映画：図鑑に載ってない虫 (2007)ネタバレ有
スガイディノスという札幌の映画館が閉館する。メジャーどころでは無いが単館系でもアート系でも無いサブカルっぽかったりど直球ホラーだったり、マイナーな邦画だったり、ミュージシャンのドキュメンタリーというのはこのスガイディノスが請け負っていた。
そんな映画館の中でも最も思い出に残る作品といえば、三木聡監督の本作「図鑑に載ってない虫」だ。
作品そのものも印象深すぎるが、それ以上に映画館で見た時、なんと劇場には僕と母親の二人だけだったのが今でも衝撃的だった。そう、後にも先にも貸切はこの時しかない。
内容はというとオカルト出版社に勤める主人公(伊勢谷友介)がオルゴール職人の友人(松尾スズキ)とシニモドキという臨死体験が出来る虫を探しに行くコメディだ…たぶん。道中で菊地凛子やふせえり、石松了も仲間に加わり虫を探す奇妙な冒険が始まる。
しかしその道のりは正直言ってストーリーには1ミリとも関係ない小ネタ(しかも汚い)の連続と、脱線の連続で出来ておりストーリーはあって無いようなものである。とにかく松尾スズキが完全なクレイジーとして描かれており、ゲロでお好み焼きを作ったり、サロンパスを吸ったり、「岡」という字がアザラシに似てるなどを言い張っている。この作品はそれまで小ネタは多かった三木聡作品の中でも最もネジが外れ、危ない方向にアクセルを全開に踏み込んだヤバい作品である。だって映画として成り立っているかと聞かれたら「ただ汚い小ネタと松尾スズキの奇行っぷりをみるだけの映像集」と言うしかない。
正直ギャグが刺されば最高の作品だが、そうでなければ苦痛でしかない極端な作品であろう。人にはかなり勧めにくいが本作が好きという人とは絶対に友達になれる自信がある。
ちなみに好きなシーンはカメラマンの恋人が突然爆発するシーンとサロンパスを吸うシーン。
そんな訳で僕は貸切をいい事に爆笑しながら見ていた。まさか貸切で観れた映画が今までで一番の邦画になったなんて僕はなんて幸せなんだろう。そんな幸せをくれたスガイディノスには感謝してもしきれない。本当にありがとうございました。
あと目にアロンアルファ挿してもコンタクトレンズにはならないから絶対に真似するなよ！！！
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