水曜どうでしょうの新作は正真正銘の「どうでしょう」だった
ついに水曜どうでしょうの令和初の新作「北海道で家、建てます」が11夜にて完結した。とても短く感じる充実した10週間。
正直最後の回では大泉の動揺と共に大笑いしてしまった。
まさに最後は水曜どうでしょうらしい締め括りで終えた素晴らしい企画だったと思う。しかしこのオチに至るまでには相当な苦心があったであろう。
前々回の2011年の企画「原付日本列島制覇 東京-紀伊半島-高知」と前回の2013年の企画「初めてのアフリカ」は今までのどうでしょうを期待した僕としてはかなり残念な企画だった。
正直孤独な4人の旅ではない、知らないカメラマンや偉い人達もいる知らない仲良しグループの馴れ合いを見ている気分になってしまい、「そこら辺の兄ちゃんだと思っていた大泉はもう大物だし、あの頃の面白いどうでしょうは見れないのか」という寂しさを感じるものになっていた。(でもあの国立公園の動物の取れ高は凄いし、ガイドのモノマネは面白かった)
あれから数年経ち、暦も令和に変わり、評判はもちろん彼らの耳に入ったのだろう。
藤村Dや大泉洋達も前作のことは言わなかったが相当な苦悩を背負っていた第一夜の企画会議から伺える。なにが面白いのか、どうでしょうらしさとはなにか、そんな事を考える大泉洋達の苦悩。自ら迷走しているとこぼす藤村。そしてそこには今回も正直ダメなんじゃないかと思ってしまう自分もテレビの前にいた。
そして大泉が打ち上げたどうでしょう三か条「アルコールは飲むべからず」「敬語を使うべし」「新企画をするべし」が打ち出された。
そんなもの本来は必要ない。しかしそんな取り決めを大泉洋が率先して作りたくなるほど彼も自分の育った番組を長く続けるために守りたかったのかもしれない。
そして始まった今回の企画「北海道で家、建てます」はどうでしょう発祥の地である北海道オンリーの企画。しかしその内容は迷走しているというだけあって荒削りだった。
自称旅番組とは思えない代わり映えの無い絵面、面白いのかわからない家の建築と序盤はテンポの悪さなどが最初は悪い部分が目立つところもあったが、後半からは藤村の寝付きの良さとイビキだけで皆が騒ぐ回や、大泉抜きで家を作りドローンを故障させたりなどのアクシデントが増え、昔の大泉に対する扱いの雑さや、ミスター鈴井の黙々とした作業など見所がだんだん増えていく。もちろん人気のシェフ大泉の復活も牽引してくれた。(しかしコイツ料理うまくなってやがる)
そして最終夜である11夜の大事件はまさにサイコロの旅や拉致事件などをしていた頃を思い出すかのような「水曜どうでしょうらしさ」しかない最高で最悪のオチだった。
この瞬間僕は水曜どうでしょうが久しぶりに帰ってきたんだと確信した。4人もそれを掴んだだろう。
まさに今回の企画は迷走しながらも自分たちの行末を探し、そして神か仏か悪魔が降臨したかのような衝撃的なオチが用意された復活の一本になったのだ。
そして彼らの旅は続く。
次の旅は4人だけの海外企画。
また僕らの見たかった彼らの旅が帰ってくる。
アカプルコか?