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小学唱歌の思い出(その2)

その2.「風」
誰が風を 見たでしょう 僕もあなたも 見やしない
けれどこ木の葉を ふるわせて 風は通りぬけてゆく。

この歌は5年生の音楽で習いました.午前中の授業が終わったとき,昼休みに校内放送で,この歌を歌えと命じられました.私は集会で発表したりお話をしたりするのは慣れていましたので,音楽の先生は軽い気持ちで命じたのだと思います.しかし,校内放送にでるのは初めてでしたし,その上,放送室は校長室の隅にあったように思います.そこには,オルガンがあったとも思えませんが,歌を歌ったのだからあったのでしょうね.全く覚えていません.音楽の先生が伴奏したか,誰か生徒が伴奏を命じられていたのでしょうが,それも全く覚えていません.もしかしたら,伴奏はなかったのかもしれません.校内放送ということで,私は普段と違い大変緊張していたのです.そしてこの歌は,歌いだしの2小節の音程をとるのが難しいのです.1小節目と2小節目は繰り返しのようだが異なるのです.音が上がりきらないといけないと思い,思い切って高めの音をイメージしました.しまった,1小節目でちょっと外れたと2小節目は修正しようと思いましたが,下がり切れない影響が残ったままで2小節目に進み,また少し音が高くなってしまいました.私はすぐ表情にでますから,顔が真っ赤になったと思います.やっと立ち直ったのが3小節目からでした.

放送が終わって教室に戻るのが嫌でした.すると,幸運なことに私の教室では放送が聞こえなかったというのです.みんなが気を使って聞かなかったふりをしてくれるのかとも思いましたが,何かの不具合で放送が聞こえなかったのは事実でした.これは助かったと急に元気になり,昼休みの校庭に出ると,他の組みの子が寄ってきて,私が放送で歌うのを聞いたというのです.やっぱり校内放送は学校中に流れていたのですね.私に音を外しただの下手だったなどという人は一人もいなかったのですが,私のとてもはずかしい出来事でした.今でも,この歌の出だしの音程をとるのは苦手です.気にすると返って音を外してしまうのです.考えずに歌うのが良いようです.

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