誰もが日常で行っているけれど、ほとんど意識せずに行っていること～「食礼」
先日、「食礼」について教えていただきに行きました。
鎌倉時代初期の禪僧であり曹洞宗の開祖である、道元禪師。
仏法にかなうように食事を作り、作法を守って食事を取ることが、禅の修行になると考えました。
食事が体を養うだけでなく、心を育てるという考えです。
心を育てる観点から遺されているのが「五観の偈（ごかんのげ）」と呼ばれる、食に対する心構えである５つの短い経文です。
一つには功の多少を計り、彼の来処を量る。
二つには己が徳行の全欠を忖って、供に応ず。
三つには心を防ぎ、過を離るることは、貪等を宗とす。
四つには正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。
五つには成道のための故に、今この食を受く。
①感謝
この食事がどのようにしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。
②貢献（反省）
自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうか反省します。
③防過
心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪など３つの過ちを持たないことを誓います。
（※３つの過ち：貪・瞋・癡（とん・じん・ち）の三毒）
貪（とん）：貪欲（どんよく）「むさぼり（必要以上に）求める心。」
瞋（じん）：瞋恚（しんに）「怒りや憎しみの心。」
癡（ち）：愚癡（ぐち）「真理に対する無知の心。」
④自療
食とは良薬なのであり、身体を養い、正しい健康を得るために頂きます。
⑤太志
今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。
細かな作法には、ひとつひとつ意味があり、先人たちは形として遺している。
また、食が身体をつくり、心をつくる。
当たり前のように行っている食事の中に、一連の型として次世代へ想いを引き継ぐために考えたように感じます。
