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もんじゃ食べよう

会社の先輩と出かける機会がありました。

僕はこの先輩たちと出かけることを楽しみにしている理由はいくつかあるのですが、最も楽しみにしている理由は「みんな酒好き」ということです。

今回僕を合わせて3人で出かけたのですが、数日前に「駅前の◯◯で飲んでるから」というメールが入りました。集合は朝の10時です。ということは9時くらいには現地に入って飲み始めるということか。僕は10時に到着して移動した先でゆっくり飲めばいいや。もしくはみんなと別れてからどこかの居酒屋で一杯飲んでから帰ればいいやと思っていました。でも心のどこかで「一緒に集合して飲み始めたらきっと楽しいだろうな。でも絶対そのあとの記憶無くすだろうな」という確信があった。だから集合場所の店の外で電話をしました。

「今つきました」
「おう、店入ってきて。奥で飲んでる」

どうすっかな。このまま入店したら、きっと飲んでしまうだろうな。そう思いつつ出てくる気配もないので、入店しました。奥のボックス席ですでに出来上がった顔をしている先輩を見つけます。

「おう、遅かったな」
「いや、時間通りですよ〜」

そう言いながら座ります。テーブルの上にあったおつまみの皿はだいたい片付いていて、少しだけキムチが残っている。コップのお酒はビールだろうか、何杯飲んだのかはわかりませんでしたが、1杯ではないことだけはわかる。少し世間話をしていると「何か頼む?」と聞かれました。手元のタブレットには美味しそうなビールの画像…ああ、どうしよう。

「移動して飲みますか?」

次は豊洲に行く予定でした。市場の外にある「千客万来」という施設に行ってみようと約束していたのです。でもテレビやネットで見るたびに気になるのが、その価格です。インバウンドの海外からやってきた人をメインの客層に設定しているのか、田舎の僕からしたら「ええ!!!」と飛び上がるくらいの価格で食事が提供されているのを事前情報として知っていた。だから「豊洲だとビール一杯1000円くらいしますよね」と言ったら「高いよ豊洲は!」という返答。行ったことないくせに。

じゃあ飲むか。

あっさりと僕の1日が決定づけられました。運ばれてきた朝10時のビールは黄金に輝いて見える。これが350円…?うそだろ。食道を通って胃に流し込まれるのがわかる。店の外にはスーツ姿の人たちが忙しそうに歩いている。その光景を眺めながらの背徳感。最高じゃ!

僕はシフト勤務をしています。もちろん土日の休みも取れるけど、基本的には平日休みです。その平日に疲れた顔で歩くサラリーマンを横目に飲むお酒のうまさったらないんです。性格悪いですね。

20分くらいで店を出ました。そこから豊洲に移動します。千客万来は、平日でもたくさんの人で賑わっていました。あ、卵焼きがある。築地にもあるやつだな。でも築地ってひとつ300円もしたっけ?そんなことを考えるけど、朝ごはんも食べてないし、さっきのビールで空腹も強調されてしまった。「食べていいですか?」と確認をとり、購入。僕はゴリゴリ日本人の風貌なのに店員さんから「サンキュー」と言われました。やっぱ海外の人多いんだろうな。ちなみに海外のお客さんは300円の卵焼きを買うのに10000円札を出していました。豪勢だなぁ…と妙にしんみりした気持ちになってしまう自分がいた。

フードコートに行くと、もっと混み合っていた。お酒だけ飲もうかな?と思っても、さっき駅前で飲んだお酒の価格が脳裏に焼き付いている。

みんな無言になっていく中で、ぼそりと言いました。
「移動…しますか」

次に月島へ移動します。駅の案内板には「もんじゃストリート」の案内があり、迷うことなく行けました。僕は人がようやくすれ違えるような、狭い通りを想像していたのですが、普通の商店街のような場所にもんじゃ屋さんが連なっている。「これはもんじゃストリートというより、もんじゃ商店街だな!」と心の中で納得していた。

