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11月11日の週におきた怒涛の上場廃止ラッシュ(第二話)

A:本日は11月11日の週に監理銘柄(確認中)に指定された企業についてです。11月11日は、西本Wismettacホールディングス(9260)と大和重工(5610)の2社です。

T:東証プライム上場の西本WismettacはMBOを公表。ここは食品商社で「世界の食を日本へ、日本の食を世界へ」を創業理念とする。MBO公表前の時価総額は約590億円。筆頭株主の多津巳産業が43.45%、2位の洲崎良朗氏(同社の代表取締役会長CEO)が20.27%、3位の公益財団法人洲崎福祉財団が9.06%を保有。この3者で72.78%を保有。筆頭株主の会社は洲崎氏が議決権の2/3以上を保有する資産管理会社。創業一族が7割超を保有するオーナー企業。もともと特定株比率が非常に高く、浮動株比率が非常に低いためか、MBOの件もほとんどニュースにならなかった。

A:上場とは本来、パブリック企業になるということですよね。それなのに、創業家が株式のほとんどを保有している。こうした似非上場企業は早く市場から一掃されてほしいものです。

T:同じく11月11日に監理銘柄(確認中)に指定されたのが大和重工。東証スタンダード市場に上場する広島の老舗鋳物メーカー。こちらもMBO。MBO発表前の時価総額はわずか15億円。もともと上場維持基準のうち、流通株式時価総額を満たしていなかった。大株主には代表取締役社長に加え、広島の会社が多く存在する。

A:MBO発表前の時価総額はわずか15億円ですか。HPを見る限り良い印象を持ちましたが、上場企業としては存在する価値がありませんね。

T:翌日の11月12日には、出光興産(5019)がアグロ カネショウ(4955)へのTOB(完全子会社化)を公表。アグロ カネショウは東証スタンダード市場に上場する農業薬品メーカーで、麻生系列。もともと出光興産とは資本関係はなくTOB公表前の時価総額は約190億円。出光興産も農薬の製造・販売を行っている。両者の商品群に重複はなく補完関係が見込まれる。

A:このTOBは良い感じですね。アグロ カネショウはもともと良い会社だと思いますが、いくらスタンダード市場とはいえ、時価総額が190億円程度では、上場企業として厳しいですね。

T:出光興産の時価総額は約1.4兆円。上場企業は国内外の投資家の資金をいかに獲得するかの勝負をしているのだから、時価総額が小さくて、国内勢にも相手にされないような規模の会社は、大規模な会社がどんどん吸収してほしい。そういう意味でも非常に良いTOBだと思う。

A:11月13日には、アルファグループ(3322)と元旦ビューティ工業(5935)が監理銘柄(確認中)に指定されました。両社ともに東証スタンダード市場に上場しています。

T:代理店ビジネスを行うアルファグループは株式併合を発表。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社で50.62%(2024年3月31日限定)を保有。ちなみに、第3位の株主は光通信で8.34%を保有。株式併合の発表前の時価総額は40億円程度。元旦ビューティ工業は金属屋根メーカーでその最大手。ここもMBO。MBO発表前の時価総額は58億円程度。同社の創業者であり、代表取締役会長をつとめる舩木元旦氏が筆頭株主で25.5%を保有(2024年3月31日現在)。上位10の株主のうち、創業家および同社の持株会の保有割合を合算すると66.3%になる。

A:どちらも、上場しているのかが疑わしいほどのオーナー企業であり、時価総額も小さすぎます。

T:世界の主要な指数から日本企業がどんどん除外されている今、東証の市場改革は急務。プライム市場の基準をすべて10倍以上に引き上げ、今のプライムの基準をスタンダード市場に当てはめるべきだと強く思うよ。

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