バランスと開示について考える
「バランス(Balance)」とは、<つり合い、均衡。調和。>などと辞書等には記載されています。
資産運用の世界では、「バランス型ファンド」と称されるモノがあります。
こちらは、一般的に、ひとつの資産に偏ることなく、国内外の株式、債券、リート、商品等の複数の資産に分散投資する投資信託を指すとしています。
バランス型ファンドは、2つの種類(「資産配分固定型」と「資産配分変動型」)に大別する事が出来るとされています。
また、バランス型ファンドの利点として以下の2つが一般的とされています。
① 複数の資産に分散投資可能
② 資産配分割合をプロ(ファンドマネージャー)が調整
ちなみに、注意すべき点もあり、①インデックス型ファンドと比較するとコストが割高となる場合があり、②基準価額が変動した際に、その変動要因がわかり難いとされています。
何か納得しちゃいそうですが、<基準価額が変動した際に、その変動要因がわかり難い>のは、投資者がわかり難いだけであって、ファンド運用者はわかっているはずだと思います。
もし、ファンド運用者が、基準価額の変動要因がわからないのであれば、そんなファンドは早々に解約した方がいいと思いますよ笑
通常、運用の現場では日々、ファンドのパフォーマンスに影響を与える事由をモニタリングし、必要に応じて再評価を実施していると思われます。
それらパフォーマンスに影響を与えた事由を一般の投資者に分かりやすく説明しているのが、マンスリーレポート(月報)だと思います。
もちろん、単月のパフォーマンスをもってファンドの良し悪しや、売却などを判断するのは性急すぎると思いますので、投資者側も、冷静に自ら選択したファンドについてしっかりとモニタリングする必要があると思います。
そのモニタリングにあたって、最も必要なのはファンドの運用者からの客観的な情報開示だと思います。
その開示こそが、顧客本位業務運営原則に適うものだと思います。
先日、とある投資信託(ファンド)のマンスリーレポート(月報)を拝見する機会がありました。
このファンドは、ファンド・オブ・ファンズ形式ですので、実態は組み入れているファンドが、その投資信託(ファンド)運用成績となります。
そのマンスリーレポート(月報)には、月末時点での組入ファンドの投資状況(エクスポージャー・上位銘柄・寄与度など)が細かく開示されていました。
ただ、《ファンドマネージャーのコメント》とされている欄には、【投資環境】と【運用経過】が掲載されていますが、【投資環境】は、10行ほどの記述、【運用経過】については3行程度の記載しかありませんでした。
少なくとも、1カ月の運用経過が3行ってどうなんだろうと、公募の投資信託として、いくらファンド・オブ・ファンズでも、受益者への説明責任を果たしている様には思えませんでした。
これは、批判ではないです。
ワタシも資産運用に関わる企業の人間として、改めて顧客本位業務運営原則を再認識させて頂きました。
本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。