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狙撃手はつらいよ【 スナイパー ゴーストウォリアー 】(PS3)
身を潜め、敵を撃て
スナイパー。それは遠距離狙撃によって後方から味方を援護する影の立役者。最前線のドンパチよりも、スコープを覗き、呼吸を止めて、敵に狙いを定めて撃つ。そんな静かな戦いが好きな人も少なくないだろう。本作「スナイパー ゴーストウォリアー」はそんな徹頭徹尾スナイパー主題のFPS。開発はポーランドのCl Games。シリーズ的には日本では未発売の一作目「Sniper Art of Victory」(Steamでは配信されているが日本語未対応)に続く二作目だ。ちなみに同じ発売元だけどスナイパーエリートシリーズとは関係ないよ。
ストーリー
タイラー・ウェルズ軍曹は9.11テロ後に海兵隊への入隊を決意した27歳の青年である。キャンプ・ペンドルトンにて射撃の特別訓練を受け、アフガニスタンなので活躍した。卓越した狙撃の腕前を持ち、現時点での狙撃成功数は確認済みのものが127回。未確認のものが100回と記録されている。
南米の独裁者バスケス将軍の排除を命じられたタイラーは最も信頼できる戦友のオニールとともにトレノ島に向かう。
トレノ島では、CIAの諜報員であるマイク・ロドリゲスが一足先に潜入し、
ミッションをサポートするべく工作活動を行っている。将軍を暗殺し、サポートについているマイクを無事に帰還させるのが今回の任務だ。
ブリーフィングを受けたタイラーは、大きなリスクを負うことなく達成できる任務であると見込んでいたのだが……。
FPSでスナイパーというと07年発売の「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」のその姿からモリゾーなんて呼ばれるギリースーツ(植物の塊のような迷彩服)で身を固め、緊張感ある潜入と狙撃が最高の名ミッション「オールギリードアップ」を思い出す。
本作もそのミッションを意識しているのか、ウクライナではなく南米のジャングルを舞台に常にギリースーツを着てミッションに挑んでいるし、常に敵地深くに潜入している。キャンペーンの作りもCoD感あるレールシューターだ。ステンバーイ
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ミッションはもちろんどれもスナイパー仕様で長距離からの暗殺はもちろん、潜入破壊工作に、味方スナイパーの支援、味方部隊の援護狙撃と多種多彩。
プロフェッショナルな仕事を追体験できる反面、味方が撃たれて単身戦うことになったり、ヘマして無線機落として連絡が取れなくなったり、ヘリに乗り遅れて一人ぼっちになったり、金に目が眩んだ仲間に裏切られたりいろんなピンチによく見舞われるので、「スナイパーも大変だな」と思うばかりです。
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狙撃スキルが光る
そんなスナイパーのために作られたゲームなのでFPSの作りもスナイパー仕様になっている。手ブレを抑えるための「息止め」は本来の用途以外にも敵だけ色が変化し発見しやすくなる上に、時間もスローモーションになるという凄い仕様。
さらにスナイパーミッションで面倒な距離と風による弾道の調節もスコープのレティクルとは別に赤い着弾点が表示されているので、長距離スーパーショットも夢じゃない。成功すればカッコいい狙撃モーションを拝めるぞ。
というかこのゲーム、第一印象はリアル志向なゲームかなと思ったけれどめちゃくちゃゲームしてるな!
