ソ連超科学ツアー開幕 【 ATOMIC HEART 】(XBOX SX)
やっと遊べる!
ついに発売された。衝撃のトレーラーから5年と6ヶ月と30日。即購入を決意したあのゲームがついに発売された。一時期はこのまま消滅するんじゃないかと諦めかけていたゲームがついに遊べる。
自分がどれだけこのゲームを心待ちにしていたかはこちらの記事を見ていてほしい。やっと、やっと遊べるのだ。…というかこの記事ほぼ3年前かよ!
ビジュアル最優先の世界観!
ATOMIC HEART。第二次大戦後に科学が発展しすぎたソ連を巡るSF世界が舞台のバイオショック的探索型FPSだ。人為的に狂ってしまったロボットたちが人を殺して占拠する科学施設で首謀犯を逮捕するのがこのゲームの目的だ。
本作の魅力であり特徴はやはりそのビジュアル。その場で立ち止まってジッと眺めたくなる、スクショボタンを連打してしまうロシアンアバンギャルドから飛び出してきた異質でイカすデザインの建築やポスターと可愛さと不気味さが混ざったロボット達。そんな世界が所狭しと詰め込まれ、ただ死ぬよりも恐ろしくエゲツない事になっている世界がとにかく恐ろしく描かれているんだから面白いに決まってる。
ゲームが進めば進むほど次の驚きと感動と恐怖が待っている体験は他のどのゲームよりも強烈で楽しいくワクワクさせてくれる。思えば本作はどこまでもビジュアル優先のゲームだ。
それに本作のグラフィックは普通に最先端で見応えもたっぷり。まさに実写だ!(PS2の頃にも言ってた)
そして本作はサウンドも大変素晴らしく、ラジオからは量子化学のパワーで未来の電波を受信して、イカすハウスやダブステップが流れてくる。これがどの曲もカッコ良すぎるんだよね。
しかしこのゲーム、他のゲームよりも簡単に人体がバラバラになるから結構キツい。それ以上に答えたのが科学の力で死者と会話できてしまう所。魂とは...とか、あの世とは...考えちゃうからこっちの方が堪えたよ。でも音楽のおかげでホラー味もだいぶ中和されている。まさにBGM流せばミュージックビデオ扱いだね!
それに主人公の相棒であるおしゃべりグローブのチャー・ルズとユルい口喧嘩をしながらストーリーは進んでいくのでそこまで怖く感じないはずだ。ホントだよ!
それとアイテムの回収は全て掃除機のように吸い込む機能が左手に付いているおかげで楽チンなんですが、もっと色々探索する楽しみも欲しかったなとも思います。トレーラーでは一つ一つアイテムを拾っていましたが流石に手間と感じたんでしょうかね…。
不釣り合いなゲーム性
それに比べて本作をゲームとして見ると、印象はガラリと変わる。ゲームはかなり荒削りに作られており、それでいて凡庸というしかない作りだった。
進行不能バグや、動けなくなるスタックなどの不具合が多いのは昨今のゲームの発売したての時期ではは仕方ない。
発売初日にまさかの日本語字幕が入っていなかったという不手際は驚いたが、それだけギリギリまで製作されていたとわかる事柄だった。
それよりも気になるのは個性的すぎるビジュアルとは裏腹に本作の探索型FPSとしての凡庸さだった。特に武器や超能力といった部分はバイオショックよろしく電撃や冷凍能力などで、新鮮な能力は無く、武器も多数の近接武器とショットガンやアサルトライフルなどの普通すぎる武器しかない。
カスタマイズは出来るものの、超ソ連の「これは絶対人に向けちゃダメ」的な激ヤバ兵器といったものが一つも無いのはやっぱり残念すぎる。バイオショックを意識してるのは分かるけど他のシンギュラリティやPREYでは結構特殊な能力や武器があるだけにそういったものが無いのは逆に驚きだ。
あとマップの各所にあるサイドクエストというべき試験場は、パズルやバトルなどの関門を越えると貰えるあからさまにステージクリアの報酬が「ご褒美宝箱です!」と言わんばかりに部屋のど真ん中に置かれているのでなんともリアリティをぶち壊している。何故そこだけそんなにゲームしてるんだ....。
難易度と成長の快感
