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私が今の『マリオ』に満足しているわけ。

「昔は良かった」という単語があるけれど、『スーパーマリオ』シリーズはその逆だと私は思っている。
「昔は酷かった、今が良い」と。なぜそう思うのか昔と比較して語ります。

・ゲームシリーズ編
昔といっても最初に異変が起きたのが96年の『マリオ64』発売後、
2002年の『マリオサンシャイン』が出るまでアクションゲームの『マリオ』が1本も発売されなかった。
その間に発売されたのがパーティゲーム中心で
唯一マリオが冒険の旅に出たゲームがRPGの『マリオストーリー』だけで、挙句の果てにCMで
「なーんか忘れているような…そうだ、冒険だ!!」と言い出す始末。それだけでなく、この間に発売されたアクションはヨッシーとワリオが主人公の『ワリオランド』シリーズで、マリオが主人公のゲームがGBAに至ってはすべて旧作の移植もしくはリメイクで構成されており、やる気あるのか?と
問いただしたくなるレベルのひどさだった。DSになって2006年にようやく2Dのアクションゲームの新作『NEWスーパーマリオブラザーズ』が発売された。

今は2Dマリオの完全新作『スーパーマリオブラザーズWONDER』が発売されており、
3Dは『オデッセイ』以降は単品では途絶えているが、追加シナリオが完全新作の『3Dワールド+フューリーワールド』があるので
実質新作は継続的に出てはいるし、冒険だって『ペーパーマリオ』シリーズや
『マリオ&ルイージRPG』が定期的に出ているので冒険の旅はまだまだ続けている。

・世界観編
マリオの世界観に関しても今と昔でとある問題が起きていた。『スーパーペーパーマリオ』が
任天堂の求めていた『マリオ』シリーズの世界観と大きく異なっていたことや
シナリオの評判を制作会社が聞いていなかったことが原因で以降『マリオ』からストーリーがなくなり、
かつ世界観もキノコ王国もしくは酷似した国だけと固定されてしまい、
キノコ王国より外の世界にもまともに行くこともできず、オリジナルキャラも激減し、
ラストボスもクッパ固定になってしまった。

しかし『3Dワールド』ではサバンナに和風の城、都市の遊園地が登場し、
同スタッフの『オデッセイ』では既存の世界もアプローチを変えてきたり、
ついに都会にまで進出した。あげく久々に月にまで行った。
キャラに至っては『オリガミキング』ではシリーズで初めて復活することのないキャラの「死」が描かれたうえ、
ついにクッパ以外のラストボスが久々に登場した。
その後オリジナルキャラが数多く登場する『スーパーマリオRPG』と『ペーパーマリオRPG』のリメイクが発売され、
ついにマリオの世界観が自由になった。

・キャラ編
キャラクターに関しても昔と比べると異変が。
クッパは2000年代から悪事の規模が大きく収縮してしまっていた。
ピーチを誘拐した理由が「なかよくなりたいから」、悪事を「いたずらするのがいきがい」
(当初は劇の設定で本物のクッパではなかった………はずが)と言い出すようになったり、
『ギャラクシー』では自分の力の誇示のために襲撃や支配をしたり、
スターの生命エネルギーを吸収したりとまともな悪役だったのに、
『ギャラクシー2』では「ビッグなパワー」だのピーチを誘拐した理由がビッグなケーキを食べたいからとか
突然頭の悪い言動を繰り出すようになり、
パーティゲームが増えすぎてマリオたちと仲良くしていたりともはや悪役の威厳も失われ、キャラ崩壊してしまった。
もはやギャグキャラにしてただの「いたずらっ子」になり下がった。
何ならカメックや最悪クリボーら部下の方が思考が悪役らしいし、
『ギャラクシー2』が発売された2010年に発売されたゲームやアニメの悪役は
ほとんどが残虐非道な悪党だらけでその年に限って言えばあのワイリーやエッグマンにも惨敗している。
普段の悪事規模からするともしかしたらばいきんまんやムサシ・コジローにも負けている可能性が高い…。
それどころか『マリオ&ルイージRPG3』では主人公になってしまった。

この迷走ぶりにさすがにファンや任天堂も思うところがあったのか、『マリオ3Dランド』以降は本格的な悪党へ変わり、
ピーチ「以外」の人々を誘拐するようになったり、そのうえで各地で悪事の数々を働いたり、
相手を利用して用済みになれば捨てるなどと己の目的のためなら何でもする
狡猾で残忍な悪役らしいキャラへと生まれ変わった。
また、2002年以降しばらく倒し方も「ヒップドロップで攻撃や仕掛けを動かす」「逃げるだけ」と
カッコ悪い倒され方&マリオが弱くなってしまったという欠点も現在は解消されている。
ピーチ姫も一時期誘拐される理由付けをするためにどんどん変な設定が付け加えられ、
おかげでどんどん人間離れしていったが、これもさすがにマズイと思ったのか、
今は誘拐する理由に触れられなくなったどころか、最悪「誘拐されなくなった」。
時代の変化?では、誘拐されない場合ピーチはどうしてるのかというと、マリオたちと同じプレイヤーキャラになった。
『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』では誘拐されるか否かはルイージとの2択の選択でプレイヤーの任意となった。
つまり、ピーチが誘拐されない場合はルイージが誘拐される。

また、「クッパの息子たち」だったコクッパ達も1993年の『ヨッシーのロードハンティング』から2003年の『マリオ&ルイージRPG』まで
新作の出番が10年以上もなかった。それどころか2002年の『マリオサンシャイン』に至っては
クッパJrというクッパの「一人息子」というコクッパ達の設定を無視したキャラが登場し、いつの間にか子供設定が消滅した。

しかし2009年の『NEWマリオWii』でデザインが一新して大復活、その後RPGシリーズに出演するようになったり、キャラ付けが行われたりとどんどん出番は増え、『マリオカート』でも『8』で全員プレイアブル化し、
『スマブラ』ではクッパJr名義とはいえ、カラーチェンジするとコクッパ達全員が操作可能になるという出世ぶりを果たす。
気が付けばユニバーサル・スタジオ・ジャパンやニンテンドーミュージアムのアトラクションやゲームでその姿を拝むことができる。
かつて姿を消して気が付いたらクッパの子供であった設定も消えてしまったけれど、その存在は今やだれもが知り、世界中の人々が集まる場所で今日も元気に暴れまわって人々を楽しませているのだ。

本来最低限の制限と最低限の情報だけでよかったキャラに余計な事ばかりして
ブランドを固定してしまったり、キャラが暴走していた。
一時期はパーティゲームばかり出していたせいで言語まで子供向けになっていた時期もあったため、
ユーザー管理もあまりうまくいってなかったように見えた。
だけど、今は本家アクションやRPGもバランスよく発売されるようになったため、ブランドイメージのバランスは良くなり、
キャラも辺に凝らせないようになったり、かつ先のバランスの結果クッパのキャラも変化していったり、
キャラの活躍の場を増やしていったりと大きく成長して変わっていった。
私から見ればそんな昔があったから今の『マリオ』がたどり着いてほしい形になり、
そして様々な世代の多くの人々に愛されるキャラになったと思う。

そういう意味では映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー』はその集大成だと思う。
マリオの両親などの「人間」が出てくるキノコ王国ではない、現実の街に生きるマリオ兄弟、
目的こそ小さいがそれまでの間の悪事は国の襲撃や捕えた人々を生贄にしようとしたりするクッパ、誘拐されはするが誘拐よりもマリオを導く立場とその出生の謎にも触れるピーチ姫と…。次回作も楽しみです。

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