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部分の対称性と全体の対称性★

■正3角形(対称性3m)と正方形(対称性4mm)は,対称性が全く異なるものです.このように対称性の観点からは全く異種の図形を重ね合わせると,出来上がった全体図形の対称性は低下します.
一般には,両者の図形の対称要素がすべて重ならないように配置できますから,重ね合わせでできた図形の対称性は1です.しかし,正3角形(対称性3m)と正4角形の鏡映面(対称面)のうちの一つが,重なるような配置でできた合成図形の対称性には,mが残ります.この様子を図に示します.
結局,異種の部分構造の重ね合わせできた図形の対称性は,どんなに頑張って配置したとしても,部品となった部分構造の対称性よりも低下します.

異種部分構造の合成では,以下の命題が成立します:
「部分の対称性は全体の対称性より低くはない」
これは,次のような言い換えにつなげることもできます:
「ある原因がある結果をうむとき,原因の対称要素のすべては結果で観測されるはずである」P.キュリー(1894)

■それでは,同種の部分構造を,重ね合わせて作った図形の対称性は,もとの部分構造の対称性に比べてどうなるでしょうか?
ただし,ここでは,重ね合わせるときに,部分構造の平行移動と回転は許すことにしましょう.
この場合には,合成で生じた図形の対称性は,部分構造の対称性に比べて,低下する(非対称化)する場合もあれば,上昇する(対称化)場合もあることがわかります.
部分構造が正3角形(対称性3m)の場合に,合成図形の対称性の実例をいくつか図示しました.部分構造の対称性3mのとき,合成図形の対称性は,1であったり,3であったり,mであったり,3mであったり,6mmであったり,さらに上昇するものを作ることが可能です.

合成図形の対称性が,部分構造の対称性3mの部分群となるときは,対称性の低下(非対称化)が起き,合成図形の対称性が部分構造の対称性3mを部分群として含む場合は,合成図形の対称性は上昇(対称化)が起きています.
合成図形の構成法に係わるので,異種図形の場合と異なり,これは,大変難しい問題です.
試しに,皆様で,合成図形の対称性が低下する例と,上昇する例について,部分構造の配置図をいくつか作って見てください.

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