値上げしづらい日本

コロナの供給制限や原油高、円安、そしてロシアのウクライナ侵攻と、コスト高に歯止めがかかりません。景気が良くなって値上げするというのであれば、消費者にも影響は少ないものの、こういう状況で、コストだけが上がるというのでは、値上げしづらいものです。しかし、コストが上がっている以上、その分の値上げをしないことには利益を圧迫するだけです。もしかしたら、売れば売れるほど赤字なんていうことも。


値上げは甘え、というけれど

値上げ、というと消費者からしてみれば、ピリッとするものですが、経営者にとっては甘美な響きです。経営者の目的は利益の最大化だとすれば、売上を上げるか経費を落とすか、その両方しかありません。売上、それは顧客数×単価、つまり値上げをすれば売上は上がります。しかし、顧客が値上げを受け入れるてくれるか、他の商品に、他の商店に流れるのでは、そう考えると値上げしづらいものです。そもそも日本ではコスト削減が最大の美徳とされてきました。


顧客を観察する

利益を最大にするということは、顧客が買ってくれる最高値に価格を設定しなくてはなりません。今の価格で売上が順調であったとしても、コストが高くなれば、利益は減ります。もちろん値上げをして顧客数が減ることはありますが、減った分を値上げすれば売り上げを落とすことはありません。

例えば、1,000円のランチで顧客数が100人であれば、100,000円の売り上げです。1,200円に値上げすれば、100,000円の売り上げを作るには83人で足ります。1,500円であれば66人です。そうすると、100人の顧客から83人、あるいは66人の顧客では何が違うのかを知る必要があります。


行動経済学に基づいた価格設定

行動経済学にナッジ理論というものがあります。例えのランチでいうと、ランチを上:1,200円、並:1,000円とします。どうも並ばかりが売れるので、なんとかして上の売り上げを増やしたいとします。そこでメニューにランチ松竹梅として、松:1,500円、竹:1,200円、梅:1,000円とします。竹と梅は前の上と並のままです。松というメニューを加えて、ちょっと高級感を出します。そうすると、竹の中間の売上が増えるというものです。


誰を顧客にするのか

隣の店と顧客と取り合っているような場合、提供する財・サービスの質が同様であれば価格競争、つまり安い方に顧客は流れます。しかし、自分自身が提供する財・サービスを誰に売るのか、が明確になれば値決めに迷うことはありませんし、値上げも自信を持ってできるというものです。


まとめ

顧客を選べば値上げは怖くありません。むしろその利益を最大化するためには必要な経営判断です。先ほどのランチで考えると100人から66人に顧客数が減ればもしかしたらアルバイトを減らすこともできるかもしれません。

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