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ファルコム現代奇譚【 東亰ザナドゥeX+ 】(PS4)

ファルコムRPGを遊びたい…!

最近日本ファルコムのゲームを遊ばないとソワソワするようになってきた。ああ、なにかファルコムのゲームを遊びたい…。あの優しい世界観で丁寧で職人技なバランスのRPGを遊びたい…。これは完璧にファルコム依存症だ。

そんなイースXをどのハードで遊ぶか迷っている間に購入したのは「東亰ザナドゥeX+」。2015年に発売したオリジナルのVita版から翌年に追加エピソードや高フレームレート化を加えた発売したeX+(エクスプラス)であるPS4版だ。
日本ファルコム初の現代日本が舞台のARPGということでかなり興味のあった一本だったのでイースXを遊ぶ前にサクッとクリアしてしまおう…。
ちなみにザナドゥシリーズは遊んだことはありません。

魂に宿した武器<ソウルデヴァイス>で戦え!

そんな本作のストーリーは前知識がほとんどなかったので、遊んでみて驚いた。選ばれし力を持った高校生【適格者】たちが、人ならざる異界の者たち【グリード】のによる侵食【イクリプス】の悪事を、自らの魂に宿した武器【ソウルデヴァイス】で戦い解決していくお話なのだが、その味付けはどこまでもコテコテで厨二病真っ盛り。そしてこれこそ本作の見どころだ。

無力な主人公の前に語りかける声!ARMSか!
いでよディソード!…じゃなくて『ソウル・デヴァイス』!
やっぱ自らの精神が具現化した武器はイカすな〜

やれやれ系主人公とクールな美少女が織りなす物語は「ネメシス」などのイカす横文字の組織に、叫びたくなるクールな必殺技、カッコよすぎるデザインの武器とコテコテすぎるくらいド直球ストレート。そして様々な怪事件と少年少女たちの成長物語という、これまでのJRPGで幾度と見てきたものが全て詰まっている。

ペルソナシリーズのようなオシャレな雰囲気で身に纏ったりもしない、その往年の深夜アニメや少年ガンガンの漫画のような物語にはじめは面食らったが、そうと決まればこちらも楽しまなきゃ損だ!

主人公を助けてくれた美少女が属する裏組織は結社「ネメシス」…!?
そっちの方向のゲームだったか〜〜〜

しかし厨二病というものは言葉で揶揄し冷笑の的にされるが、やはり若き頃に一度はドップリ摂取しておいたほうが良い大事な栄養素だ。本作はそんな若者達に対し純粋な栄養だけを十分に与える狙いもあったのでは思うと、大変意味のある事をしているように思える。
もし自分が中2の頃に本作をプレイしていたのならきっと相当感化されていたに違いない。(ちなみに自分は当時テイルズオブエターニアやキングオブファイターズ等で摂取しておりました。)

名作へと続くファルコムARPGの系譜

そんな本作のゲーム部分は、イースと並ぶアクションRPG。ノンストレスな操作性はイース譲りだ。今回難易度をノーマルより一段階高めの難度「アドバンスド」を選んだこともあり、なかなかの歯応えでした。戦闘面ではイースよりも雑魚敵との戦闘に重きが置かれており、敵の間合いを計りながらの戦闘は爽快感はあまり無いけれど、重い一撃を喰らわなように戦う緊張感があってとても楽しめました。

また何度もダンジョンを周回してアイテムを集めるなどの要素もあり、イースのような冒険感は無いが、ダンジョン攻略をストイックに楽しめる。
あとお金周りも頑張らないと貯まらない、インフレしにくい絶妙なバランスでファルコムの職人技が垣間見えるね。

イースと同じで属性に合わせてキャラを切り替えて戦おう

また日本ファルコムのアクションRPGの発売順で本作を見ると「イース セルセタの樹海」と「イースⅧ」の間に位置するゲームだ。
イースシリーズだけで見たらこの二本のゲーム性は大きく差がある訳だが、間に本作が入る事で、セルセタの俯瞰視点から背面を追随するカメラへと代わり、アクションやダッシュ移動もさらに軽快になったりなど、名作イースⅧへと続くファルコムARPGとしての進化を更に理解出来た。やはりこの進化と反省を繰り返して着実にゲームを楽しくしていくファルコムの真面目なゲーム作りがたまらん。そりゃ触れたらみんな虜になる訳だよね。

前半は難易度も高めにしていたのでなかなか苦戦したなぁ

ただキャラクターの必殺技が増えたりなどは無く、成長要素がステータスのみなのが少し寂しくもありました。なのでゲームの後半はダンジョン攻略に少し飽きがきてしまう作りになってる。(その代わり仲間はたくさん増えるのは嬉しい。)

護りたくなる生きた街

そんな本作の第二の見所は東京多摩地区の街「社宮市」そのもの。駅前は立川駅に似てるし、往年の商店街に、オタクショップが目白押しな中野ブロードウェイ感たっぷりのモール、果てはスカイツリー的な塔がある都心から少し離れた静かな街だ。

駅前広場。このアーチは立川っぽい!

