背筋も凍るホラー映画紹介シリーズ第4回「キング・オブ・コメディ」【コメディ映画の仮面を被ったホラー映画】(ロバート・デ・ニーロ出演作品特集第1回)
1.はじめに
みなさん。こんにちは。特撮最前線です。
先日、Twitterの方で告知させて頂きましたが夏に向けて新コーナーを増やしていこうと思います。
ホラー映画特集と現行の特撮ヒーロー作品の更新記事とは同時にもう一つ増やしたいと思います。投票してくださった皆さん、ありがとうございます。
マイペースにやっていこうと思います。
今回、紹介する作品はコメディ映画としても高い評価を受けているだけではなく、この映画に影響され、ホントにこの映画のタイトルと同じコンビ名にしたお笑い芸人がいるくらい、すごい作品の「キング・オブ・コメディ」です。
私が出会った映画作品の中でもラストシーンの考察は非常に難しく、そして、人の心の難解さと解釈の都合の良さを描いたブラックコメディ作品ですが私個人としましてはこの作品、実はホラーだと思っています。
私同様の意見の方も多く、近年、この作品の影響を強く受けた作品もありますがその作品に関しましてはまた別の機会にがっつりと更新したいなぁと考えています。
2.鬼気迫る超個性派俳優ロバート・デニーロ
主演は数々の映画に出演し、近年はハートフルな作品にも多数出演している名優のロバート・デ・ニーロです。
近年のデ・ニーロ作品ですと特に「マイ・インターン」が大好きですが若かりし頃はクライム映画やギャング映画などの出演率が多い印象が私はあります。特に「ゴッドファーザーPART2」や「ケープ・フィアー」、「タクシードライバー」などの鬼気迫る演技は圧巻の一言です。
デ・ニーロは純粋な悪の心の持ち主の役もとてもうまいのですがどこにでもいそうな善人の皮を被った実は恐ろしい内面を秘めたキャラの演技が凄まじいんです。
その凄まじさが今作では存分に発揮されていますし、デ・ニーロ演じたルパート自身、それを悪いこととは微塵も思っていない風に見せるところにも今作の怖さがあります。
※最近、デ・ニーロ出演作品にもハマったのでデ・ニーロ出演作品特集もこの記事は兼ねています。
3.主人公ルパート・パプキンの暴走
主人公はコメディアンとして大成し、誰からも認められる存在になることを夢見る男「ルパート・パプキン」です。
誰しも夢を抱くことはあります。
「有名になりたい。」
「お金持ちになりたい。」
「小さい頃からの思いを叶えたい。」
夢を抱くことは素晴らしいことです。この思いが原動力となって努力し、成長する糧となることもあります。
しかし、この努力の仕方を間違えてしまうと取り返しのつかない恐ろしい結末が待っているというのを本作で描いています。
以下の引用が今作のあらすじとなります。
ルパートは大好きなコメディアンのジェリーととある出来事で会話したことから彼に自分の芸を必死に売り込もうとあの手この手駆使しして彼の目に留まるよう努力を始めますが徐々にエスカレートしていき、周囲の人まで彼の熱狂ぶりに恐怖すら抱き始める。最初はしぶしぶ話を聞いていたジェリーたったがルパートのしぶとさについに耐えかねてついに激昂。尊敬する自分の大好きなジェリーに裏切られたルパートはついに禁断の方法で彼に認められようと自分と同じジェリーのファンである女性マーシャを巻き込んで恐ろしい計画を実行に移す。
4.どこまでがルパートの妄想でどこまでが現実なのか?
物語終盤、ルパートはマーシャと共にジェリーを監禁して、テレビ局に身代金ではなく、自分をお笑い番組のメインゲストとして出演させろと要求します。しかし、ルパートは勢いに任せて今回の計画を実行に移してしまっただけではなく、あまりにも自己顕示欲が強すぎることですぐに警察や事件関係者に計画がばれてしまい、警察に逮捕されてしまいます。
しかし、この映画の本当に怖いのはこの後です。
彼は警察に逮捕され、尊敬するジェリーにも拒絶され、テレビ局の関係者にも白い目で見られているのにも関わらず、全くそのことに対して後悔することがなく、むしろ、自分がコメディ番組に出演できたことを誇らしく思っている姿一つ一つを見て背筋が凍るような思いでした。
ラストへと物語が進む中でどこまでが現実でどこまでがルパートが自分の都合のいいように解釈した妄想なのかの線引きがあまりにも今作は難しすぎます。
彼は刑務所の中でお笑いのスキルを磨き、自叙伝まで出版し、その権利を大手の出版会社に与え、莫大な富を得て、センセーショナルな芸能界復帰のための情報を引っ提げてステージ上に立つシーンで幕を閉じるわけですがたぶんなんですが私の考察ですと逮捕された瞬間までが現実でそのあとすべてが彼の妄想なんじゃないかなぁと思います。
人の心は時に直面できないほどの現実を目の当たりにすると時に自分の都合よく解釈してしまうこともあるそうです。
本作はそのことを描いていますが元々からルパートは自分の非を決して認めず、すべて周囲の責任にする癖がありました。それが終盤、更に本作を恐ろしい結末へと導くフラグとなっていたのです。
本当に怖いのは幽霊やゾンビ、怪奇現象よりも人間かもしれません。