ひとりぼっち海賊無双【 THE 海賊 】 (PS2)
人気者を合体だ!
海賊。2006年当時その言葉で連想されるものは二つあった。一つは漫画「ワンピース」そしてもう一つは「パイレーツオブカリビアン」だ。誰しもあのジョニー・デップ演じるジャック・スパロウに熱狂していた時代、そんな時に、あの会社が黙って見ているわけがなかった…。
そんな訳で我らがシンプルシリーズから出来ました。流行りのジャック・スパロウ風主人公と、流行りの無双アクションを掛け合わせた、デジタルウェア開発ゲーム「THE 海賊 がいこついっぱいれーつ!」でございます。
本作は自称海賊の主人公が伝説の宝求め、幽霊船ひしめく魔の海域へ冒険するアクションゲーム。次々とやってくる幽霊船での骸骨やゾンビ、幽霊になった海賊達と一騎当千風味に戦いながら財宝を目指していくのだ。
アクションは当時流行りに流行って個人的には食傷気味だった無双アクション系。周囲にワラワラと迫り出る敵をシンプルなコマンドを押しまくるだけで薙ぎ倒せるアクションは露骨すぎるまでにそのままだ。しかし真似するだけあって、アクション面の作りはしっかりしており倒した骸骨の骨が音を立てて散らばっていくのは結構気持ち良いし、処理落ちも無いので軽快に戦えるのは結構嬉しい。必殺技も衝撃波を出したり空中に打ち上げて回転切りをしたりとケレン味もたっぷりだ。(ちなみにゾンビと幽霊は特にバラバラになったりとかはしない)
逆に珍しい!徹底したシンプルな作り!
しかし本作はシンプルシリーズ。とにかく作りは簡素だ。
プレイヤーとして扱えるのは主人公のジャック・スパロウもどきたった一人。賊だけど一人だ。仲間はいない。
敵の種類もかなり少なく、成長要素は道中手に入るゲージの最大値を上げるアイテム以外皆無と非常に簡素。その上プレイヤーのアクションも銃や無双で言うチャージ攻撃はあるもののバリエーションは少なく、無双乱舞も無い。(代わりに通常攻撃強化がある)
そんな訳で何度も何度も同じ敵を、似たような場所でいつもの必殺技で倒していく事になっていく。
たまに洞窟などに上陸しストーリーが進むが、道中同じ敵とボスの連続でウンザリする事間違いなしだ。なおかつ序盤は難易度も緩いので、その単調さになんとも言えない虚無感に包まれるぞ。
しかし終盤から話が変わってくる。
なにやらダメージが痛くなっている。敵の攻撃も徐々に激しくなり、敵から受けるダメージも大きくなってくるのだ。次第にボスの攻撃バリエーションが増え。いつのまにかプレイヤーは雑な無双プレイから慎重な操作を課せられていく。
突然の高難易度化
そしてその難易度上昇が最高潮になるのがラスボス戦だ。
ついに本作が自ら無双系である事を捨てて、突然高難易度なボス達との一対一の4連戦が始まるのである。
とにかく硬く強いボスとの連戦は今までの無双アクションを全て捨てさせ、ソウルライクな立ち回りを要求し、これでもかと地獄に叩き落としてくる。
予備動作を見極め、シビアな攻撃タイミングに合わせドッジロールし、落ちている回復薬の管理する。ソウル系ならレベル上げも可能だが、本作にそんなものはなく何度もトライ&エラーで攻撃の予備動作からの回避のタイミングを体に馴染ませなければならない。そんな訳で本作は数時間で終わるボリュームの約半分以上をこのラスボス戦に費やすことになった。それくらい難しかったのだ。
しかもこのゲーム。ラスボスを倒しリザルトが表示された次の瞬間、財宝を手に入れたエンディングも、労いの言葉も無く、突然スタッフロールが流れ出す。余韻もクソもあったもんじゃねぇ!
ちなみにシンプルシリーズではよくあるクリア後のおまけモードなどは一切ない。本作はどこまでもシンプルに徹しているので、どこか物足りなさも感じる。
思えば逆に僕が変なコスチュームの追加や、双葉理保推しだったり、やたら盛り盛りなシンプルシリーズ達に毒されているのかもしれない…。
タムソフトあたりが開発してれば絶対二周目にセクシー女海賊モードがあったはずだ。
そんな訳で当時売れ線な二つ要素を掛け合わせた本作はシンプルシリーズとして間違いでは無い簡素な仕様と、歪なバランスで出来た無双でソウルなアクションゲームでした。
DATA
SIMPLE2000シリーズ Vol.96 THE 海賊 〜ガイコツいっぱいれーつ!〜
発売:D3パブリッシャー
開発:デジタル・ウェア
対応ハード:PS2
発売日:2006年4月6日
ジャンル:3Dアクション