世界一周プロジェクト⑩ベトナムで国際同居生活をするママさんにインタビューしてみた!
こんにちは!
今回の世界一周プロジェクトでは、ベトナムについて紹介したいと思います!インタビューにご協力いただいたのは、Yukiko さんです!
Yukiko さんのプロフィールを教えてください!
ベトナムで就職、2006 年から現地で CA をしています。
ご縁もありベトナム人と結婚し、 2 人の子供の育児をしながら、首都ハノイにてベトナム人義両親と共に国際同居生活を送っています。現地で生活するようになり、徐々にベトナム語を習得していて、今では基本ベトナム語を使用して会話をしています。
Yukiko さんの思うベトナム特有だと思う文化は何ですか?
「家族を何より大事に思っている」「食事を大切にする」「旧正月は 1 年の行事の中で最も重大なイベントである」という 3 つのことが挙げられます。
・家族の絆
ベトナムでは血のつながりをとても大切にしていて、家族のつながりが本当に深いです。
両親と同じ屋根の下で暮らすということも珍しくありません。さらに親戚みんなが近くに家を設けて住んでいることがほとんどですし、引っ越しをする際も親戚みんなで一緒に引っ越しをします。
日本ではお盆休みやお正月などでのみ親戚と集まることが無いということも多々あると思いますが、ベトナムでは毎週のように親戚みんなが顔を合わせています。
食事においても大人数で 1 つの食卓を囲って、仲良く談笑しながら過ごすというのが基本です。
ベトナム人にとって、お金があっても家族と過ごせない日々は幸せではないという感覚があります。
・食事
ベトナム語で「アン コム チュア?」という挨拶があるのですが、「ご飯食べた?」という意味です。それほど、3 食しっかり取っているのかということを気にかける文化があります。時間がないから朝ごはんを抜くということはあり得ないというほどです。
もちろん、栄養バランスも重視されていますし、「命を頂くからには残すことなく全て頂こう」という食材に対する礼儀もあります。ですので、日本人にとっては見た目的に少し驚くであろう食事メニューもあると思います。
・旧正月
旧正月は 1 年で最も大切なイベントとして認識されています。世界中にいるベトナム人でさえ、この時期になれば一斉に帰省をするほど、旧正月に家族・親戚と過ごすことが重要なのです。日本での年越しの瞬間、12 月 31 日から 1 月 1 日に変わる瞬間はベトナム人にとっては “年越し” ではなく、“ただの月が変わる瞬間” と同じようなものなので、旧正月を迎えるまではみんな年末気分のままという感覚ですね。
ベトナムの人々のイメージやコミュニケーションについて教えてください。
・性格・雰囲気
距離感が近く、フレンドリーな人が多いです。
例えば、タクシーに乗れば運転手さんと世間話や家族についての話をするのは当たり前で、公共交通機関においても同様に、見知らぬ人同士が会話をすることも普通です。
また、ベトナム人は自己肯定感が高いということが特徴とされています。これは幼い頃から周りの人に常に可愛がられて育てられていることもあると思いますし、周りの人に対して優しい国民性が関係しているとも思います。例えば、コロナ禍において自由な外出が禁じられ職を失い生活に困窮する人が続出した時、行政だけでなく個人間で無料で食べ物をシェアする活動であったり、厳しい規制のあったホーチミンへ全国から農産物が届けられたりと、助け合い精神の強さが顕著に表れていました。
地方によって性格の特徴があり、地理的に縦に長いベトナムでは北部と南部で少し異なります。
北部(首都ハノイ) → 封建的で保守的。我が強い人や倹約家が多いイメージ。
南部 (最大の商業都市ホーチミン)→ 楽天的。おおらかな性格が多いイメージ。
このように、歴史や隣接する国の影響、気候の違いからこのような性格の違いが生まれているとされています。まるで日本の関西と関東の違いみたいです。
・宗教
ベトナムにも様々な宗教がありますが、なかでも仏教徒が多く、キリスト教やカオダイ教(ベトナムの新興宗教)などもあります。中国の影響を文化的に強く受けていることもあり、例えば毎月旧暦の 1 日・15 日にはお供えをしたり、お盆や旧正月には大きなお供えをしたりと日本以上に信心深いです。
・コミュニケーション
とにかくお喋りな人が多いです。近所付き合いも盛んですし、街中で見知らぬ人に対して声を掛けることも多々あります。レストランに訪れても、誰かしらが気にかけてくれて勝手に子供の面倒を見てくれるという面倒見の良さもありますね。こういったことが日々の生活の中で良く感じられるので、とても過ごしやすいと思います。
・日本への関心
日本の文化として有名なマンガやコスプレはベトナムでも人気があり、特に若い世代の多くの人に親しまれています。
また、日本製品への信頼度がとても高いです。ベトナムでは子供の送迎に関わらずバイクが移動手段として多用されているのですが、その 8 割が日本製(ホンダ)のバイクです。そのため、ベトナム人にとって、日本といえばバイクというイメージが強いです。
ベトナムの教育システムで特徴的なことは何ですか?
