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文化は寄生する 2024/9/12

ご無沙汰しています。竹内ミズキです。
あたらしいフェスティバルを開催します。

豊岡市に移住して4年目になりました。豊岡の演劇のまちづくりと、演劇教育のためにと意気込んで移住し、気がつけば次の春には大学を卒業します。

2021年3月末に学生寮に入寮し、翌週、とゞ兵というカフェで学生と地域が交流するための演劇WSを主催しました。そこで出会った俳人・岩田奎は、実は私が高校時代に憧れた演劇作品の作者だったということを知り、今もシェアハウスを共にする運命にあります。
岩田奎の紹介で鞄職人の板倉清月に出会います。翌年、清月には強くて柔軟な革を使った世界にひとつだけのオリジナルの鞄を作ってもらいました。私はこれから先何十年もこの鞄を身につけ、この鞄のように強く柔軟な世界にひとつの精神を育もうと戒められています。

5月には大学の最初の公演、こけら落とし公演をプロデュースしました。
8月には万全の感染症対策の中、仲間ともに最初の演劇公演も手掛けました。
9月には演劇によって感謝を伝えていくために学生劇団「但馬旅人生活拠点。」(通称:たじたび)を設立しました。たじたびは、これまで1000人以上動員し、学生による豊岡市民プラザや新温泉町夢ホールでの公演を初めて成功させました。
私は去年代表の座を退き、今年も後輩たちが新作公演の準備を進めています。但馬地域のコミュニティセンターを10会場めぐるツアー公演は今年で3年目になります。毎年10会場で公演をするというのは流石に偉業と言わざるを得ません。
それからも自主公演は続き、豊岡市で私が演出した作品は13作品になります。

それらと並走して学生会執行部といういわゆる生徒会のような団体を作りました。5月から準備を始め、仲間を集め、仲間たちと汗と涙を流しながら、日が変わるまで準備していた寮生活を、私は忘れられません。
私は新しい学生会執行部で副委員長を務め、本学と地域の交流の活性化を図りました。また、初めての学園祭実行委員長も務め、大学がこのまちにある意味について学生と共有してきました。

それから、1年生のうちにサークルを3つ設立しました。
1つは先ほども紹介した学生劇団「但馬旅人生活拠点。」。本学最初にして最古の学生劇団で、劇場や大道具製作室、学内施設の使い方について、劇団員や共同代表が一つ一つ教職員や学生と話し合いながら組み立てていきました。
2つ目は演劇教育研究会。毎週地道に仲間と演劇教育についての理解を深め、昨年には三江小学校150周年記念イベントとして全校生徒・保護者・地域の方に向けて『コウノトリからの手紙』というコミュニケーションワークショップ型公演を実施するに至りました。
3つ目は身体探究サークル。24時間四足歩行で生活したり、車椅子で生活したり、松葉杖で生活したり、学内でフリーハグをしたりしました。間違いなく学内でもっともおかしなサークルでした。なによりたのしかったのは、たまーに集まってみんなで鍋を食べる会です。私の中で数少ない大学生らしい時間をくれました。

2年目からは寮を出て豊岡市日高町江原に移住しました。
共に暮らす仲間として岩田奎、櫻井拓斗、山瀬茉莉、大嵩洸輝が集まり、5人での生活を目指しました。しかし住む予定だった民家が借りれないことになり、住むところを失った私たちは藁にもすがる想いで中田工芸の会長・中田孝一さんにシェアハウスを作ってもらえないか尋ねてみました。

孝一さんは何処の馬の骨とも分からない私たちの話を聞き、シェアハウスを作ってくださることになりました。無茶なことをお願いしてしまいました。
それにも関わらず、「演劇祭で会場として使えるような、スタジオ付きのシェアハウスにしよう」と夢を広げ、壁や天井や床を取り外せないだろかと提案しました。夢を広げるにも程があるだろうと思いますが、孝一さんがそれを面白がってくださり、提案したほとんどそのまんまのシェアハウスを作っていただきました。めぐまれている、という言葉で言い表せないほどすばらしい人と環境にめぐり合いました。

