スガハラで働く#01|ガラス職人の一日(若手編)
こんにちは。Sghr / スガハラの公式note、記念すべき初回の記事をお届けします。まずは、スガハラと言えば!の、ガラス職人の一日を紹介してみたいと思います。取材させてもらったのは、若手職人の伊藤優紀さん。入社8年目、「若手といってもそろそろ中堅ですよ...?」と照れる伊藤さんの一日に密着しました。
7:40|出勤
始業は8時、その前に続々と出勤する職人たちの中に伊藤さんを見つけました。伊藤さんは神奈川県出身、現在は工房から車で10分ほどのところに一人暮らしをしています。スガハラの職人のほとんどは、車で通勤しています。
7:50|準備・掃除
若手職人が工房に出勤してやることは、まず掃除であったり道具の用意などをします。毎日それをすることで、工房のこと、仕事の内容についてをちゃんと理解することができるそうです。これは吹きガラスの吹き竿を洗っているところ。伊藤さん、黙々と作業します。
スガハラの職人は、おもに2人から4人ほどの班体制で仕事をしています。それぞれの今日の仕事場で、若手もベテランも一緒になって掃除をします。職人の世界では、とにかく掃除が大事!と言われますよね。今日の班長はベテラン職人の菊池さんです。
8:10|製造スタート
製造がはじまりました。製造は午前の部と午後の部に分かれ、基本的にはそれぞれ事前に作る製品が決まっています。伊藤さんが入っている菊池さんの班は、午前中は『スポーラ』という器を作ります。ベテラン職人の菊池さんが、次々と器の形を作っていきます。
製造での若手職人の仕事は、とにもかくにも下玉という成形の土台を作ります。炉のなかで、1500度以上の高温で溶けている液状のガラスを、すばやく吹き竿の先端に巻き取り、吹きながら形状を整えていきます。この時のガラスの量と硬さ具合は、どのような製品を作るか次第で微調整が必要です。「良い感じ」下玉の具合をベテランの菊池さんが伊藤さんに伝えます。
12:15|午前の部終了
午前の部が終了すると、炉の中で坩堝(るつぼ)に溶けているガラスの不純物を取り除きます。そうすることで、綺麗なガラス製品ができます。こうした仕事も、若手が率先して行います。それにしても、、熱そうです!
12:30|昼食
さて、軽めの昼食です。「消化に悪いものは眠くなってしまうので...」と、伊藤さん。自作のグラスがなんとも涼やかです。現在は感染症対策のため、個別に離れてという形ですが、本来は同じテーブルを囲んで賑やかな昼食になることも多かったそうです。早く、平時に戻って欲しいですね。
13:15|製造再開
午後の部がはじまりました。午前は器でしたが、午後は『ジネット』というグラスを作ります。宝石をイメージしてデザインされたもので、スガハラの人気製品です。「ちょっと、やわいかな?」と、班長の菊池さん。刻一刻と変わるガラスの状態を見極め、それぞれの製品に合わせて下玉を作るのにも、やはり経験が必要です。
15:00|休憩
取材日は9月の比較的涼しい日でしたが、この時期はまだまだ暑さ厳しく、特に高温になる工房内での仕事では、こまめな水分補給が大事。またしても自作のグラスが似合う伊藤さんです。
17:00|終業、掃除・段取り
無事に今日の製造が終わったら、掃除をして次の日の準備や段取りをします。また、明日の原料を溶かすのに時間がかかることや、体調管理を考えて、スガハラの職人は基本的には残業をしません。しっかり休んで明日に備えます。
17:30|ファクトリーショップに作品補充、帰宅
製品ではなく、職人の作品を販売するコーナーがファクトリーショップには併設されています。帰り際に、自身の作品の補充と相談をショップスタッフとする伊藤さん。また、大阪の淀屋橋店では、月変わりで職人の作品展が開催されています。それでは伊藤さん、今日もお疲れさまでした。
noteでの初回記事、ガラス職人伊藤優紀さんの一日に密着してみました。いかがでしたでしょうか?取材をしてみて、予想以上に淡々とした仕事で、その積み重ねなんだなぁという印象を持ちました。伊藤さんにガラス職人の仕事についてどう考えているかを聞くと、こんな返答をいただきました。
「心身共になるべく"ぼちぼち"な状態になるように心がけています。関連して、どうしたら今より滞りなく仕事が流れるかなどはいつも頭の隅にあります。あとは考えすぎないことも大事なことかなと思っています。心に余裕を持てる行動をする。割と体力を使う事が毎日続く仕事なので、なるべく不調が出ないようにすることが、地味に成果として出てくるのではと考えています」
なるほど。良い状態ではなく、"ぼちぼち"な状態なんですね。確かに、良い状態があれば悪い状態が来るし、その状態の波に振り回されてしまうと疲れてしまうこともありますよね。長期的な視野で、自身の成長を考える伊藤さんの考え方に膝を打ちました。伊藤さん、ありがとうございました。