更なるターゲットを撃て【 THE スナイパー2 〜悪夢の銃弾〜 】(PS2)
新たな戦いが始まる
ハリーの復讐は終わった。しかし一度血で染まった手を無かった事には出来ない。ハリーはまた新たな戦いに身を投じる事になる…。
本作「THE スナイパー2 ~悪夢の銃弾~」はPS1で登場した前作「THE スナイパー」の続編だ。主人公は前作に引き続きハリーで復讐を終えた後の物語となる。もちろん今回もハリーの声優は池田秀一だ。
前作の記事はこちら
更なるターゲットを撃て
ゲームとしては前作とは大きく変わっておらず、シンプルに指定されたターゲットを撃つだけだ。相変わらず弾丸の速度は遅いし、なぜか射撃音は「ポスッ」と射的の銃かと思うくらいショボイ。
そして今回はスコープを覗くと手ブレが生じるようになっており前回よりも慎重な操作が要求されるぞ。これはハリーの復讐に燃える力が消えたことを物語っているのかもしれない…(?)
そしてミッションは続編ということもあってボリュームアップ。ステージ数は増えて、ミッションのターゲットも人間以外にもアタッシュケースや監視カメラ、ミサイルの制御装置など多様に。更にステージ分岐によりマルチエンディングも用意されているぞ。
ただステージの難易度にはかなりムラがあり、簡単にクリア出来てしまうものから何度やりなおしてもクリア出来ない難しいものまである。更にターゲットのヒントも少ないので、誰を撃てばいいのかわからないのステージもあったりして少々やっかいだ。
そして本作では評価システムが追加され、着弾した部位で評価ランクが決まり、それによってステージやエンディングが分岐する仕様になっている。
ただしこの評価システムは少々クセがあるため、それを理解しないと正確なヘッドショットをしても評価が低かったりと理解するまで難儀するシステムだ。ネットでシステムの仕組みを知るまで、上手く狙って撃てば高評価が貰えるはずと思い、何十回とステージをやり直したよ…。
前作を越えられない演出
さて「THE スナイパー」といえば演出面が見どころで、池田秀一による独特の台詞回しがシリアスさを盛り立て少ないゲーム部分を補う役を担なっていたが、今回はその役目を全然果たせていない。
今回のストーリーは前作のようなシンプルな復讐劇ではなく、CIAとマフィアが盗まれた化学兵器を巡る話になっているのだが、ドラマパートの会話のチグハグさが目立ちまくり、説明も少ない上にセリフはやたら長かったり、演技が極端だったり、モブがC.Aを越える棒読みを披露するおかげでストーリーは全然シンプルではなく頭に全く入ってこない。
更にポリゴンキャラによるユラユラしたシュールな動きが、人形劇と言うしかない作りで凄い笑えてくる。シンプルシリーズだから贅沢は出来ないが、おかげで気分はアサイラム映画だよ。
一番残念だったのはステージの間にあった次回予告も無くなり、ただ次のステージ名と決まり文句「君は闇の向こうになにが見える…?」だけを読み上げるものになってしまった事。前作はやたらセリフが凝っていただけにアッサリしてしまつたのは非常に残念。
20年ぶりの決着
実は本作、自身が当時初めて定価で購入したシンプルシリーズのゲームだったりする。銃が撃てるゲームに惹かれて購入した中学生の心を挫くのに、これほど丁度良いゲームはなかった。この頃から自分の座右の銘は「安物買いの銭失い」だ。
当時は6ステージ目でターゲットが誰かわからず先に進めなかったけれど、今回は20年ぶりにきちんと全ステージをクリア。長く因縁のあった本作に決着をつけることがようやく出来た。
ちなみにおまけには前作同様エイリアンモードがあるぞ。(前作以上にあっさりしてるけど)
本作はやはり前作と比べるとだいぶ惜しいゲームで、クリア後は達成感よりも徒労感の方が強いのは評価システムと妙な難易度の高さが原因だ。
ストーリーも色んな意味で面白いし笑えるけれど、ハリーの物語をもっとしっかり描いて欲しかったな…。
本作以降THE スナイパーに続編は無いけれど、現行Switchでシンプルシリーズを展開している今、もう一度ハリーの活躍を見てみたいね。
DATA
