ゲテモノ料理をご贔屓下さい
私は烏賊が好きだ。
煮ても焼いても揚げても生でも漬けても何をしても美味い。
そんな中で私が烏賊料理の中で群を抜いて好きなのが、烏賊ゴロと下足を醤油と味醂で炒めた「烏賊ゴロ炒め」だ。
調理方法はいたって簡単、烏賊を丸ごと買ってきて、胴体から下足とゴロ(内臓)を引っこ抜く。
胴体は刺身用に皮を引いてラップに包んでアニサキス抹殺対策として一晩冷凍庫へ。
さて、まな板に残ったのは、ゴロつきの下足と、先程の胴体についていた皮である。
食べやすくするために、下足を適当な長さにぶつ切り、食感を良くしたい人はここで目ン玉と嘴を取ると良い。
私は無論そのままである。
食用油を一回し、フライパンを火にかける。
フライパンが熱くなったら、先程の下足とゴロ(内臓)をフライパンへ。
火がある程度通ったら、醤油、味醂をフライパンに投入し、すぐさま蓋をして、蒸し焼きにする。
焦げやすいのでフライパンを振ると良い。
火が通れば完成。
烏賊の旨味に香ばしい醤油がマッチし、更にゴロのコクがプラスされ、悶絶レベルで旨い。
これを妻に勧めたところ
「それっていわゆる"ゲテモノ"でしょ?私はいいや。」
と嫌煙された。
私は落胆した。
こんな美味しいものを、大切な人に受け入れてもらえない。妻は一口も食べることはなかった。
美味しさを共有できない寂しさと、美味しさに恍惚しながらも、"ゲテモノ"という妻と僕を隔てる言葉に腹立たしさ感じながら食べ終えた。
結局"ゲテモノ料理"は、見た目、先入観、により、可食部ではないと判断した多数派の人が作り出した、人を見下すための差別用語なのではないかとすら思う。
今後も、この美味さを理解しようとしない"ゲテモノ"料理という言葉で引き籠もっている奴らを"ゲテモノ"料理を食べながら見下し続けることに私は決めた。