そのとき、私たちに自由なアイディアをファシリテートしてくれたのが建築家・渡辺瑞帆でした。シェアハウスの設計は瑞帆さんが共同代表を務めるガラージュという建築を媒体とするコレクティブが担当し、今でもガラージュやその友人らがシェアハウスへ頻繁に来訪します。シェアハウスは、振付家、ダンサー、劇作家、演出家、建築家、舞台美術家、映像作家、俳人が出没する異形のまま持続しています。プロの建築家の視点とともに、多分野から提案される「家」へのアプローチは、渦をまき、着実に全員の感性を押し上げています。いずれ実体を持って世界中を巻き込んでいくでしょう。(入居者探してます。)

2022年8月に完成したシェアハウス「江原_101」は地域からの注目も集め、いまもたくさんの交流が生まれています。
結果として、豊岡演劇祭2023でミーティングスポットとして開かれたシェアハウス江原_101には、約900人が来場しました。これは豊岡市街地の中心に置かれた「オフィシャルミーティングスポットpresented by 三菱地所」の来場者数を大きく上まわる数字です。江原エリアの演目数は豊岡エリアの半分以下だったにも関わらず、です。
秘訣は、地域住民との関係性です。私たちは日頃からこの場所に住み、地域の行事に多く参加してきました。夏祭り、運動会、ゴミ拾いや掃除、秋祭りでは神輿を担ぎました。その結果、演劇祭のことは知らずとも、地域の方が「なにか賑わっている」と様子を見にきてくれました。
私たちは芸術家であると共に、このまちの住民なのです。

私はそれがとてもうれしかった。
地域の行事に参加し、人と出会っていく中で、このまちはなぜこんなにもいい人が多いんだろうと不思議に思っていました。このまちの歴史を辿ると、江原駅誕生の経緯や、円山川、町役場の役割からその必然性が見えてきます。まちが人を育み、人がまちを育む、だから魅力あふれる人が増え、魅力あふれるまちになっていく、その循環があるのです。
私たちのシェアハウス江原_101もこれと同じ構造になっています。場所と人が複雑に連絡するこのまちだからこそ、今の江原_101があります。

私は、このまちの魅力をもっと多くの人に伝えたいと思うようになりました。
そのために私にできることは何か。このまちはすでに魅力に溢れています。それならば私がすべきことは、人と人が出会い、人とまちが出会う、その機会を作ることです。このまちの魅力はそれだけで伝播していくでしょう。
「人と人が出会い、人とまちが出会う」演劇は、舞台芸術は、フェスティバルはまさにうってつけの装置ではないでしょうか。
幸いにも私たち住民はその分野について専門的に学んできました。だから住民であり、専門職業人である私たちがフェスティバルを開催することにしました。

それが「ヘンテコウィーク」です。

地域の人も、芸術家も、観光客も、みんなが面白がれるヘンテコなプログラムを用意しました。プログラム数は20を超え、会場に来なければ知ることのできないプログラムも複数あります。

私たちは、このフェスティバルを実施するための資金をクラウドファンディングで募ることにしました。
助成金や地域住民・団体からの協賛も募ります。けれども、私はクラウドファンディングをすることにしました。
私は、真剣に、このまちから世界をよくしていくことができると思っているからです。

この数年で人間社会における接触と感染拡大の凄まじさは、苦しいほどわかりました。
しかし、ウィルスだけでなく、文化も人に寄生し、感染する。
今度は憎き人間の感染力を、私たちが世界のために利用していこう。人間がこの世界の魅力に気が付くために利用していこう。苦しみの中で学び、成長しよう。

このフェスティバルはまちと人のためのフェスティバルです。
このまちの文化はこのまちを知った人に感染します。

このフェスティバルが世界最大のアートフェスティバルになることはないでしょう。だから私は人間の力を信じ、世界中の人が世界中の魅力に気が付くために、このフェスティバルを開催します。
存在を知られているだけでなく、ひとりひとりに接触してほしい。受け止めてほしい。育んでほしい。

このまちに訪れることができなくても、ひとりでも多くの方に少しでも広く、大きく、強く感染していきたい。そういう想いでクラウドファンディングをすることにしました。

長くなりましたが、ここまでご拝読いただきありがとうございます。随分と書いてしまいました。
より詳細を知りたいという方は、ぜひ下のリンクからファンディングのページをご覧ください。

お願いします。
私の青さに情けをかけるつもりでかまいません。
どうかご支援ください。ご拡散ください。

クラウドファンディングページ
https://motion-gallery.net/projects/hentekoweek
ヘンテコウィーク公式HP
https://weirdweek.tajima-arts.com/?page_id=51

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