憧れのIIDXに触れる【 beatmaniallDX 7th style 】(PS2)
弐寺の敷居は高かった
例の如く思い出話から入るが、あれは2004年。17歳で高校二年の頃、たしか土曜日。高校は皆バラバラになったが、小学生来の友人3人で家で菓子を持ち寄り人のゲームを遊んだり、遊んでいるのを観るのが楽しかった。一人じゃたくさん遊べなくても友人が集まればいろんなゲームが観れるし遊べる。ネタバレなんか気にせずにRPGなんかも途中から観て楽しんでいた。
そんな友人が遊び始めたゲームは「beatmaniaⅡDX 7th style」。ビートマニアの後継作であるbeatmaniaⅡDXシリーズの7作目の移植作で、家庭用弐寺としては5本目となる。
beatmaniaⅡDX。通称「弐寺」と呼ばれるシリーズは当時は遊ぶまで物凄くハードルが高かったゲームの一つだ。
当時すでにポップンミュージックやDDRなどのコナミ音ゲーをアーケードで遊んでいたが、本作に関しては筐体を見てもコインを投入する以外の操作はさっぱりわからないモノで、選曲画面ではプレイする曲の音楽は流れず、どんな曲かさっぱりわからない(ジャンル名を見る頭は無かった)、オプションの付け方もわからない。ほとんど英語で構成された画面はカッコいいけれど何一つわからなかった。
そんなゲームを友人が家庭用で遊んでくれたもんだから「なるほど!こうやって遊べば良いのか!」と見ながら参考にしていたものだ。これで俺もドヤ顔で弐寺出来るぜ!!!
そしてアーケード筐体に触れるまでは本作で必死に練習し、まるで本番の発表会のようにドキドキしながらゲーセンで弐寺に挑んでいた事を思い出す。
あの筐体に立っただけでソワソワしたし、自分が少し大人になれたような気がした。(この頃アーケードでは12作目HAPPYSKYが稼働していた。)
弐寺にはカッコいいが詰まっていた
そして本作はボンクラ高校生の目にはとにかくカッコよく見えた。まず画面比率が16:9と、4:3の画面比率がまだ主流だった時代に取り入れており、凄く新しく見えたし、プレイ時には画面中央にムービーが映し出され、さながらVJがいるかのようなカッコいい実写映像や、アーティストのMVをそのまま流したりと、とにかく洒落ていた。どれも見たこともない表現をイカす音楽と合わせて見せてくれるんだからカッコ悪いはずがない。
それに今もなんて形容して良いかわからないサイバーで構成的なビジュアルデザインも超イカして見えたんだ。
さらに音楽はテクノにハウス、ユーロビートと多種多様なクラブミュージックの良い所取りでカッコいい上に、そのジャンルを知るという所でも勉強になった。しかも若い時代に出会う曲なんだからハマらないわけがなかった。
この頃はまだSpotifyもApple Musicは存在しない上、TSUTAYAでCDレンタルは目玉が飛び出るほど高く、一枚3000円するアルバムを買うなんて頭は働かない高校時代。ラジオとテレビ程度でしか音楽を触れる機会がない中でビートマニアなんか触れちゃったら感化されるに決まってる。
成長を感じる快感
そして本作の魅力はサウンドやビジュアルだけではない。ゲームとしてもよく出来ている。7つのボタンに、ターンテーブルの操作は、当初難しくて滝のように降ってくる譜面に「こんなの無理だ!」と叫びたくなるが、何度も諦めずにコツコツ遊ぶと不思議とだんだんクリア出来てくる。
低難易度の曲からプレイしていき、目標にしていた曲をクリア出来た瞬間は超嬉しい。そう、この成長の実感と達成感こそが音ゲーの醍醐味だ。
また本シリーズには段位認定というモードがあり、クリアすれば「七級」「初段」と段位を貰える。段として自分の実力が視覚化される感覚は最高だ。もっと上を目指したくなるに決まってる!
