寄せ集めでできた、愛おしい家の骨組み
「最後まで見届けるからな」
そう心強い言葉をかけてくれる、助っ人の大工さんたち。
「さあ、建てるぞ。」という前回更新したnoteの「家づくりマガジン」の記事では、惨敗した建て方の初日の様子をお伝えしました。
その後、晴れ間を狙って、建て方初日から4日後…。
建て方2日目が始まったかと思えば、クレーンが一向にやってこないのです。
初日の日に、工務店とレッカーの会社とで「晴れ間を狙って日曜日にしましょう。我々は日曜日でも出勤可能です!」と約束をした、あの瞬間は幻だったのだろうか?と疑問を抱いてしまうくらい、レッカーの会社も日曜日で休みのようで連絡不通で、どうしようもない状況。
しかしながら、建て方をするために集まってくれている工務店メンバーの皆さんと夫は相談した結果、できることをやろうということになりました。
日曜日ということは、すなわち子どもたちが保育園がお休みの日でもあり、建て方2日目を見に行くのを楽しみにしていた日でもありました。
「レッカーこないねえ。レッカーのおじさん、お休みと思って、ごろごろしゆうんやない?」
と言う子どもたち、誰に似たのか鋭い考察で、母ちゃんもそう思うよ。
レッカーなしでの建て方でできることは、刻みの見直しと、ひとまず決めておきたい大黒柱の間を通る桁をなんとか人力で入れてみようかということで、日曜日は男4人で人力の建て方がはじまりました。
すんなり入ることはなく、あれやこれやと刻み直したり、寸足らずのところは試行錯誤でなんとかしながら、大黒柱の間におさまり、気がつけばこの時点ですでに夕刻。
まったく進まないよりは、梁桁が1本でも2本でも入ることで安心感は得られるし、さらに翌日には助っ人大工さん4人も別で建て方に駆けつけてくれることになっているので、結果としては「できることはすべてやった」という感じでした。
工務店としても過去に経験したことのない、そして、おそらく今後も経験することがないであろう、セルフビルド家づくりの現場での仕事は、きっと記憶の片隅に残されていくであろうと思います…。労力かけて、本当にすみませんの気持ちでいっぱい…。
そして、建て方最終日としたい3日目がやってきました。
この日も出遅れて登場した私の目の前に現れたのは、トラッククレーンの勢いのいい音と、梁桁が次々と組み立てられていく、我が家の様子。
「おおー!すごい!」と言わずにはいられない、マイホームの骨組みから、ニコニコな笑顔で出てくる夫・バタ。
「順調やで」と建て方の間でいちばんの笑顔をみせてくれました。
その前日は新居建設地の作業小屋に泊まり込みだったバタ。
まだ終わっていなかった納戸部分の下屋の柱の刻みを終わらせた達成感からか、今日中には必ずや終わらせるという意気込みが伝わってき、その期待を大工さんをはじめとする、地域の林業仲間も全力でサポートしてくれている、まさにチームワークがそこには展開されており、今日という、この日の最後の瞬間がどんな形で終わるのだろうかとわくわくな気持ちで迎えた午前中でした。
トラッククレーンがあるから、梁桁の吊り上げも問題なくできることはもちろん、どんどん進んでいく作業。
「この調子なら、本当に今日のうちに上棟までいける!」
そう確信したのでした。
しかし、お昼ご飯を食べて、しばらくして小屋束を入れる段階になってきた頃…。
「ここのホゾ穴がないー!」
「この小屋束の長さがちがうぞー」
など、おやおや?と思う発言も増えてきてしまい、建て方の進行スピードも降下気味になりはじめてきました。とはいえ、総勢11名の仲間がサポートしてくれているこの日、みんながその場でできることを考えて実践してくれている間に、バタは寸法を間違えていた小屋束を刻み直します。
この小屋束が入らないと、次の母屋や棟木などの重たい部材を入れることができないので、急ぎつつも確実に作業を進めるバタ。
そうこうして、小屋束の刻み直しも無事に終わらせて、バケツリレーのように、刻み直した小屋束が建て方の現場へ運び込まれていき、それをさっそく打ち込む掛矢の音が響きます。
ここからは、比較的順調でみんなで力を合わせながら入れ込まれていく棟木や母屋の数が増えていき、屋根の形がなんとなく見えるようになってきました。
昨日までの建て方の進行スピードが嘘だったかのようにすいすいと作業が進み、今日は果たして棟上げまでいくのかという心配は一瞬で消え去り、16時過ぎの時点で無事に棟上げも完了したのでした。
棟を打ち込む瞬間だけはバタもやりなよ!と仲間が背中を押してくれ、そのときの様子は本当に、友情をアツく描いた漫画やドラマのワンシーンかのようで、遠目に観ていた私もうるっときたのでした。
この日は無理だろうと思っていた納戸部分の下屋の構造材もすべて入れることができ、17時きっかりに作業終了。
いやー、本当にここまできたのかと、自分たちで一から準備を進めてきたセルフビルド家づくりだけど、こうやって形になると、いまだ現実ではないような気もしていて、とても不思議な感覚です。
地元工務店のサポートをはじめ、刻みから応援してくれた左官屋さん、大工さん、そして、地元の仲間たちがいたからこそ、ここまでようやく来れました。
夫婦で切った木を、夫婦でひーこらひーこら言いながら製材をした材をはじめ、私たち夫婦の想いに共感してくださり、通常は個人向け販売をしないという製材所さんからのB品材、地域で眠っていた材、解体される家屋から持ってきた古材など、「ふつうの家」ではありえないほど多種多様な材を使っている、私たちの家。
まさにその様子はパッチワークで、思い入れのある材がたくさんで、これからそういう家の中で暮らしを紡いでいけるのは楽しみでしかありません。
とはいえ、まだ骨組みしかない新居。これからが本格的にスタートです!
どうぞ引き続き、家づくりマガジンにお付き合いください。
また建て方の様子は、私たち夫婦の運営するYouTubeチャンネル「セイカの暮らし便り」でも発信していますので、よろしければこちらもぜひご覧ください。
※ここからは有料マガジン購読者の方のみがご覧いただけます。
(マガジンは買い切り500円と、ちょっといいコーヒー1杯分でお読みいただけます。いただいた購読費はセルフビルドで家づくりの資金に充てさせていてだきます。)
ここから先は
18歳差の林業を営む夫婦がセルフビルドで家を作るまでの過程をまとめた買い切りマガジン。公にしたくないこともあるので、有料で公開していきます…
サポートありがとうございます!私たち夫婦は山を買うのが夢なので、その資金に充てさせていただきます!