シェア
LOW
2018年5月17日 19:10
「あ、降ってる。」 定時を少し過ぎたあたり。 オフィスから出てきた吉澤郁人は、 エントランスを出たビルと雨脚の間で バラバラと隙間無く降る雨を見上げていた。 「傘…忘れたんですか?」 斜め後ろから、急に話しかけられ 郁人の身体は驚いて、少し肩が跳ね上がった。 振り向くと、閉じた唇の口角を、少し上げながら 微笑む中田千都がいた。 隣の隣の部