(短編小説)夕暮れの前進
夕暮れのグラウンドに、風が吹き抜ける。サッカー部の練習試合が終わり、プレーヤーたちはベンチに座り込んでいた。試合は0-1で惜敗。キャプテンの和也は、ゴール前でのシュートを外した自分を責めていた。
「失敗してしまいました…」和也はうつむいてつぶやいた。
横にいたチームメイトの大輔は、すぐに和也の肩を叩いた。「失敗じゃねーよ!」声には力がこもっている。「失敗っていうのはな、諦めたときに使う言葉だ!諦めないでやってきたことは、たとえうまくいっても、うまくいかなくても、それは失敗じゃない!次に進むための前進なんだよ!」
和也は驚いたように大輔を見上げた。これまで彼の熱い言葉を聞いたことはなかったが、その言葉は和也の心に深く響いた。大輔の真剣な眼差しを見つめると、少しだけ肩の力が抜けた。
「次もあるよ、和也。今日のことを学んで、また一緒に頑張ろうぜ。」
和也は小さく頷いた。失敗と思っていたその瞬間が、次へ進むための一歩だということに気付かされた。夕日がグラウンドを赤く染める中、和也の心は新たな決意で満たされていた。