どうしたら米国の投資家を増やせますか

A:当社は米国の投資家による株式保有が少ないことがわかりました。

T:英国は。

A:英国と日本、そして欧州の投資家は当社を買ってくれているのですが、米国の投資家とは面談もあまりはいらないのですよ。

T:そうした会社は珍しくないけど、会社ではどのように分析しているの。

A:米国での事業割合が多いから、わざわざ日本の当社に投資する必要はないという見方もあります。あと為替かも。知名度も。

T:時価総額は8千億円程度だった?

A:だいたい8千億円から1兆円前後です。

T:そうなると、米国勢にとっては、まだまだ中小型株あるいは小型株かも。米国勢の大手は時価総額が大きくて、流動性が高くないと買わない、買えないから。

A:そうなんですね。

T:そもそも基礎的なスクリーニング段階で時価総額が小さい企業はふるい落とされるからね。時価総額というのは重要な要素。日本企業が思っているよりも重視されている。日本企業の中では小さくはないかもしれないから、グローバルなベースでは米国に限らず大きいとはみなされない。

A:はい。そうなるとどうやったら、大手の投資家に投資してもらえるのでしょうか。投資してもらわないと時価総額は大きくならないですよね。鶏と卵みたいな話です。

T:多くの企業は同じ悩みを抱えている。投資家が増えないと時価総額も増えず、時価総額が小さいから投資対象にならない。

A:どうしたらいいですかね。

T:米国のヘッジ・ファンドとも積極的に面談していくのも手だよ。伝統的な投資家と異なり、買ってもらってもそのポジションを把握できないという問題はある。けれど、少なくとも流動性の向上に寄与する。それに、ヘッジ・ファンドのアナリストには優秀な方が多いから、彼らから学んでいくのがいいかもしれない。

A:ヘッジ・ファンドですか。当社ではまだまだヘッジ・ファンドに抵抗感が強いです。

T:ヘッジ・ファンドは重要な存在。経営陣が面談するかどうかはさておき、IRの担当レベルでは積極的に会ったほうが良い。あと、伝統的な投資家に関しては、証券会社や専門のコンサルタント企業から自社に会いそうな投資家をたくさん紹介してもらうのが良いかもね。

A:証券会社に加えて、専門のコンサルタントを起用するかどうか検討してことはあるのですが、いったん見送りになりました。まだまだIRの予算は厳しいです。

T:IRだけに限らないけれど、日本企業は情報にあまりお金を使わないと思う。けれど、事業やIRがうまくいっている会社、とりわけ海外で成功している会社は情報にお金を惜しまない傾向があると思うよ。

A:情報不足をみな痛感してはいるのですが。

T:情報には投資すべきだね。米国の投資家を増やしたいのならばなおさら。英国や欧州の投資家が投資してくれているわけだし、もったいないと思うよ。米国の投資家は動かすお金をも大きいわけだけだから、情報に投資した場合のリターンは大きくなる。あと、米国だけに限らないけれど、投資家については、できればファンド単位で、キーマンを把握しておくことが大事。これは自社だけではなかなか難しい。

A:はい。来週のIR会議で話してみたいと思います。
 

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