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あの頃の秋葉原へ 【 シュタインズ・ゲート 】(XBOX360)

2011年の秋葉原。

そこで見たのは本物のラジオ会館に墜落した人工衛星だった。
ガラケーや目新しかったスマホを掲げて撮る人々、地上に溢れる主人公岡部倫太郎のような白衣を着た人々(ダルやまゆしぃっぽいのもいた)。あの時、確かにみんながシュタインズゲートに熱狂していた…自分を除いて。

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指が写り込んでるやんけ↑

俺はといえば秋葉原より中野派で中古プレステにうつつを抜かし、現実どころかオタクカルチャーからも乖離した生活を送っていた。(とはいえアイドルマスターとペルソナ4はちゃっかりやっていたな。)

そんなある日、友人たちと見たあの光景(当日は漫画版「孤独のグルメ」の聖地巡りをしていた)も心に響くどころか一応写真を撮って、その訳の分からない光景をポカーンと眺めていただけだった。
思えばなんて勿体無いことをしていたのだろうと後悔している。

あれから11年

今更タイムトラベルというSFワードに誘われてプレイしたシュタインズゲートに自分は完全にやられてしまった。
ハードながら面白いSFでサスペンスな展開。愉快な登場人物たちによる、どこまでも賑やかで楽しい掛け合い。「こっこんなに良い作品だったのかシュタインズゲート!」そんな事を思いながら、もう皆が10年以上前に味わった感覚を今味わっている。

そして本作に遊んでいると不思議な感覚に陥る。これは個人的なモノだけど、本作の舞台である2010年に当時の自分も主人公岡部倫太郎達と似た年齢の大学生で同じくよく東京で過ごしていた、なのでまるで自分の知らないところで同世代の主人公達がIBN5100を巡って秋葉原を奔走してるような気がするくらい自分は彼らを身近に感じたのだ。

そして身近に思えるもう一つの要因に、本作の舞台である秋葉原の再現度の高さもある。
本作はアクワイアのアキバシリーズのようにポリゴンで秋葉原を再現したわけでは無い、ごく普通のビジュアルノベルだが、秋葉原の様々な企業と協賛しており、アニメイトやメロンブックス、まんだらけにあきばお〜、そしてラジオ会館などオタクなら誰しもが知る秋葉原ならではの実名店舗やドクターペッパーなどの商品名などがテキストで数多く登場し、まるで主人公達も現実と同じ秋葉原に存在しているかのような錯覚を覚える空気感を漂わせているのだ。他の日本を舞台にしたゲームでもこうはいかない。それだけ本作の秋葉原の再現度は凄いのだ。

きっと当時本作をプレイしていたなら、よくレトロゲームを求めてスーパーポテトに通っていたあの瞬間がとても特別に思えただろう。もっとドクぺにハマるのだって早かったかもしれない。やっぱり変に捻くれたりせず人気作や話題のゲームは流行っている時に素直に楽しむべきだったな…。

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2000年代後期から2010年代初頭かけての秋葉原は正に萌えの中心だった。
メイド喫茶とパーツ屋と海外DVDと輸入ゲームに溢れ、オタク達が我が物顔で跋扈していた時代。怪しげなガールズバーも大量の外国人観光客もポケモントレーナーもまだいない、まだ秋葉原が如何わしいオタク達の街であった頃の雰囲気をシュタインズゲートはこれでもかと漂わせてくれている。
他にもSNSがTwitterではなくまだmixiで、まだ2chが全盛期だった頃のインターネット世界の雰囲気も素晴らしい。それに本作のテキストや台詞の至る所に飛び出す懐かしのネットスラングの数々が昔は恥ずかしかったが今は全てが愛おしい。スィーツ(笑)なんて言葉あったなぁ…。

そして2021年

蘇ってくるたった10年前の郷愁に浸りつつ、あの時遊んでいればという後悔に駆られながら僕はこのゲームをクリアした。
メールの返信によるフラグ管理など攻略を見なければわからない所もあったが、周回プレイもすんなり遊べた。本作は文句なしの面白さだけでは無い、あの頃の秋葉原を思い出させてくれる、僕にとって特別で素晴らしいゲームだ。


DATA

シュタインズゲート
発売:5pb. / MAGES.
開発:ニトロプラス
対応ハード:Xbox360(上方互換有)、PS3、PS4、PSP、Vita、PC、
Switch他
発売日:2009年10月15日(Xbox360版)
ジャンル:想定科学ADV



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