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「全館空調」は必須!「全館空調システム」は不要!
全館空調という言葉をよく聞くけど、どういうこと?実際どうなん?導入すべきなん?という疑問にお答えしていきます。
全館空調とは?
全館空調という言葉には、2つ意味があります。
1つ目は、「全ての部屋の温度を一定にする」という意味での『全館空調』。仕組みではなく、考え方という感じですね。
2つ目は、「温度調整された空気をダクト経由で各部屋に供給するシステム」という意味での全館空調。『全館空調システム』と言った方が、正しいですね。
『全館空調』は必須!
1つ目の「全ての部屋の温度を一定にする」という意味での全館空調は、とても良いことです。高気密高断熱住宅を建てるなら、全館空調を実現するのは当たり前かと。
よく例として挙げられるのが、ヒートショックのリスク軽減ですよね。部屋間の温度差をなくして、家じゅうどこにいても快適に過ごせるというわけです。
『全館空調システム』は不要!
2つ目の「温度調整された空気をダクト経由で各部屋に供給するシステム」という意味での『全館空調システム』は、NGです。採用するべきではありません。
『全館空調システム』の多くが、外部から取り込んだ空気を、壁や天井の中に設置された「特殊エアコン」で温度調節し、ダクト経由で各部屋に供給していきます。
NGの理由は2つ。
まず、ダクト給気であること。温度調整された空気をダクト経由で各部屋に供給するので、ダクト内の汚れが懸念となります。ダクト内の清掃を行うのは大変なので、一度汚れたら基本そのまま。
汚れたダクトを通った空気を家族全員が吸い続ける状態になってしまいます。
2つ目は、特殊エアコンの修理費が高いということ。10数年後に故障すると、修理費は数十万円~100万円以上かかるでしょう。ここまで高いと、多くの人が修理せず、家電量販店で壁掛けエアコンを買ってこようと考えます。
全館空調システムは換気の役割も兼ねているので、全館空調システムを止めてしまうと、換気も止まってしまいます。高気密高断熱住宅で、換気が止まるとどれだけ身体に悪いのか?については、以下動画を参照ください。
おすすめする『全館空調』の方法
ダクト排気型の第1種換気+壁掛けエアコンです。
これなら、ダクト内の汚れの懸念もありませんし、エアコン故障時の修理費用も心配ありません。メンテ可能なシステムによって、『全館空調』を実現するのが、賢い選択と言えます。
ダクト給気、ダクト排気については、以下動画を参照ください。
まだましな『全館空調システム』
1~2畳の空調室を、壁掛けエアコンでガンガンに冷やして、その空気をダクト経由で各部屋に供給する『空調室型の全館空調システム』があります。
これは、△ですね。特殊エアコンによる全館空調システムよりましですが、懸念も残るという感じ。
懸念1つ目は、ダクト給気である点です。この説明はもう不要ですね。一旦部屋に空気を入れてからダクト経由で送り出すので、埃の量はまだましだとは思います。
懸念2つ目は、フィルターの数が増えること。家全体で20か所近いフィルターが設置されるので、メンテナンスが大変です。意識高く掃除してくれれば、問題はありません。
ただし、特殊エアコンではなく、壁掛けエアコンを使うので、故障時の修理費用が高くなく、その点は評価できますね。