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かもめ

昨日は京都にいるいとこの結婚式だった。新郎のいとこは父の兄のひとり息子で、2017年9月の姉の結婚式ぶり、約5年ぶりの再会だったが、正直パッと顔を思い出せるほど会ったことはなかった。 ひろし兄ちゃんと顔がかぶる、と姉に言うと、ひろし兄ちゃんの方が男前や、と返された。新郎なのにちょっと可哀想だなと思ったが、ひろし兄ちゃんは母の弟で、20歳過ぎの一番男前な時期に亡くなっていて、わたしたちの記憶の中では永遠に若々しいままなので仕方ない。 結婚式は良いものだった。新婦へ向けたサプラ

    • 「震える舌」(1980)

      オープニングから各所で流れる、バッハの無伴奏チェロ組曲が優雅でかなしくて、耳に残る。 小児病棟では、光や音の感覚刺激が不用意に起こされる。そのたびに何度も発作を起こし、仰け反って血を吐いて苦しむ娘に、父親は「もし、お前が死んだら お前が何も悪いことをしないのにこんな苦しいめに合って死んでしまうなら お前だけを愛してやるからね お前だけを お前を救えない俺がしてやれるのはそれだけ」と言う。 娘がまだ病に侵されていなかった頃の、平凡で幸せだった日々の回想をしながら、両親はそれぞ

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