注意力
我が家でうさぎを飼いだしたのは、今から20年以上も前のことです。その頃は、うさぎのペットとしての認知度は非常に低くて、ペット用品が溢れかえっている猫や犬の売り場に、申し訳程度にチョコっと商品が置いてあるだけでした。
そして、うさぎを診てくれる医者はほとんどいませんでした。
一所懸命探してやっと見つけても、実はうさぎをあまり知らない獣医ばかりでした。ところが、一軒見つかったら、獣医院が今度はやたら目に付くようになったのです。
今までは、ペットに縁のない生活をしていたので、獣医院が有っても目に入っていたとしても、注意がそちらに向いていなかったので、意識に刻み込まれていなかったのですね。
ところが、飼いだしてみれば、こんなにも医者はいたのだということが分かったんです。
それと同じことを、ごく最近も経験しました。
2年前の6月に変形性膝関節症を患ってしまい、医者に通い詰めていましたが、一向に改善しないどころか、歩行が困難になってきてしまいました。そこで、やむなく杖を購入したのですが、杖を使いだすと、周りにこんなにも杖のご厄介になっている人がいるんだと驚くほどの杖人口を目にしました。
ある時、電車の優先席の前に立っていたら、目の前の人は(3人掛け)は全員杖のご厄介になっていたのです。
これも、自分にとっては新たな驚きであり、いっぺんに杖人口がこんなに増えるはずもありませんから、やはり関心が向いていないときには、目の前に事象があるにもかかわらず、意識には引っかかってこなかったのですね。
何にでも興味を示す自分に飽きれていましたが、実はちっとも実態を認識していないことに気付かされて、愕然としただけでなく、興味の対象はあくまでも、自分の趣向の狭い範囲に限られていたことに、改めて認識した次第。
やはり、自分一人で物を判断するのは、よほど広範な知識を持っていなければ、正しい回答は得られないものだと、強く感じました。
謙虚でなかったってことです。