(短編小説)向かいの家のお姉さん
「おはよう、リョウくん。今日も早いわね。」
朝、家の前を掃除していると、向かいの家からセクシーなお姉さんが声をかけてきた。彼女は柔らかい笑顔を浮かべ、軽やかに手を振っている。リョウは少し動揺しながらも、ぎこちなく手を振り返す。
「お、おはようございます、サヤカさん。」
彼女の名前はサヤカ。年齢は不詳で、一人暮らしをしている。いつも上品な服を身にまとい、どこかミステリアスな雰囲気が漂っている。その姿にリョウはいつも目を奪われる。サヤカの笑顔を見るたびに、胸が高鳴るのだ。
「今日は何か予定でもあるの?」
サヤカがこちらに近づいてきた。その動きは優雅で、リョウはますます緊張する。
「いや、特にないですけど…。」
「そうなの。じゃあ、暇な時はうちに遊びに来てね。お茶でもいれようかしら?」
彼女の言葉に、リョウの心臓は一瞬止まったように感じた。普段なら、こんな誘いに乗る勇気なんてないはずなのに、なぜかサヤカにだけは断る理由が見つからない。彼女の大人びた雰囲気に惹かれ、いつもどこか心が揺れるのだ。
「はい、時間があれば…ぜひ。」
「ふふ、待ってるわね。」
サヤカは軽く微笑むと、再び家の中へ戻っていった。その後ろ姿を見つめるリョウは、心の中で複雑な感情が渦巻いていた。彼女のことが気になって仕方がない。だが、それ以上に、彼女が何を考えているのかが全く分からないのだ。
「ただの近所のお姉さんだろ…」
リョウは自分にそう言い聞かせながらも、彼女の一挙手一投足が頭から離れない。
夕方、家の窓から外を眺めると、再びサヤカの家に目が留まる。明かりが灯っているが、誰かと一緒に過ごしている様子はない。一人暮らしの彼女がどうしても神秘的に見えるのは、単に彼女の大人っぽさだけではないのかもしれない。
「リョウ、夕飯できたわよ!」
母の声が聞こえ、リョウはハッと現実に戻った。家族と過ごす温かな時間と、サヤカの不思議な魅力。その二つの世界の間で、リョウは揺れていた。