SIMPLE2000シリーズ Vol.16 THE スナイパー2 ~悪夢の銃弾~
発売:D3パブリッシャー
開発:ベストメディア
対応ハード:PS2
発売日:2002年11月28日
ジャンル:スナイパー
注意:以下文章はネタバレを含みます。
キャラクター・ストーリー総括
本作はストーリーが散漫になっているため、改めて各キャラクターの行動を確認していきたい。こうして書いていても推測がはいるし、やっぱりよくわからないところが多いな…。
ハリー・C・スペンサー ( CV:池田秀一 )
本作の主人公。前作では恋人を殺され復讐の鬼と化していたが、その復讐を終えて今はC.Aと逃亡中である。そんな中スタンリーを助けた事で事件に巻き込まれてしまう。その上暗殺という、CIAの汚れ仕事を引き受けてしまう気の毒な人。
本作の問題は彼にドラマがあまりないところなんだよな…。
せっかくなのでハリーの使う武器についてご紹介
C.A ( CV:千葉道子 )
本作のヒロイン。前作に引き続き相変わらずの棒読み演技が光っており、長台詞ではその演技に拍車がかかっているぞ。
今回では冒頭でガブリエルに誘拐されるが、目的は彼女の抗体であった。
そして彼女が政府の人体実験の非検体であることが判明。タクラマカンに対して抗体のある遺伝子が組み込まれており、その中にはハリーの恋人のクレアの遺伝子も含まれていたことから、彼女にはクレアの記憶もあったらしい。なんだそれ…。
一応最も気になる部分に対してトンデモな答えが出たが、政府の人体実験などさらなる謎が増えてしまったぞ。
ちなみにこの人のグラフィック
スタンリー (CV:大原崇)
自称エンジニアのコメディリリーフポジの男。やたら過剰で雑な演技が場を和ませる。ただし話のテンポはとても悪くしているぞ。それと声優の大原崇は今となっては凄い人ですね。
その正体はCIA。スタンリーがアビーの店に行こうとしたのは彼女を調査するためあった。ハリーと共に行動するところから正義の男であるが、ハリーの素性を最初から知っていて近づいたと思われる。というかCIA多すぎませんか。
終盤、撃たれて死んでしまうが、死に際の会話では元気そうに話し、思い出したかのように死ぬシーンは本作最高の見所だ。撃たれる前の妙な笑い方も不気味だぞ。
アビー (CV:堤悠紀子)
CIA捜査官の女性。本名はシンディ・ミラー。タクラマカンを追っている捜査官という事だが、今回の事件の黒幕はコイツ。
マフィアに捕まり人質になってしまうが、その裏では結託しており、ガブリエルを利用していた。さらにそのマフィアまで裏切り、タクラマカンのワクチンを盗んでいる。そして中盤ファミリーを裏切った男と会っていたのも、彼女と二人でタクラマカンを売り捌こうとしていたのではないだろうか。
そして恐らくだが、ハリーが暗殺のターゲットにしていた人物は彼女にとって始末したい邪魔者だったのだろう。悪い奴だ。
ガブリエル・アミテージ (CV:菊地銀次郎)
元CIAの闇の世界では有名な殺し屋。マフィアの汚れ役を人質に取られたアビーのために請け負っていた。しかしそのアビーとマフィアは結託し、さらにアビーはそのマフィアすら裏切っていた。
グレーの髪にロングコート、そしてグラサンと厨二心をくすぐるデザインだけど、本作ではなんとも情けないポリゴンで虚しい。オス猫とメス猫の例え話が最高。ちなみに宇宙人編をクリアすると前作含め主人公が彼であることが判明する。
ちなみに冒頭でダイナーでマフィアがガブリエルを襲撃したのは用済みだったからかもしれない。そして彼がダイナーにいたのはアビーと会うためだったのか、そしてC.Aを誘拐したのは彼女のことを知っていたからなのか…よくわらん。
ベルナルディファミリーとベリーニ
棒読みマフィア。タクラマカンを街にばら撒くためにミサイル基地まで持っている。目的はタクラマカンを街にばらまき、ワクチンで一儲けする手筈だったが、アビーにワクチンを奪われヤケになって(?)街にミサイルを撃ち込もうとしていた。
そしてマフィアの背後にはベリーニ上院議員がいた。「ファミリーは奴らの駒にすぎない」というセリフからベリーニ以外にも悪い「奴ら」がいそうだ。