11月11日の週におきた怒涛の上場廃止ラッシュ(第一話)
A:2024年11月11日(月)の週は多数の企業が監理銘柄(確認中)に指定されましたね。
T:5営業日で10社。11月14日(木)は5社も指定された。東証の担当者は大変だったと思う。
A:11月13日には自動車部品大手で東証プライム上場のミツバ(7280)が、連結子会社で東証スタンダード上場の自動車二次部品加工メーカーであるタツミ(7268)の完全子会社を発表しました。タツミは上場廃止になる予定であるにもかかわらず、監理銘柄(確認中)には指定されていません。これはなぜでしょうか。
T:結論から言うと、上場廃止になる予定のタツミの株主は、タツミが上場廃止になっても、親会社のミツバの株式を得ることができる。そのため、TOBを通じた完全子会社化と異なり、つまり、金銭を持って株主の権利を消失するケースと異なり、タツミの株主は引き続きタツミを完全子会社として保有するミツバの株主として存続できる。そのため、監理銘柄(確認中)には指定されなかった。
A:そうだったのですね。
T:今回の完全子会社化はTOBではなく株式交換によるもの。親会社のミツバにおいては株主総会の決議による承認を必要としない「簡易株式交換」の手続きを行う。一方、子会社のタツミにおいては、2025年1月30日に開催予定の臨時株主総会で、今回の株式交換契約の承認を得る必要がある。
A:両社の時価総額はどのくらいですか。
T:親会社のミツバは11月15日時点で約400億円。一方で、ミツバはわずか20億円。
A:ミツバとタツミのような株式交換の事例は他にもあるのですか。
T:本年11月28日に上場廃止になるいなげや(8182)は株式交換でユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(略称USMH。3222)の完全子会社化になる。
A:いなげやは、これまでイオンの上場子会社(2024年3月31日時点で50.80%を保有)でしたよね。イオングループから外れるのですか。
T:いや、新しく親会社になるUSMHも、イオンの上場子会社。イオンは自社と自社の完全子会社を通じて、USMHの53.7%を保有(2024年2月29日時点)する。
A:そうなると、いなげやは、イオンの上場子会社であるUSMHの子会社(非上場)になるわけですね。
T:そう。親子上場関係にある上場企業が1社、マーケットから消える。
A:イオンはもともと上場子会社を多数抱えていますが、どうにかしてほしいですね。
T:国内外から批判が多くある親子上場問題において、イオンが抱える上場子会社数は国内トップクラスだからね。
A:ちなみに、11月15日時点の時価総額をみると、USMHが約1,000億円、いなげやが約600億円です。二つを単純合算しても1,600億円。これでは、まともなIR活動はできないように思います。
T:かなり厳しいと思う。ちなみに、三菱商事(8058)の持分法適用関連会社(2024年2月29日時点で22.47%を保有)のライフコーポレーション(8194)の時価総額も約1,600億円。
A:ヤオコー(8279)の時価総額は約4,000億円です。ライフコーポレーション、USMGといなげやの3社の時価総額を単純合算しても、ヤオコーには及びません。
T:イオン(8267)の時価総額は約3.3兆円。ちなみに、食品を強化している「ドン・キホーテ」。その運営元であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)は約2.3兆円。
A:次回は冒頭の10社について、確認したいと思います。
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