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白昼夢

ある日、昼寝をしてると不思議な夢を見た。

建物や車や人どころか、鳥や小さな虫などの生き物の気配すらない荒野の中の一本道のど真ん中に僕は立っていた。

ここはどこなのか、そしてどっちに進めばよいのか全く分からないが、なんとなくこっちかな?という方向に進んだ。しばらく道を歩いていると、遠くの方で人影が見えた。

段々と近付いてきて、男の子と老人の2人がいるということがわかった。
あちらも私に気づき、手を振ってくれている。

更に近づき、段々とその男の子と老人の顔がわかって来ると、私は本当に驚いた。その男の子は幼い頃の私に非常によく似ていたからだ。

そして、老人の方とはと言うと、正に老いた私であった。まぁ正確に言うと私が老いたらこうなるんだろうなと言う推測でしかないが。

2人は私を見て言った。
男の子「どうしたの?そんなに暗い顔をして」

老人「何か話したいことがあれば言ってご覧」

私はあなた方が誰なのかまず聞いた。

男の子「僕は、若い頃のあなたです。」

老人「私は、年老いたあなたです。どうやら昔の私か、未来の私の一方にしか相談することが出来ないみたいだ。」

私は、いま自分が置かれている状況について、混乱しながらも少しずつ把握できてきた。

たとえ夢だとしても、何か変えることができるかもしれないと思い、このチャンスをどう活かすか考えた。

若い僕に相談すれば、過去に起こった事で、こうすればよかったと言うことを助言できるかもしれない。

そして、老いた僕に相談すれば、これから起こる物事を良い方向に持っていくことができるかもしれない。

さぁ、どっちに話しかけよう。

どのくらい悩んだのだろうか、辺りは段々と日が落ち始め、赤紫色の綺麗な雲が空に広がっていた。

そこでようやく私は悟った。どちらに相談をしても意味が無いことを。

私は男の子と老人に、相談は無い事を告げ、進んでいた道をひたすらに進むことにした。

何故人生を変えられたかもしれないチャンスを逃したのかって?そりゃあ今自分が立っている道は分岐の無い一本道なのだから。

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