昼時でしたが、通りの人はまばら。いつもこんな感じなの?と少しだけ残念な気持ちになります。スマホで店を検索してみると目の前にトップに出てきた人気店がありました。でも外に出してる椅子に待ちの列ができています。こんな暑い中で待つ余裕はありません。しかも、そういった人気店って、なんとなくゆっくりできなかったり、期待値が上がりすぎて、本当は美味しかったのにそうでもなかったという印象を受けがちなイメージがありました。

でも道路の反対側に、ピンとくるお店があった。「お前に任せる」と先輩に言われたので「こわいなぁ〜↑」と声に出し、全然怖くないのに、プレッシャーを感じている雰囲気を出しつつ、お店の前に行きました。うん、ここだな。

入店すると半分くらいのお客さんがいて、奥の大きな席には修学旅行の学生さん?が食事をしていた。お好み焼き屋さんの匂いがして一気に食欲が刺激されます。メニューを見てまず頼むのはもちろんお酒です。乾杯をして昼間からお酒を飲む背徳感に浸る。

もんじゃってやばいですよね。店員さんに作ってもらったんですが、そのうまさったらハンパない。こんなにもんじゃって美味しいものだったの?

結局3杯くらい飲んで、体に疲れが見えてきました。移動して秋葉原をぷらぷらします。

夕方になり、最後はラーメン屋さんで締めようと決めていた。でも締めの時間にしては早いなぁという話になり、少しアメ横で飲むことになりました。でも初心者がアメ横に行っても、どこで飲んだらいいかわからないんです。呼び込みが凄すぎて、迷ってしまう。道路まではみ出している外の席で、ちょっとガラの悪そうな大人が通行人を睨みつけながら飲んでいるように見えてしまうんですね。ちょっと無理だなぁと思っていると、先輩が「あそこでいいんじゃない?」と指差しました。

とりあえず座りたいと思っていたので、そのまま付いていくと狭い通路を抜けた先に雑居ビルのエレベーターがある。なんかぼったくりの典型みたいな雰囲気を感じていましたが、中に入ると別のお客さん達もいたので、まぁいっかとなりました。

でもメニュー開いてみるとちょっと高いんです。フライドポテトが600円くらいしてて、うわーとなる。顔には出さないようにしてたけど、失敗だなと思ってしまった。本格的に食事をする予定ではなかったので、ちょっとお酒を頼んで話をする。1時間くらいして良い時間になったので「ラーメン行くか」という流れになりました。お会計をすると3人で7000円くらい。

え?

本格的にぼったくられたかな?という空気が流れる。でもそれを口にだすほどの価格でもない。お支払いをして外に出るとみんな「どうよ…」という顔をしている。みんな失敗だったなと思いつつも、それを口に出さないようにしているのがわかりました。

そしてラーメン屋さんです。一人の先輩とは以前も来たことがあって、めちゃくちゃ濃いレモンサワーが出てくるので「また来よう」と話してた。ボックス席が空いてたので座り、食事と一緒にレモンサワーを注文する。サワー類が300円しないんです。「おい!一杯300円だぞ!さっきのところやべえな!」と一人が言います。

酒が届き乾杯する。口をつけた瞬間「こっちの方が濃くて100倍美味い!」と叫ぶ。先輩は梅のサワーを飲んでて、さっきのお店でも飲んでたんですが「価格半分なのに、全然違う」と喜んで「最初からここでよかったじゃねえか!」と笑っていました。すぐに「まぁ勉強になったということで」となりましたが。

ラーメンも食べたことで、お腹がはちきれんばかりの状態になりました。こんなに食って飲んだのは久しぶり。暑かったけど、とても満足な一日になりました。

「次は夏かな」

そう言って解散しましたが、僕は来月には夏になるから、すぐに集まれるなと思った。気の合う人たちとの集まりってなんでこんなに楽しいのでしょうか。

お腹いっぱいで家に帰り、すぐに風呂に入る。すると、自然に手が冷蔵庫に伸びます。缶ビールを一口飲んでから、気づく。あれだけ飲んでたくせにまだ飲むのか。

酒カス。

僕みたいな人間のためにあるんだな。でも今日はこの言葉を受け入れよう。朝早く家を出たので、山のようになっている乾いた洗濯物を眺めながらYouTubeを開くのでした。

こんな日があってもいいよな。

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