あの憧れのイカす高難易度曲を涼しい顔で軽やかにプレイしたいぜ!(尚著者は七段あたりで壁にぶち当たった模様。)
7th Styleを飾る名曲たち
そんな本作は名曲揃い。avex印のユーロビートから、ハウス、テクノ、トランスが多く、Ryu☆氏などが本格参加以前なので落ち着いた雰囲気の曲が多い。どれも当時は新鮮に見えたものであるし、大人っぽく見えた。ちなみに今では数多いハードコアは旧曲で「starmine」が収録されている程度だ。
せっかくだから自分の好きな曲を紹介しよう。
「 A 」 D.J.Amuro
実はDDR EXTREMEで存在は知っており、ビートマニアとはこんなカッコいい曲があるのかと衝撃を受けた曲。中高校生を拐かすにはこの曲と「革命」や「V」などでイチコロだった。
本作はその特殊なロゴと、曲の展開も前半と後半で大きく変わるので今聞いてもやっぱり盛り上がる。思えば今後の厨二路線の片鱗を見せる一曲だ。
「 LOVE ME DO 」 AKIRA YAMAOKA
サイレントヒルのコンポーザーでご存じ山岡晃氏のふざけていない曲。ドスドスしたドラムを叩くのが非常に気持ちが良いし、riewo氏によるボーカルも他にない雰囲気の曲になっていて今聞いてもとても良い。やっぱりアルバム買わなきゃな…。
「 2002 」 tigerYAMATO
南雲玲生氏の別名義tiger YAMATOシリーズの一曲。硬質な音楽に合わせて目まぐるしく変わる実写と構成的なビジュアルとイラストのムービーは超カッコよく見えた。ってこの曲22年前の曲なんですか…へぇ…😨
本作には同アーティスの過去曲「Y31」も収録されており、そちらもとても好きでした。
「 stoic 」 TaQ
曲のイカす渋さもさることながらやはり、ムービーのインパクトが大きすぎる一曲。座禅した坊主が上半身だけで踊り狂う姿は面白すぎるし、今見ても独創的すぎてカッコいい。ゲームには本来関係無い映像部分で、様々な表現を見せてくれるのも弐寺の面白さのひとつだった。
「CLOUDY MUSIC」 SLAKE
SLAKEこと藤井岳彦氏の渋くイカすドラムンベース。ボーカルの歌声といい、SLAKEらしい中毒性の高い音使いはずっと聞いているけど飽きることはない。大好きなSLAKEの曲の中でも5本指に入るくらいの一曲だ。
他にも…
他にもピアノの音色が軽やかで気持ちのいい「Spica」やコナミサウンドでテンションが上がる「Burning Heat!(Full Option Mix)」、軽快なユーロビートが気持ちの良い「BURNING UP FOR YOU」が好きだね。
そして家庭用7thに収録されている前シリーズ曲も「Summer Vacation」「DXY!」「sync」「Blueberry Stream」「V」と名曲揃いなのも嬉しかった。さらに隠し曲で先行曲となるRyu☆節が降臨する9thの「Abyss-The Heavens Remix-」とムービーがオシャレすぎる8thの「murmur twins」が遊べるのも嬉しかった。
最後に
今本作を遊ぶとまずHDMI接続のディスプレイでは判定がズレる。さらにオプションはHI SPEEDが4段階しかない上に、SUDDEN+なんて便利なものも無いのでタオルを使わなきゃもうまともに遊べない。鍵盤を押した時のライトもやたら濃かったりと現在の弐寺のプレイ環境とは比べもの位ならないくらい不便だ。
しかし今でも遊ぶと当時の本作を遊んでいたあの頃、そして「次はどんなカッコいい曲が聴けるのだろう」「どんなイカす映像を見せてくれるのだろう」とワクワクしていた事を思い出す。
本作は31作あるシリーズの中の7本目の家庭用にすぎないが、僕にとってはとても意味のある大事な一本だ。
DATA
beatmaniaIIDX 7th style
発売 / 開発:コナミ
対応ハード:PS2
発売日:2004年8月5日
ジャンル:音楽シミュレーション