しかしこのゲームの敵とのバトルはなかなかシビアに作られており、弾薬などのリソースを節約するために接近戦がメインとなるので、回避と攻撃を上手に使って戦う必要がある。
弱点属性なども調べなければならないし、地形も気にしないとやられてしまう。
序盤の非力な武器では、敵を一体相手するのがやっとで監視カメラに見つかればすぐに囲まれて袋叩きに遭ってしまう。しかも監視カメラは破壊してもすぐに復活するのでかなり悪夢的な状況だ。
特に序盤の地下施設からようやく地上に出た時の難易度の跳ね上がり方には絶望するぞ。
おかげで序盤はロボと監視カメラに怯えながらマップの端を歩く情けないプレイを強制されてしまうのだった。
しかし武器と能力が強くなっていく後半では打って変わって主人公がロボを狩る側に回るので、今まで苦労して倒してきた強敵たちを、これでもかと蹂躙できるのでかなり爽快感があるぞ。形勢逆転がこんなに嬉しいゲームも珍しい。「あーお前ね、あの時はよくもやってくれたな!」と言わんばかりに武器と能力のコンボでぶち壊してやろう。キモチイー‼︎
ゲームを終えて
そんな訳でゲームをクリアした感想としては、とても素晴らしく楽しいエキサイティングな観光が出来たけどまだまだ遊び足りない!というのが正直なところ。ボリューム的にはメインシナリオ以外は試験場くらいしか寄り道がないのもやっぱり寂しい。こんなに広いフィールドを用意してくれたならもっといろいろ遊ばせて欲しかったなぁ。
トレーラーを見るとまだ登場していないロボたちもいるので今後のDLCなどにも期待したい。
そんな訳で6年待った作品はゲームとしてはそこそこだけれど、期待通りの世界をこれでもかと見せてくれた素晴らしいゲームでした。
[この後はストーリーのネタバレの感想です。]
DATA
ATOMIC HEART
発売 :Beep Japan、4Divinity
開発:Mundfish
対応ハード:XBOX series X&S / Steam / PS5 / PS4 / XBOX ONE
発売日:2023年2月21日
ジャンル:アクションRPG
[以降の文章はストーリーのネタバレを含みます]
ストーリーの納得は…
さてこのゲームのストーリーの感想は、バイオショック的なプレイヤーを驚かせるドンデン返しがあると思ったら意外とあっさり終わってしまってビックリ。いや、チャー・ルズが元は人間というのは驚いたけれど、サチノフは終始怪しいし、P-3はどう考えても頭をいじられてる。想像以上の超展開でプレイヤーが動揺するような衝撃なかったのが少々残念。それこそ主人公が最新鋭ロボットだったとかの方がまだ驚きがあるよね。
映画的なカメラワークが素敵すぎるムービーシーンは魅力的なのですが、それに比べると主要キャラクターも出番が意外と少なくてちょっと残念。もうちょっとジーナおばあちゃんの凄みを見せて欲しかった…。というかなんで終盤でのラスボスの超手前に家を配置しているのか謎ですよね。
それにフィラトヴァはかなりアッサリ倒されてしまっていてビックリ。トレーラーではP-3がサチノフから彼女を守るような素振りをしていましたがそんなシーンは無く、一連の真実を説明をした後すぐ死んでしまうというなんとも勿体無い退場で驚きました。なんだかクリアを急がされているような展開で若干大人の事情を感じます。
ラストもチャー・ルズがジェリーマンとして生き残りましたが、その後のエピローグも物足りないまま「え?!これで終わりなの!?」と消化不良な気分で終わってしまったのも残念。4月のPS版発売と同時に配信される吹き替え版でもう一度プレイする予定ですが、ここら辺も納得いくDLCか何かが欲しいですね。というか字幕は一度に出てくる文章が多すぎてよく見れなかったのでやっぱり情報量の多いゲームは吹き替えが良いね。
それでは今回のAtomic Heartの感想文は以上です。
実はまだまだこのゲームについては語りたいことがたくさんあるのですが、それは気が向いた時にまた別の記事にしておきたいと思います。
映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん