不妊治療がセックスレスの原因になるパターンと解決策
こんにちは、レスの相談やカウンセリングを行っている金子です。
本日は不妊治療とセックスレスの関係について解説いたします。
不妊治療によって、レスになるのはどんなパターンなのか?そしてどんな解決策があるのかということです。
性行為が二人だけのものでなくなる
不妊治療はそれに対応する医師やスタッフとの長期的な付き合いが必要となります。
その中で継続的に体調や性交スケジュール等を記載したシートのやり取りなどが発生します。いつセックスをしたのか知られることにもなります。
アルフレッド大学の調査によればこれらのやり取りがセックスを二人だけの親密なものでなくしてしまうことがあるようです。
性行為をするときに医療スタッフの存在が頭の片隅に浮かんでしまい興奮が冷めてしまう人もいます。
(参照:Sex and Intimacy Among Infertile Couples.)
性行為が義務になる
不妊治療がセックスレスにつながるパターンとしてよくいわれるのがスケジュールを管理することで性行為が義務になってしまうというものです。
最も妊娠しやすい日を狙ってセックスをすることが負担となり楽しめなくなるのです。
ノルウェー公衆衛生研究所が266組のカップルに聞き取りを行ったところ約5分の1が妊娠の見通しの立たない性交渉が無意味なものであると感じるようになったと回答しています。
その他の研究でもスケジュールを決めてセックスをすることのストレスを感じる人が多いことが分かっています。
(参照:Long-Term Psychological Consequences of Infertility: A Follow-Up Study of Former Patients.)
自尊心の低下
不妊治療中に精神的な負担を感じた男性は勃起不全や早漏になることがあります。
また最初の診断で精子に問題があるとされた男性は次回の診断でうまく射精できなくなったり、一時的な勃起不全になる人もいます。
それらの出来事が自尊心の低下につながり「性」に対する自信まで失う可能性もあります。
女性の場合はホルモン治療などの影響により気分が落ち込みがちになったり性的な覚醒が起こりにくくなることもあります。
(参照:Sexual dysfunction in men undergoing infertility evaluation: a cohort observational study.)
セックスとネガティブなイメージが結びつく
不妊治療の中でショックを受けたこととして挙げられるのは医療機関で結果を聞くことです。
期待通りの結果が得られなかったときの失望感は大きなものです。
それが繰り返されるうちに性行為の先に失望する出来事が待っているという条件づけがされてしまうことがあります。
それにより性交渉そのものが嫌になってしまうこともあります。
不妊治療とうつ病
国立成育医療研究センターが体外受精などの高度な不妊治療を開始する女性約513人の精神状態を調べたところ約54%にうつの症状が見られることが分かりました。
治療のための金銭的な負担やいつ授かるか分からないプレッシャーなどが原因と考えられます。
うつ病は性欲の低下や無気力感につながりセックスレスの原因となることがあります。
(参照:Depressive symptoms, anxiety, and quality of life among Japanese women at initiation of Assisted Reproductive Technology treatment.)
不妊治療の終了後の影響
不妊治療はそれを行っているときだけではなく終了した後も夫婦生活の頻度や満足度に影響を与えることがあります。
ブリティッシュコロンビア大学の調査では不妊治療によって子供を授かることのできなかったカップルがその後数年経過した後も性的満足度や生活への満足度が低いままだったという結果になっています。
しかし他の研究では不妊治療がその後の満足度に与える影響はほとんどないという結果も出ていますから個人差があるといえるでしょう。
(参照:Long-Term Adjustment of Infertile Couples Following Unsuccessful Medical Intervention.)
不妊治療によるセックスレスの解決策
不妊治療によるセックスレスを解決するためにはどうすれば良いのでしょうか?
まずは不妊治療によって性的快感が損なわれたりその他のストレスが生じるのは普通のことだと知っておくことです。
そしてそれが実際に生じ辛くなったときに「こういうことが起こって自分はこう感じているのだ」と客観的に捉えることです。
このような視点をメタ認知といいます。メタ認知を持つことは様々な不安やストレスに対処するのに役立ちます。
また不妊症の問題などを研究しているジョアン・ペイリー・ガルスト博士によれば目的のためのセックスと快楽のためのセックスを分けることも有効な対策になるそうです。
妊娠確率の高い日のセックスはそういうものと割り切り、それ以外の日のセックスは夫婦で楽しむためのものとして行うということです。
夫婦で一緒にワクワクするような活動をすることで失われた性的興奮が復活することも分かっています。