シンプル随一のキワモノ【 THE ミニ美女警官 】(PS2)
これは怪しい…!
シンプルシリーズ。当初はボードゲームやスポーツゲームなどシンプル(簡素、単純)という意味に合ったうまさしくシンプルなゲームが発売されるが、ナンバリングが後半になるにつれて「THE 大美人」「THE ゾンビvs救急車」「THE カメラ小僧」など「シンプルとは…?」という疑念がよぎるゲームが増えていくのがこのシリーズの常。本作「THE ミニ美女警官(ミニスケポリス)」も例に漏れずにシリーズ後期に登場した疑念を持ちたくなるシンプルシリーズの一本だ。パッケージの雰囲気から既にシンプルではない。(ちなみに二丁拳銃の装備は無い。)
違法ドラッグ「ピロジン」を追ってヤクザに占拠された街を舞台にミニ美女警官「鮫島 桃」が一人立ち向かうというストーリー。企画、ゲームデザイン、シナリオ等は知っている人は知っているアングラ系サブカルライターのクーロン黒沢氏が担当している。もうこの人の名前があるだけで他のシンプルシリーズとは違うベクトルのヤバさが漂ってくる…。
雑なステルスアクションに慣れろ!
潜入捜査ということで敵に見つからないように倒していくステルスアクションが基本なんだけど。これがなかなか難易度高め。
アクションやカメラ操作(縦横ともにリバース)は癖があるので慣れるまで結構大変な上に、主人公の体力も心許ない。
ステルスアクションとしてもメタルギアソリッドのようなしっかりとした作りでもないため、敵の行動パターンなどこのゲームの癖を覚えるまではなかなか大変。というかしゃがんでるだけで敵が正面目の前にいるのに見つからないとかどういう仕様なんだよこのゲーム!
そして敵に対して肉弾戦ではまったく歯が立たないので、銃や手榴弾などの武器を使用するか、背後からの必殺の金的が基本戦術。「チーン!」とコテコテのSEが最高だ。
そして本作の売りの一つとしてあるのは、一定のダメージをくらってしまうと服がどんどん砕け散っていく非常にシンプルシリーズらしい仕様。
その度にヤクザが「ウヒョー!」と言わんばかりに喜ぶのが最高に下品で最高だ。敵が喜んでいる間は攻撃や撤退に使えるのがゲーム的に考えられていてなんかムカつくな!(理不尽)
ただ服が砕け散っている間は読み込みと硬直があるので若干テンポが悪いぞ。
怪しすぎるミニスケワールド!
そんな狂ったゲームを彩るのはクーロン黒沢氏によるシンプルと言う言葉からかけ離れた唯一無二の狂気の世界。端々に聞こえるゲスなセリフ、射殺を命令する上司、街で高らかに流れるテレクラの広告、香港のカタコト女刑事、ピロジン中毒者の笑い声が響き渡る病院ステージと濃厚な怪しさがたまらない。そして極め付けは強烈すぎるビジュアルの敵幹部達。
7歳まで犬に育てられた拷問マニア『ラバーマン』!
言葉は喋れず、常に奇声を発しながら襲ってくるぞ!うるせえ!
四つん這いで動く虫好きの女幹部『九蓮宝燈』!
レスラーガスマスクをして
網タイツチャイナドレスという超デザインだ!!!
置物ではない!頭がアレで自分を三国志の関羽だと思い込んでる男!
ラスボスは裏切り者の主人公の上司『殺人ピエロ』!
この姿は彼の特殊な趣味によるものだ!!!ちなみに弱いぞ!
ストーリーの終わり方これもまた「ミニ美女警官の戦いは続く!」といった締め方で、この前遊んだ「THE キョンシーパニック」といいあわよくば続編を作ろうとする姿勢がなんともいえない!
難しいけど他にないアブノーマル体験
後半はわかりにくいミッションや、心許ない弾数の装備で大量の敵を相手にしなければならないステージがあったりでかなり大変だった。特にステージ5-1はステージが長い上に敵の量も多いのでとても大変でした。攻略動画がなければ諦めていた…。
クリアまでは6時間弱、難易度は高いですし、納得がいかないこともたくさんありますし、操作といいカメラといいこのゲームの癖を覚えるまでは苦労しますが、怪しい世界観がたまらなく楽しいゲームでもありますので、なにか普通じゃない怪しいゲームを遊びたいと思った時にはおすすめです…いや、勧めていいのか?
DATA
発売:D3パブリッシャー
開発:ダフト
対応ハード:PS2
発売日:2005年11月10日
ジャンル:アクション
公式HP:https://www.d3p.co.jp/s_20/s20_088.html