そんな街の雰囲気作りはダンジョンやストーリー以上に凄い。ストーリーとは関係なく普通に学校に通う生徒や街で生活している人々の多くに名前や専用のグラフィックがあり、そこで各々生活を送っている。普通なら世界観を補助する背景程度であるはずの人々の台詞は日々によって変わる上に、サイドクエストで深く関わることになったりとテキストが多い上に芸も細かく、一人ひとりに人生を垣間見てこの社宮市全体の営みと息遣いを感じる事が出来る。主人公がこの街を守りたくなるのもおのずと理解できる上手な作りだ。

仲間やクラスメイトだけではなく、街の人々にもストーリーがきちんとある。

怒涛の特盛ボリューム!

そしてゲームのボリュームはクリアまでおよそ70時間とたっぷりかかりました。イベントやサイドクエスト、さらにPS4版で追加されたサイドストーリー、そしてダンジョンの数もどれも大盛りで、それを全てこなすとかなりの物量だ。ボリュームは満足感はあるけれど、さすがに後半は似た構成のダンジョンに何回も挑戦したり、長めのイベントを何度も見たりしたおかげで食傷感は否めない点も多々ありましたね…。

本作は当初その厨二的設定や展開についていけるか非常に不安でしたが、結果的には魅力的で面白いキャラクターとノリノリで楽しめたし、ファルコムの新たな挑戦とその後のイースシリーズに続くARPGを拝むことができたのでとても満足できました。

そして今年、本作が10周年を迎え、続編「亰都ザナドゥ」が発表された。日々進化するファルコムが次はどんなゲームにしてくれるのか、そしてどんな人々が異界に立ち向かっていくのか、過去キャラは登場するのか、色々気になってしょうがない!これは楽しみが増えたぞ!


DATA

東亰ザナドゥeX+
発売 / 開発:日本ファルコム
対応ハード:(オリジナル版)Vita
                 (eX+版)PS4、Switch
発売年:2016年9月8日(PS4版)
ジャンル:都市型神話アクションRPG
公式HP:https://www.falcom.co.jp/txana_explus/


[以降はの文章はネタバレを含みます。]

短くも濃厚すぎる4ヶ月

本作を遊んで一番驚いたのは新学期から始まった物語が四ヶ月後の一学期の終わりでエンディングを迎えてしまう事だ。ペルソナのように一年を通して物語が進むかと思いきや、いくら遊んでも日にちが全然進まず、たった四ヶ月間の間に幾つもの事件を目の当たりにしながら仲間達と出会い、そして精神的に成長し、ゴールしてしまった。いくらなんでもくらい濃すぎる。

また絶対的な悪が、ほぼ言葉の通じない異界の者達だけというものもあり、お話があまり盛り上がらないのも残念でしたね。
中途半端に悪い御厨やアキヒロ等はいましたがすぐに更生してしまいますし。まぁ基本的にファルコムRPGで悪党はほんの一握りな印象ですよね。

にしても本編に加えPS4版で追加された章の間に入るサイドストーリーやら、アフターストーリーとこれでもかとボリュームを詰め込みまくっているので本当に長い。後半はボスが意外とゴリ押しでなんとかなるとわかってしまい、丁寧に倒していた雑魚敵を無視して進んでいました。

でもまぁ長く冒険してきた仲間達の時間と余韻は長い方が良いですよね。だRPGのクリアは冒険を共にしてきた仲間たちとの別れであり、毎度寂しいものです。それに社宮は良い街だったな…。

キャラクター所感

本作の魅力はやはり個性豊かな仲間たち。長き冒険を共にする彼らとの物語はとても楽しかったですね。そんなわけで一人一人サクッと語っていきたいと思います。

時坂 洸

(CV:浅沼晋太郎)

本作の主人公にして柊明日香さんのお手伝いをする会…もといX.R.Cの部長。冷めてるようで内に熱い思いを宿したベタなやれやれ系主人公だが、不器用ながらも決めるシーンではところは必ず外さないニクイ奴。

にしても仲間たちに対するフォローや励まし等のメンタルケアが毎度上手すぎて、終盤はそれが逆に怖くなってきました。お前本当に高校生なのか…?

終盤の展開はさすがに気の毒すぎて可哀想でしたが、エピローグで救われてよかったです。

落ち込む仲間にすかさず怒涛のフォローにはビビりました

柊 明日香

(CV:嶋村侑)
個人的にはGのレコンギスタのアイーダ様なんだけど、
こちらもいい感じのエキセントリックさでしたね。

容姿端麗成績優秀のミステリアスな立ち振る舞いの帰国子女委員長。その正体は特務機関ネメシスの若きエース!スラスラと厨二的な台詞を恥ずかしげもなくクールに喋り、目的のために手段を選ばない、東亰ザナドゥを東亰ザナドゥたらしめる張本人!それが柊明日香さんだ!