・クラス数が多い
人口比率的にも子供が多く、それに伴ってクラス数もとても多くなっています。
私の息子が通っていた学校は特に生徒数の多い私立校で、 1 学年 30 クラスもありました。
現在は生徒数が少なくなっていますが、それでも 1 学年 7-9 クラスあるのが基本です。
・義務教育でも留年制度がある
ベトナムでは小学生から留年制度が存在します。実際に留年する児童は滅多にいませんが、必須のカリキュラムの習熟度が著しく低いとされた場合は留年の対象とされてしまいます。そのため塾に通う子供が多く、都市部でさらに塾に通う人が多いイメージがあります。また、日本のように多様な習い事をする子供はほとんど見られず、習い事=塾 という印象です。
・理数系(特に算数・数学)のレベルが高い
ベトナムでは理数系科目の教育に力を入れていて、ある国際的な成績比較では東南アジアではシンガポールに次ぐ点数の高さを誇っています。日本と比較して見ると、以下のように日本では習わないような単位もベトナムでは一般的な学習範囲とされています。
日本:mm、cm、m、km
ベトナム:mm、cm、dm、m、km
・両親の送迎が基本
ベトナムでは通う学校が日本のように学区制で決められていません。そのため、家が学校のすぐ近くにあることは稀であり、親の送迎で通っていることが大多数です。登下校時にはバイクや車で渋滞することが日常茶飯事になっているほど。公共交通機関が発展していないこともあり、子供を持つ家庭にはバイクや車は必須です。
・小学校に屋台が出ている
学校前に屋台、公立校の前にはバイクの移動屋台があったり、スイーツや軽食類を販売するお店が設けられていることが多くあります。私立校の場合はセキュリティの面から学校外に出ずに済むよう、校内にチェーン店のカフェテリアが併設されているところもあります。
これらは食事を大切にする文化も影響していると考えられますね。
経済格差による教育への影響はあるとお考えですか?
大いにあると思います。ベトナムの小学校の就学率は都市部と農村部に大差はありませんが、
中学校では都市部が 91.6%、農村部が 88.1%
高校では都市部が 76.4%、 農村部が 64.4% となり、
都市部と農村部に教育格差があると考えられます。特にメコンデルタ地方の高校就学率は 55.3%と最も低いとされていて、教育環境が整っていないことが影響していると思います。
というのも、ベトナムでは 54 の少数民族が存在しますが、いわゆる「ベトナム人」と言われているのは中でも 87%を占める「キン族」です。それ以外の少数民族は貧しく、学校に行くための靴もなく裸足で、十分な学習用品も揃えることが出来ないような場所にある学校も多いです。インフラ整備の進んでいない地域や山岳地帯では特に学習環境の整備が行き届いていないことが顕著にみられます。
最後に Yukiko さんの考えるベトナムの好きなところ、魅力に思うことを教えてください!
本当の “豊かさ” が感じられるところです。
日本経済は発展していて衣食住に困らず、何不自由の無い生活が送れる環境にありますが、日本人の方が常に不安に駆られていたり、自信を持てずにいたりする印象を受けます。
ベトナムは、ここ 10 年で経済的に目覚ましい成長を遂げていますが、10 数年前の貧しい時代も現在も本当に大切なものは変わっていないと感じます。
本当の豊かさとは「家族」「人と人の繋がりや助け合いから生まれる温かさ」であって、これらが日々感じられる些細な幸せで大切なものであると思います。
ベトナムでは不登校になる子供や若くして自殺してしまう子は非常に少ないです。これも幸福度の高さ、日々の家族との関わりの深さが影響していると思います。心の豊かさを感じられるという魅力はこれからも失ってほしくないベトナムの良いところだと感じています。
インタビューを終えて
改めて、今回はベトナムの文化や教育について Yukiko さんにインタビューさせていただき、多くを学ばせていただきました。
Yukiko さんからベトナムの文化や国民性、教育に関することまで、あらゆるお話を聞くことができたことはとても貴重でした。特に、ベトナムの家族とのつながりの濃さにはとても驚きました。家に常に誰かがいて毎日多くの会話が発生している日常があるから、不登校の子供がほとんどいないということにはすごく考えさせられました。日本では近年、核家族化が進行していて、近所づきあいも昔ほどなくなっているのが現状です。これらがコミュニケーションの機会を減らし、日常の充実度に影響しているのならば、改善を試みるべき日本の課題になり得るのではないかと思います。
Writer … Reina
次回の投稿もお楽しみに!
参考資料
・JETRO 日本貿易振興機構 デジタル貿易・新産業部 「ベトナム 教育(EdTech)産業 調査 」2011年1月実施
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