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もうすぐ春は終わる

感情が揺れ動く日々を送っていた。

別れてからあっという間に時が経った。

別れた当初は、実感が湧かなかったのだが、
1ヶ月ほど経って、だんだんと別れたことを実感し出すと情緒が大きく乱れるようになった。

なぜ別れたのか頭が理解できていなかったし、
ふたりの時間の中に戻りたくて仕方なかった。

絶対的に戻れないあの時間がただただ恋しくて、けどもう手に入れられない現実が、ひたすらに辛かった。

同じことを毎日毎日、何度も考えていた。
誰も答えを教えてくれなくて、手がかりすら見つけられなくて、一人で毎日もがき苦しんでいた。

日中は、少しでも気を抜くと頭はそのことでいっぱいになったし、夜になると涙が溢れて止まらなかった。

長く、辛く、虚しく、まさにぽっかりと心に穴が空いたようだった。

そんな状態が2ヶ月ほど続いた頃、ようやく気持ちに整理がついてきた。

何度も何度も同じことを考え続けているうちに、自分の中でやっと答えが出せるようになっていた。

別れることになったのは、避けようもなかったことで、ふたりがどう回り道をしても、その現実は変わらなかったこと。

もうどう足掻いても、付き合っていた頃と同じようには戻れないこと。

彼との縁が切れたのは必然であっただろうこと。

いろんなことを自分の中で消化できたおかげで、付き合っていた頃の思い出や気持ちにそっと蓋をすることができた。

それは辛かった日々から考えると、とても大きな一歩で、私はその頃の何倍も強くなっているのだと実感する。

しかしたまに、うっかり蓋に触れてしまう時がある。

触れただけなのに全てが瞬時に思い出されてしまい、私はすぐに手を離す。

蓋を開けて沢山の思い出たちに浸るには、まだまだ時間が必要で、きっとずっと先のことだろう。

もうすぐ春は終わり、彼と付き合い始めた季節がまた巡ってくる。

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