ついに主人公にこう言われてしまう始末!

自分がもし中学生の頃に遊んでいたらなんだか狂わされていたかもしれないと思いながら、今遊んでしまうと終始その厨二っぷりが面白くなってしまう人でした。ずっとそのままでいてください。

にしてもオープニングアニメでスマホをシュパーンとするシーン、本編では誰も一切やりませんでしたね。

郁島 空

(CV:加隈亜衣)
ブレイブウィッチーズの主人公である雁淵ひかりとおなじ加隈亜衣さんで、
妹属性もあり個人的には最高でしたね。ちなみに左の女の子ですよ。

ソラチャンカワイイヤッター。そんな妹属性な空手少女。謎や暗い過去を持つキャラクターばかりの中でとても純真でまっすぐな性格の持ち主だ。本作の女性キャラの中でソラちゃんが一番かわいいぞ!

ただステータス的にはエレメントを4つしか装備でき出来ないのは悲しすぎる…。

四宮 祐騎

(CV:山下大輝)
正直このOPアニメと本編との印象のギャップが一番大きい。

武闘派ばかりのX.R.Cの知識担当の一年生。どう考えても高一とは思えないスキルを持ったオーバースペックなお方。戦闘でもクセがない技ばかりで最も使いやすい。おかげで射撃を強くしまくればXドライブからの射撃連射でラスボスも粉砕出来た。お前がX.R.Cのエースだ。弾幕弾幕っ

キャラ的にも歯に衣着せぬ物言いでもにかく生意気小僧だが、最も現実的でプレイヤー視点に最も近い人物かもしれない。

高幡 志緒

(CV:鳥海浩輔)

学校の頃の先輩って一つや二つくらいしか歳が離れていないのに、何故あんなに大人に見えたんだろうと、ふと思わせるデカい背中のイカす先輩。
漢気溢れる立ち振る舞いはベタだけど最高だし、蕎麦屋で働いて甘味を作っているのもギャップ萌えだ。

戦闘も大振りな技ばかりで癖は強いけど、そのタフさと一発の大ダメージが気持ち良すぎる!技名の叫び方も熱くて大好き。シオ先輩パネーっす!

一年生組にご馳走していたシーン好き

北都 美月

(CV:山崎はるか)

北都財閥令嬢にして生徒会長、そして「ゾディアック」の白き巫女とファルコムの青髪キャラらしさたっぷりのお方。戦闘も唯一のバリア持ちで使いこなせればやたら強い。
柊明日香さんと違って話がわかる方なのでとても良い人であるが、良い人すぎて他のメンツに比べると地味になってしまうね。

玖我山 璃音

(CV:沼倉愛美)
後からアイマスの我那覇響と知って驚いております。

異界に大きく人生を狂わされてしまったアイドル。しかし彼女の根性の強さと明るい性格でノリノリで異界に対抗する展開はなかなか痛快でした。
真面目なキャラクターが多い中で明るいムードメーカーでしたね。

佐伯 吾郎

(CV:森川智之)
やっぱ森川ボイスの安心感はたまらん…。

謎のイカす英語教師。そんな奴が何にもないわけがなく。国防軍の特務3佐でした。なぜ教師する暇なんであるんだ。
にしても最後の仲間が先生とは恐れ入りました。

思えば学生の頃担任になって欲しいタイプってこんな感じの教師でしたね。少年が憧れる大人像として非常に良いとおじさんは思います👴
にしても事あるごとに煙草をふかしまくるのがなかなか面白いですね。

小日向 純と伊吹 遼太

右がジュン(CV:伊藤かな恵)で左がリョウタ(CV:阿部敦)

コウのクラスメイトと思いきや、最重要キャラだったジュン。
アフターストーリーでは暴れまくりまくっていて面白かったです。戦闘モードになると声色が怖くなるのが面白すぎました。
そしてまさかときメモの好雄ポジションのリョウタまでプレイアブルキャラになるとは予想外でした…。

倉敷 栞

(CV:茅野愛衣)

日本ファルコムのヒロインってことはそうなるよな…。と最後の最後に気付かされてしまったコウちゃんの最高の幼馴染。
その理不尽な展開に驚きつつも、納得もしちゃうのはこの会社の業の深さを物語っていますね。

しかし最終的にはエピローグでとんでもなく都合の良いハッピーエンドを迎えることが出来てホントよかったです。いやもうね、苦いリアリズムとか後味の悪さとかより、これくらい気持ちよく開き直ったハッピーエンドの方がこの歳になると良いんですよ。辛いのは現実だけで良いよ。だからマジでホントにこれで良かった…。

佐伯先生。俺もそう思います。

そんなわけで大変長くも、その分大変魅力的に掘り下げられたなキャラクターばかりだった本作。なんだかんだで最後の最後まで非常に楽しませていただきました。

あと本作の一枚絵はどれもキャラクターが生き生きしていて、良いイラストばかりだ。

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