地獄の地獄巡り【 スペックオプス ザ・ライン 】(XBOX360)
「評判が良いならやるっきゃない。」
そんな思いを抱きながらも積んじゃうのがヘタれなゲーマーのダメな所。
しかし最近360の軽くて使いやす〜い有線のコントローラーが中古手に入ったから思い立ったようにプレイ。
スペックオプス ザ・ライン。この頃は特殊部隊ミリタリーモノなFPSやTPSがこれでもかと乱発されており、マルチがメインでキャンペーンのストーリーがイマイチなものが多かったのもあり、本作もパッケージの地味さと裏面を見てもイマイチ内容が読み取れないのでスルーしていた作品であった。
しかし本作は後年どんどんとネット上では話題となり、プレイヤーを手玉に取るような展開が注目され、アンダーテイルやバイオショックと並べられて語られる作品の一つになっていた。
そんな事を聞いたら気になってしょうがないじゃないか。
実は本作は購入した直後一度ノーマルでプレイしたのだが、ノーマルとは思えない難しい難易度に苦しめられていた。その時は「出来ねー!」と投げて積んでしまったが。
まぁ今回はストーリーを堪能する為にイージーでプレイ。
美しい国ドバイ。超高層ビルが建ち並ぶそれはそれは優雅な石油王達の楽園だったであろう街は天変地異の如き未曾有の大砂嵐によって砂の海に沈んでいる。逃げ後れた人々は乾涸びそこかしこに転がっている。
主人公の目の前にあるのはかつて楽園であった砂だらけの廃墟と無数の死体の山。まさに地獄。
しかしそれは序の口。
プレイヤーを襲っていた敵の正体が分かったときのショックはとても大きい。出来れば戦いたくない。戦う理由だって無い。しかし襲ってくる。戦わなければ先には進めない…。
本作は終始そんなイヤな気分の中で戦うハメになる。敵を殺しながら今殺した彼が実はどのような奴だったかと語りかけてくるシーンはもう最悪の一言につきる。とことん悪趣味。地獄だ。
それに拍車をかけるかの如くステージが進むにつれてドバイの光景は映画「地獄の黙示録」びっくりな陰惨なものと化していき「本当にこれCERO通ったのかよ?!」と叫ばんばかりの、Z指定で済まないゴア描写に、残酷すぎる選択を迫るシーンなどで軽い気持ちでコントローラーを握る僕らを本気で殴ってくる展開が連続で起きて行く。
思えばこの世には大量殺戮のゲームは溢れている。今までR2ボタンでどれだけの人間を殺したかはパンの枚数と同じくらい覚えていない。
本作はヒーロー気分の主人公が悪に鉄槌を下す為に引いていた引き金が、実は悪よりも最悪な結果を生み出す事になるかもしれない、という事を殴りながらコチラに語りかけてくる。
とにかく本作はどうしようもない地獄を徹頭徹尾徹底的に堪能出来る。正直かなり精神負荷の高いショッキングなゲームなので簡単にはオススメ出来ない。しかし本作が心に大きな傷をつけるくらい名作なのも確かである。
ちなみにゲームとしては非常にシンプルなミリタリーTPSで、分隊の仲間に指示出しをしたりして三人一組で戦って行く。正直これでストーリーが凡庸だったら他のTPSに埋もれる一本になっていたであろう。
武器の種類ものほどほどで難易度は前述の通りノーマルでも難しいのでちょっとツラいが、イージーならそこそこの歯ごたえで楽しめるので個人的にはイージーをオススメしたい。ちなみにプレイ時間も10時間に満たずにプレイ出来るので軽く(?)クリアが可能だ。
そんなこんなで本作は主人公をこれでもかと最悪な気分にさせて地獄を巡らせるなんとも珍しいTPS。本作でしか味わえない嫌悪感たっぷりの世界をこれでもかと堪能していただきたい。
責任はもちません。
DATA
スペックオプス ザ・ライン
発売:2K Games
開発:Yager Development (シングルプレイヤーモード)
対応ハード:Xbox360、PS3、PC
発売日:2012年
ジャンル:TPS