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2025年2月における日本株市場①
A:前回は、本年1月31日の事案まで取り上げました。同日、日本製鉄(5401)は山陽特殊製鋼(5481)に対するTOB(完全子会社化を目標)と大阪製鐵(5449)が実施する自社株TOBへの応募(日本製鉄による大阪製鐵への出資比率が65.86%から56.1%まで減少する見込み)を発表しました。
T:日本製鉄は2023年4月に持分法適用関連会社であった日鉄物産(鉄鋼商社)を三井物産(8031)と共同でTOBし子会社化した。また2024年9月には韓国の鉄鋼大手ポスコホールディングスの3.42%の売却を決定。本年4月には完全子会社の日鉄ステンレスを吸収合併する予定。
A:2月6日に、日本製鉄と神戸製鋼所(5406)は2002年以来続けてきた相互出資の関係を解消することを公表しました。日本製鉄は神戸製鋼所の2.7%、神戸製鋼所は日本製鉄の0.6%を保有します。
T:2月に入ると4日に、中古車情報サービス会社のプロトコーポレーション(4298)がMBOを公表。同社は東京プライム市場に上場し、MBO公表前の時価総額は約550億円。筆頭株主の株式会社夢現(33.70%保有)が完全子会社を通じて同社を取得する。
A:同日、プライベート・エクイティ投資を行うアント・キャピタル・パートナーズがテクノスジャパン(3666)に対するTOB(完全子会社化を目的)を公表しました。同社はERP・CRMサービスを提供するシステム・ソリューション企業。東証スタンダード市場に上場で、TOB公表前の時価総額は約170億円。同社の筆頭株主は英国のアクティビストのAsset Value Investors Limitedで10.69%を保有します。
T:アクティビストの対象となった企業に関するTOBあるいはMBOは相変わらず多いね。
A:はい。さらに同日、水産物専門商社である東都水産(8038)に対して、株式会社麻生の100%子会社である合同会社麻生東水ホールディングスがTOBを表明。東都水産は東証スタンダード市場に上場でTOB公表前の時価総額は約220億円です。
T:最近、株式会社麻生に関係するTOBやMBOが増加している。2024年11月12日に出光興産(5019)が麻生系列のアグロ カネショウ(4955。上場廃止済み)に対してTOBを表明。さらに同年12月9日に麻生の子会社である麻生フォームクリート(1730)に対して、同じく麻生の子会社である日特建設(1929)がTOB(完全子会社化を目的)を表明。TOBは本年1月28日に成立。
A:2月4日にはさらに三井化学(4183)がDNAチップ研究所(2397)に対するTOB(完全子会社化を目的)を表明しました。DNAチップ研究所は遺伝子診断サービスを手掛ける企業です。東証スタンダード市場に上場でTOB公表前の時価総額は約50億円。もともと両社は資本業務提携の関係にあり、三井化学は同社の筆頭株主で13.87%を保有しています。
T:大企業は上場企業数を減らすためにも、時価総額が小さすぎる企業をどんどん買収してほしい。
A:2月4日の事案をまとめると4社が上場廃止予定で、うちMBOが1社、TOBが3社です。また、東証プライム市場に上場する企業が1社、残り3社はいずれも東証スタンダード市場に上場です。
T:2025年にはこうした流れがもっと加速し、両市場の上場企業数が激減することを願う。とりわけ東証スタンダード市場はカオスのため、上場企業数を1/5くらいまで減らし1社当たりの質を高めてほしい。
A:2月5日には2社が上場廃止予定となりました。1社はCBグループマネジメント(9852)と浜井産業(6131)です。ともに東証スタンダード市場に上場です。次回はこの2社から始めたいと思います。