「21年9月入学」なら、義務教育は短縮必須―根本的な問題はキャリア志向の差
年長を今年9月に小学1年に―幼児教育格差をなくす9月入学移行を希望します
このnoteを書き上げた後、改めて感想や意見を探したところ、やはり9月入学反対派のほうが優勢で、賛成派でも「21年9月入学」しか念頭に入れていない。この場合、高校卒業年齢が海外の1年遅れとなり、日本のハンディとなる。解決策は、既存の6・3・3制を、5・3・3制/6・2・3制/2・6・3制などに変更すること。高校の年数は変えず、義務教育を計8年に短縮するほうが私立学校の経営面の影響が少なく、大学受験対策としても妥当だと考える。
どちらにしても、真の問題は「幼児教育格差」と、親の「大学進学意向の差」にあり、だから議論がかみ合わない。
幼保無償化で幼児教育格差は減るはずだった
通常、私立の幼稚園の幼児教育はとても充実しており、対して公立・民間の保育園は基本的に保育だけ。この格差を埋めるため、既存の保育園・幼稚園のこども園への移行を促す「子ども・子育て支援新制度」が始まった。さらに、3〜5歳児の基本保育料が無料になる「幼保無償化」によって幼稚園・子ども園のニーズが高まった。2019年10月からの幼保無償化は、皮肉にも、休園・登園自粛に協力する最大の後押しとなっている。
幼稚園と保育園には、従来、教育内容に明らかな格差があったのに、今年3月半ば〜4月頃からともに原則休園。専業主婦・主夫世帯の幼稚園児は学びの機会が失われ、共働き世帯の保育園児はむしろ親の休業・家庭保育で、恩恵を受けている。
全数に占める専業主夫世帯の割合は少ないはずなので、女性のキャリア志向の差が「専業主婦世帯」と「共働き世帯」の混在を生み出し、働く女性は、旧態依然の専業主婦前提の学校の仕組みに憤り、同時に冷ややかに見下している。私立中受験対策を始める小3からでも遅れを取り戻せると考え、公立小学校にはそもそも期待していない。
平日に子を預けられるならどこでもいい
ここ数年、モバイルデータ通信のGB単価は下がったため、追加の費用負担は少ないが、本格的なオンライン授業となると、親のつきっきりのフォローが不可欠となり、共働きが成立しなくなる。もし、これまで築いた仕事のキャリアが新型コロナウイルス感染症による休校・登園自粛で失われるなら、経営不振に陥った経営者同様、自死に追い込まれる……。
そもそも、共働き世帯にとって、義務教育の「小学校」は「保育園」の延長、仕事をしている間、子どもを預けるための施設という認識だ。休校解除なら未就学期間の短縮はむしろ望ましく、預けて仕事に専念できればどこでもいい。
「21年9月入学」なら、既存の6・3・3制の見直しは必須。従来通り、4月入学でも、将来的に幼児教育の格差解消に向け、義務教育開始時期の1年前倒しを検討するべきだろう。対して「20年9月入学(年長の入学時期半年前倒し)」なら6・3・3制は維持でき、幼稚園の優位性を保ちながら、保育園児の不利益を減らすことができる。業界の抵抗が少ないのはどちらなのか自明だろう。