マリオは「マリオメーカー」をどう乗り越えたのか /「マリオワンダー」
4年ほど前、「スーパーマリオメーカー2」を遊びながら、ふと思った。
これ、次のマリオはどうなるの?
世界中の人が好き放題ステージを作って、
これ以上やることあるの?
\任せろ!/
?!
「マリオメーカー」がやった事
「スーパーマリオメーカー」並びに「スーパーマリオメーカー2」は、簡単な操作で、誰でもマリオのステージが作れます。
また、世界中の人たちが作った多彩なステージを、自由に遊ぶことができます。
これは、任天堂にとってはかなりの挑戦であると言えます。
なぜなら、マリオが今後の新作で生み出しうるステージを、プレイヤーに作らせることになるからです。
もちろん、一般の人が作ったステージの多くは、公式のクオリティには及びません。
それでも、これまでマリオが培ってきた「スタイル」を、プレイヤーに渡したことには他ありません。
これからのマリオは、一体どうするの?
どうやって、「マリオメーカー」の大量のステージと差別化するの?
、、、、、え、2Dマリオ、これで終わりってことはないよね??
「マリオメーカー」を克服する
「マリオメーカー」との違いをどう作るのか。
私は一つの方法として、「ルールを変える」ことを思いつきました。
従来のマリオのアクション、敵やブロックの動き、操作感、、、で出来る遊びは、
「マリオメーカー」がしゃぶり尽くしてしまいました。
ならば、マリオの枠組み、ルールを根本から変えるしかないと思ったのです。
でも、、、、
そんなことするかな、、、?
マリオってちょっと保守的だし、、、
そんな憂いを嘲笑うかのように、「ワンダー」は現れました。
「ワンダー」の2つの戦略
「ワンダー」はまさに、ルールの変化を真正面から行っています。
しかも、遊んでみると、大きく分けて2つの戦略によってこれを実現していると分かります。
「ワンダーフラワー」による変化
本作には、「ワンダーフラワー」というアイテムが登場します。
これをゲットすると、ゲームのルールに様々な変化が生じます。
これはまさに、「メーカー」にできない変化です。
ブロックや敵の配置を工夫するだけでは生まれるはずのない、根本からのルールの改変が起こっているからです。
特に僕が驚いたのは、
「歌って踊ってパックンマーチ」です。
マリオって、こんなあざとい事、出来るんだ、、、
と、純粋に驚きました。
確立されたゲームタイトルとしての地位にあぐらをかかない、チャレンジングな姿勢を感じました。
「バッジ」による変化
もう一つの戦略が、「バッジ」です。
各ステージのはじめに自由に選んでつけることができ、選んだバッジの種類によってマリオの能力やステージに変化が起こります。
ルールに変化が生まれる点は「フラワー」と同じですが、
こちらはプレイヤーが自由に選ぶことができます
プレイヤーのスキルや好みに合わせてルールが変化することで、幅広い遊びを生み出しています。
「ワンダーフラワー」と「バッジ」の融合がもたらすもの
このように、「マリオワンダー」は2つの要素、「ワンダーフラワー」と「バッジ」によって、
ルールを根本から変える、「メーカー」には出せない面白さを生み出しました。
しかし、なぜ2つなのでしょう?
どちらか一つに絞ってはいけなかったのでしょうか?
実は、この2つのバランスこそが、「マリオワンダー」の価値を支えているのです。
例えば、「バッジ」のシステムが存在せず、
「ワンダーフラワー」のみだったとしましょう。
すると、プレイヤーが調節できる遊びの幅が無くなってしまいます。
こうなると、個々のプレイヤーのスキルや好みに柔軟に対応することは難しくなります。
慣れたプレイヤーには物足りなく、初心者には難しすぎる、と言った具合です。
逆に、「ワンダーフラワー」のシステムが存在せず、「バッジ」のみならどうでしょう。
すると今度は、遊びがぼやけてしまいます。
プレイヤーが選択する要素が多すぎるがために、ゲームの「させたい遊び」が見えづらくなってしまうのです。
こうみると、「ワンダーフラワー」と「バッジ」は、ルールを変えながらも、プレイヤーを誰1人置いて行かない、勇気と優しさに溢れたシステムのように思えます。
「スタイル」と「クリエイティブ」の融合へ
さて、こうして「マリオワンダー」は2つの要素によって「メーカー」を克服しました。
ただ、「ワンダー」にはひとつだけ弱点があると思います。
それは、マリオをマリオたらしめる「スタイル」の不足です。
マリオは昔から、
シンプルなアクションと最小限の仕組みで、
多彩な遊びを生み出す、
いわば「職人芸」的な技巧に支えられていました。
もちろん、「ワンダー」のステージはどれもよくデザインされています。
しかし、その「職人芸」へのスポットライトは、少し弱まった気がします。
しかし、心配は要りません。
僕は、マリオという遊びがアップデートする、まさに過渡期にいると考えています。
マリオ、これからどうなっちゃうの?!
皆さんも、ぜひ注目してください。