「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」の本当の理由①

農事組合法人の代表理事をおおせつかっております。農業を取り巻く環境は日に日に悪くなるばかりで、なんとかならないものかと手に取った1冊です。農業、特に米農家でこれが可能なのか、また他のビジネスの教訓となるのか、について考えてみました。

筆者について

筆者は農家で、民俗学専攻の社会学博士。これだけでこの本が面白いものだと感じます。農業、とりわけ農村のさまざまな事象を丁寧に説明しています。農業というひとつの産業として捉えてみても、結局は経済学、経営学的に理解できない部分が多すぎるわけで、こういうところは社会学者、しかも民俗学者としての考察がとてもいいです。

結論からいうと

いきなり結論からいうと、1本5000円のレンコンがバカ売れする理由は、そういう要因があったから、ということでした。

ブランドはないがいいレンコン

親の代からレンコン栽培のノウハウがあり、こだわりがあり、もともとのポテンシャルはあったということです。レンコン専業ということから考えても、一般の農家とは相当の格差があるわけです。

営業、営業、そして営業

ブランディングとか、マーケティングとか、戦略とか、いろいろとトピックはあるものの、結局は営業から顧客を獲得した印象が強い。もちろん、5000円のレンコンという差別化、パッケージのデザイン、伝統というコピーライティング、それぞれが戦略的に取り組んでいるが、それだけではバカ売れに至っていない。営業しまくって、ちょっとずつ浸透させていった様子がわかります。

野菜は目で食べる

農業独自の課題として、製品の見た目の良さについては、如何ともし難いジレンマを抱えています。本来、食べ物なのだから美味しければいい、というわけにはいかず、味はともかくまずは見た目。とにかく見た目が良くないと、消費者が手にしてくれないというジレンマがあるのです。一般的に食味コンテストなどを開いて、おいしさをアピールしてはいるが、メディアへの話題提供にしかなっていない感が否めない。

どうやって届けるのか

例えばJAに出荷していれば、手数料などなどバカになりません。そのコストを抑えることはできるものの、自分で売り先、配送業者を探して、手配するとなると莫大な手間なわけです。そこのバランスを見誤ると、大変なことに。

まとめ

筆者はこうしていくつもの課題をクリアして、1本5000円のレンコンがバカ売れするようになったわけです。なので、米農家がそう簡単に真似できるようなものではないようですね。ちょっと長くなったので、次回は他の業種への教訓について考えてみます。


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