会話とは
私には、言葉を発する前段階に厄介な癖があるとこがわかってきた。
相手が発した瞬間に、自分が話す内容の構成を組み立てはじめてしまうということだ。
話し相手が
「昨日、美味しいラーメン屋を見つけたの。」
の「昨日」に自分は反応してしまう。
そういえば昨日は、5時半に起き、朝食は目玉焼きを食べ、カラスがゴミを漁ってるのを眺め…という具合に昨日あった出来事の記憶の抽斗をしっちゃかめっちゃか出し入れしている。
そんなこんなで相手の話を聞かないもんだから、
「あ、ああ昨日は良い天気だったね。そういえば賀茂川と奥の山、水面と翠のコントラストが美しかったな。」
バカになったチャックみたいな噛み合わない文を発してしまう。
そんな癖があることがわかったもんだから最近は他事を考えないように努めている。
「昨日、美味しいラーメン屋を見つけたの。」
昨日は、うん。美味しい、うん。ラーメン屋を、うん。見つけたの、うん。
噛みしめみたものの、自分は何を話したらよいのかわからなくなる。
ジェンガのようなものなのか。予め用意や想定されている予定調和の中から小さなブロックを抜き出し上に積む。
もうこれ以上積めなくなったら崩して、次の会話へ。それでよいのかもしれない。