復讐の弾丸を撃て 【 THE スナイパー 】(PS1)
全ては復讐のために
そんなシリアスなストーリーの本作「THE スナイパー」は2001年に発売され、SOLとベストメディア開発のシンプル1500シリーズのスナイパーシューティングゲーム。
思えばこの頃、1999年に稼働したアーケードゲームのナムコの「ゴルゴ13」やコナミの「サイレントスコープ」などスナイパーライフルを使ったガンシューティングゲームが盛り上がっていたこともあり、流行りにとにかく敏感なD3パブリッシャーもその流れに乗った形なのかもしれない。
D3弾は特別仕様
そんなスナイパーゲームである本作だけど、固定されたロケーションでターゲットを探して、狙いを定めて撃つだけであるためとてもシンプル。さすがシンプルシリーズ。
使用する弾丸もほぼ一発だけのためゲームとしてはすぐに終わる。難点は弾の速度が信じられないくらい遅く、着弾までの間隔がどう考えたって大きい。D3の弾丸は当たれば殺傷力は高いけど、とにかく遅い。後半は動くターゲットに当てたりしなければならないので、この遅さに悩まされることになる。
足りないゲームを支える演出とレジェンド声優
本作はシンプルにターゲットを狙って撃てばクリアのゲーム。制限時間も短い上に、使用する弾丸も1発だったりするので、すぐにステージはクリアできてしまう。とにかく1ステージが信じられないくらい短い。
そんな短い1ステージを厚くさせるのは演出面。1ステージの構成はポリゴンキャラによるドラマパートとゲームパートをオープニングとエンディングムービーで挟んだ、テレビ番組のような作りだ。そしてエンディング後には次回予告となかなかに凝っている。
そしてドラマを引き立てるのはハリーを演じるのはシャアでケスラーでテレ朝版トニー・スタークでご存知「池田秀一」の演技。
ステージ間の次回予告の詩的な語りや劇中のセリフでは、シャアよろしく復讐者となった彼の怒りに燃える復讐心と歪んだ正義感をうまく表現しており、ゲームに厚みを持たせてくれている。「君は闇の向こうになにが見える…?」は本シリーズの決まり文句だ。というか定価1500円のゲームの予算何%を彼に使ったのだろう…。
その皺寄せなのかヒロインである「C.A」の演技との落差が凄いぞ。しかしストーリーの荒は多く、オチは相当無理矢理な説明で押し通したりと相当おかしい。こんなん納得できるかい!
侵略者を撃て!
とはいえ、制作者側も短いと思ったのか、本編の三周目ではボディスナッチャーよろしく人間に化けた宇宙人を狙撃するオマケモードが用意されている。今では珍しいタコ型宇宙人どもだ。
ステージは使い回しで、ストーリーもなにもないけれど、こういうおまけはちょっと嬉しい。
そんなわけで本作はその遅い弾丸には難儀しますが、池田秀一による厚みある演技と番組のような演出のおかげで、全8ステージ一周は1時間ほどでクリアできてしまう短さながらも、クリアした時には意外と満足してしまうゲームでした。
DATA
SIMPLE1500シリーズ Vol.56 THE スナイパー
発売:D3パブリッシャー
開発:SOL、ベストメディア
対応ハード:PS1、PS3(ゲームアーカイブスにて配信)
発売日:2001年3月22日
ジャンル:スナイパー