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SF的映画レビュー

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ネタバレだらけの散文のようなレビューです。 旧作から新作、往年の名作から変なサメ映画までいろいろレビューしていきます。
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2019年2月の記事一覧

映画:若おかみは小学生! (2018)ネタバレ有

突きつけられる現実と優しい世界 楽しくも忙しい現実とファンタジーな世界で小学生なのに旅館の若女将というあり得ない生活を送る事になった主人公おっこ。 祖母の旅館の若女将として成長して行きながらも、その下地には両親の死という受け入れられない現実が根付いている。 忘れられるわけがない両親との思い出、若女将として立派になるため受け入れようと努力しつつももまだ甘えていたかった子供ながらの思いが混ざり合う。時にはトラックを見てパニックを起こす。おっこの毅然とした態度と成長、賑やかなファ

映画:未来のミライ (2018)

子供の夢は心のように不条理 なにやら国内と国外で極端に評価が分かれているので、大人の…いや、オタクの汚い好奇心に駆られて視聴。 ネット上で文句の一端を見ていたが本作を見てちょい納得。たしかに整合性は無いし、かなり唐突な展開には理由も語られない。ただ主人公くんちゃんが両親から貰ってきた愛を全て掻っ攫って行く妹の出現から不思議な事が起こりまくる。 でも、なかなか面白い作りをしている。はっきり行って展開は不条理の極み。その理由も仕掛けも本編では語られない。夢の中のような世界で両親

映画:アクアマン(2019) ネタバレ有

超ど直球スペクタクル海底冒険アクション ジャスティスリーグじゃ最も協調性に欠けるサイボーグの次に地味な海坊主アクアマン。 そんな彼が主人公映画が作られると聞いた時は冗談だろ?と思った。だってアクアマンだぜ? …すいませんでしたーっ!!!ホント!誠に!申し訳ない!!! こんなに素直に面白い作品になるなんてマジに思いませんでした!!! アクアマンが生まれるまでのロマンスと悲話にはウルっとするし、様々な種が司る見たことない壮大な海の世界には次はどんな事が起きるかワクワクするし、伝

映画:聲の形(2016) ネタバレ有

過去は変えられないし、やってしまった過ちも変えられない。 誰しもずっとある心の片隅にある。忘れたくても忘れられない償いようの無い罪悪感。 罪悪感を消す方法は人それぞれ。忘れようとする奴、誤摩化そうとする奴、都合良く解釈する奴、他人のせいにする奴、逃げる奴、死ぬ奴。 子供の頃の過ちは大人のように簡単じゃない。裁判や調停では片付けられないし、金でどうこう出来る問題でもない。 そして謝りも許しもしないまま時間が流れる。ただただ頭に消しようの無いモヤだけが残る。 本作の主人公石田の

Vシネマ:女バトルコップ(1990)

復讐!そのために私は蘇った!バトルコップとして! デトロイト…いや、ネオ東京はすでに犯罪組織カルテルの手に落ちた。 組織を邪魔する者は殺される…恋人もそして主人公・御子柴かおるも…。 恋人の残したバトルスーツを身に纏い、かおるは女バトルコップとしてカルテルに立ち向かう。 女版ロボコップじゃん…という野暮なツッコミは置いといて、本作はしっかりとした東映特撮、そしてお子様には見せられないバイオレンス一直線。ヒーローだけど敵は皆殺し、殺し方もいちいちエグいのがたまらない。 そして

映画:ブラックミラー バンダースナッチ(2018)ネタバレ有

選択する罪悪感 Netflixのオススメで現れたのはなんと「視聴者が話の展開を決められる映画」なんて新鮮!なんて斬新!…いやいや、それってプレステの「やるドラ」じゃん!もっと言えば「ゆみみみっくす」じゃん! …でもまぁ発想的には20年以上前からある手法だけど、そんなゲーム的で自由な事ができるのもNetflixの強みですね。 ってこれ映画なのか?ゲームなのか?うーん、よくわからん。 しかし見始めるとやっぱり違う。まずやるドラなどは全編アニメなのに対してこちらは実写、しかも作

映画:アナイアレイション 全滅領域(2018)ネタバレ有

地球の生物誕生は宇宙から来たという説もあるように灯台に降って来た隕石の連中もそんな奴だろう。 連中は自分たちの住みやすい世界にするためなのかわからないが既存生物達の遺伝子をごちゃ混ぜにする。 そんな所に自ら入る事を決めた女達。 結界の中は美しくも不気味で残酷な世界。生物は皆変異し、異形のものと化している。 狂ってしまった人間達、心を取り込む獣、そして美しい動物、植物。 本作はパニックや残酷な描写はありつつも、なるべくドライで静かに描写し、視聴者はこの不思議な世界を主人公レナ

映画:ファーストマン(2019)ネタバレ有

ニール・アームストロングという人 勝手なイメージでは並外れた冷静な指揮能力とコミュ力そして卓越した技術を持ったまさにプロ中のプロ。 と勝手に思っていましたが、本作を見ているとどうも能力は凄いけど表情は変えない、感情も読み取りにくい、あまり映画の主役向きの人ではないのがわかります。まぁ極端な感情の変化は見せますがソレ以外はなんともかんとも。 そんな人が何故家族も自分の命までを天秤にかけて月に行くのか。愛国心なのか、自分のためなのか、それは結局語られないし僕にはわからない。娘の