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スナイパーも楽じゃない
そんな超強いスナイパースキルを持っている主人公だけど、スナイパーライフルとセカンダリのハンドガン以外の扱いは慣れてないようで、敵から拾った機関銃系の武器はリロードが長い上に、反動もやたら大きく弾もバラけまくるのでマジで使い物にならない。それに体力はかなり少ないため、数発ですぐにやられてしまう。あんな扱いにくい武器を遠距離から当ててくる雑魚兵士たちは普通にこの道のプロだ。
そして当時のCoDやバトルフィールドなどのFPSと比べるとグラフィックが微妙にボヤけているおかげで敵を視認しづらくなっており、スナイパーの割に敵の位置を確認するのが一苦労だ。さらにPS3との調整が良くないのか頻繁にテアリング(画面の上下がズレる現象)が起きるのも残念でした。
茂みに隠れろ
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そんな事で、このゲームで敵に見つかる事は、すなわち死を意味するので常に茂みの中で身を潜めながら行動しなければならない。茂みにいれば見つかる事はないが、油断して広いところに出るとすぐに見つかってしまうぞ。まぁ道路の真ん中にデカいマリモみたいな奴がいたらそりゃね…。
ステルスアクション的にはメタルギアソリッドのように敵の視界は確認できないけど、かわりに敵に見つかりそうになると上昇していく発見ゲージとレーダーのおかげで、わかりやすくは作ってくれている。けど、ステルスアクション系はそのゲームの「癖」を覚えるまでがやはり大変、本作も「癖」を掴まないとすぐにピンチに陥ってしまう。
おかげで何回も見つかってやり直しましたね、頻繁にチェックポイントがあるのが救いだ。
本作はどんな状況でも背後を取る行動と遠距離からの攻撃、そして時には敵を見逃す選択が大切だ。そういや自分このゲーム2回挫折して今回3度目のトライなんだよな…。
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癖とグラフィックと盛り上がらないストーリー
ストーリーに関してはピンチや裏切りなど緩急はあるものの、他のFPSと比べてしまうとそこまで派手な展開が無く、ロケーションもジャングル一辺倒で変わり映えに乏しく、キャラクターも地味なのでかなり淡白で物足りなさを感じてしまう。ラストに至ってはアッサリしすぎていて「え!これで終わり!?」と思う事間違いない。リアル志向なら地味でも良いけれど、途中でB級アクション映画みたいなアホなシーン入れるから余計そう思っちゃったよ!
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なんだろうこの微妙なビデオスルー映画を見た時のようなモヤモヤ感は…。思えばキャラクターの演技も見せ方も全て低予算アクション映画みたいだったな…。エンディングで流れるレゲエ調のヌルい音楽もそのモヤモヤに拍車をかけてるぞ。
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そんなシリーズ2作目は多彩なスナイパーアクション、長距離からの狙撃の気持ちよさ、緊張感ある潜入とは引き換えに、淡泊なストーリーと理不尽な難易度が少し残念なFPSでした。しかしこの「スナイパー ゴーストウォリアー」シリーズはその後5本も作られているので。今後の進化が楽しみでもあります。
DATA
スナイパー ゴーストウォリアー
発売:UBIソフト
開発:CI Games
対応ハード:PS3
(日本語未対応) Steam、Xbox360
発売日:2011年7月21日
ジャンル:FPS
公式サイト:https://www.ubisoft.co.jp/sniper/index.html
さらなる戦いへ
実は本作PS3版はメインミッションの続きとなる任務が遊べるDLC「未完の仕事 ( 原題:Second strike)」がはじめから同梱されている。太っ腹!
ストーリーは、メインミッションの直後、内容は残る幹部たちの始末だ。全然「THE END」じゃないやんけ!
更なる難易度の高い潜入や狙撃が楽しめるのだが、舞台は相変わらずの南米ジャングルで変わり映えが全く無いために間延び感は半端ないぞ。見つかれば即ゲームオーバーのステージも多く、難しくて何度もやり直しました。
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最終ステージでは悪の幹部、そして麻薬王たちをスナイパーライフル一つでまとめて地獄に送ってやるのだが、難しかった…。
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しかしこの任務はまだ終わりでは無く、さらに残った悪を倒すための最後のミッション「チャレンジ」もある。だから全然「THE END」じゃないやんけ!
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こちらは何故かレーダーや残弾数、体力ゲージが表示されない高難易度仕様でしか遊べない。さすがにこのあたりは上手い人の動画を見て参考にしましたが、それでも難しかった…。
とりあえずこれにてマーカス氏と相棒オニールの仕事はおしまいです。
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ちなみにオンライン対戦には少ないですが今も人がいて驚きました。そして皆スナイパーなので芋り合うゲームになっていましたね…。
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