
アクティブファンドへの投資で何を求めるか
先日、日本経済新聞電子版に『アクティブファンド、再評価の時~人生100年こわくない・正しくリスクを取ろう(芳賀沼千里)』との記事が掲載されていました。
投稿されている芳賀沼氏は、現在は三菱UFJ信託銀行でチーフストラテジストとして活躍されています。
記事の中では、過去20年、世界手にインデックス運用の資産が大きく拡大しており、先進国株式を対象とすると世界金融危機前の2006年と2024年の比較では、インデックス株式ファンド(含ETF)が0.90兆ドルから17.28兆ドルに、アクティブ株式ファンドは4.14兆ドルから17.28兆ドルと増加しており、インデックス株式ファンドの増加が顕著となっています。
この動きは日本も同様ですが、株式投信では、日本銀行が異次元緩和として株式ETFを累計34.6兆円買い入れたため、日本株ETFの残高は89.4兆円(2024年末)となっています。
ETFを除く公募株式投信でもインデックス型ファンドの純資産が50.1兆円となり、構成比が2014年の10.2%から35.6%に上昇しています。
インデックス運用ファンド増加の主な要因は、低い手数料とされ日本の公募投信の運用管理費はアクティブ運用が1.10%、インデックス運用が0.35%、ETF(含アクティブETF)が0.29%であり、販売手数料もアクティブ運用が2.06%、インデックス運用が0.54%となっています。
また、投資教育の定着に伴って、手数料の重要性が広く認識されるようになっているともしています。
アクティブ運用に対する批判については、ベンチマークを下回る手数料考慮後のリターンにあるとされています。
先日、他の投信との実質的な併合を公表した某日本株ファンドを象徴的に思い浮かべてしまいました。。。。
しかし、株価は常に効率的に形成されているわけではなく、アクティブ運用が超過リターンを上回る可能性があるとし、記事の中では、一つの例として、中小型成長型ファンドがベンチマークを上回る割合が5年間で72.5%となるそうです。
記事の中では、さらにアクティブ運用が有利な局面について紹介されています。
米国の株式ファンドでは、アクティブ運用のリターンは1990年代前半と2000年代に相対的に高く、1990年代後半と2011年以降、相対的に低いとの事です。
アクティブ運用は株価上昇局面でインデックス運用に負けるが、ボックス圏・調整局面では相対的に高いリターンを上げる傾向があるとしており、その他にも限られた銘柄が相場をけん引する局面でアクティブ運用がアンダーパフォームし、幅広い銘柄が買われる局面ではアウトパフォームする傾向にあるともしています。
「2010年代中頃以降、GAFAMやマグニフィセント・セブンと称された超大型株が力強く上昇し、アップルやエヌビディアの時価総額は一時S&P500の7%超を占めた。アクティブ運用が勝てない相場であったといえる。」としています。
最後に、記事では「投資に何を求めるか」としており、「アクティブ運用には多様な手法があり、ファンドの選択が簡単ではない。過去のパフォーマンスと共に、運用哲学や運用プロセスを見定める必要がある。同時に、投資家は有価証券・株式投資に何を求めるかを明確にする必要がある。」と締めています。
アクティブ運用が有利な局面と不利な局面があり、それに合わせて投資する戦略を変えるのは、投資の基本としては機を見ての戦略変更が正しいとは思えません。
最終的には、アクティブ運用にしても、インデックス運用にしても、芳賀沼氏の言う「投資に何を求めるかを明確にする」ことが必要なのだと思います。
特に、資産運用における「5つのP」をしっかりと見極めることが大切だと思います。
一般的なPは以下の次の5つです。
1.Philosophy(フィロソフィー):投資哲学など
2.Process(プロセス):運用・銘柄選択などの投資プロセス
3.Portfolio(ポートフォリオ):投資対象の構成比率など
4.People(ピープル):運用のみならずバックオフィスまで含めた人材
5.Performance(パフォーマンス):運用実績
本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。