要な事実を隠蔽し自分たちに都合のいいことだけを伝えて、行政まで操作し果ては人権侵害に加担させようという人間をこれっぽっちも許してはいけない、と私は強く思います。
 私のことであれ他の人のことであれ、人間の尊厳を侵す人権侵害を放置すること。
 それは民主主義や社会正義を損なうことに他ならないと思うからです。

  団体交渉で人権侵害をやめさせ、隣人に対する愛に満ちた聖ヨハネ会に戻るよう強く働きかけていきたいと思います。
 みなさま、どうぞ応援、よろしくお願いいたします。

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