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【News:速報=『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督らに日本映画史上初の脚本賞と20年ぶりの独立3賞、第74回カンヌ国際映画祭(2021)】*現地からの速報写真満載!

 フランス南部の避暑地カンヌで開催されていた第74回カンヌ国際映画祭の授賞式がフランス時間7月17日(日本時間18日未明)に行われ、村上春樹の短編映画を映画化しコンペティション部門に正式出品されていた日本の濱口竜介(Ryusuke Hamaguchi)監督作品『ドライブ・マイ・カー(Drive My Car)』(8月20日日本公開予定)で共同脚本を担当した濱口監督と脚本家で映画監督の大江崇允(たかまさ)が脚本賞を受賞した。カンヌ国際映画祭での脚本賞受賞は日本映画では史上初めて。ワールドプレミア(世界初上映)となったカンヌでの公式上映では上映後の約5分間スタンディングオベーションが鳴りやまず、世界中の批評家や映画関係者による現地紙の作品評価でもトップにランクされていたため、何らかの主要賞の受賞が有力視されていた。『ドライブ・マイ・カー』は授賞式に先立って発表された国際映画批評家連盟賞とエキュメニカル審査員、AFCAE賞の独立賞3賞も受賞した。
 最高賞にあたるパルムドールには幼少時に頭にチタンを埋め込まれた女性の過激で繊細な人生を描いたフランスのジュリア・デュクルノー監督の『チタン』が選ばれた。パルムドームを受けた女性監督は史上2人目だという。

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★受賞スピーチに臨む濱口竜介監督=gettyimages

★授賞式後のフォトセッションで撮影に応じる濱口竜介監督=gettyimages

★受賞後に記者会見で答える濱口竜介監督=gettyimages

 共同受賞となった大江は『適切な距離』や『アスリート ~俺が彼に溺れた日々~』などの映画で監督を務めたほか、『恋のツキ』などのテレビドラマで脚本を担当した。キャリアの初期には映画プロデューサーも務めている。

 『ドライブ・マイ・カー』は、総合誌「文藝春秋」の2013年12月号から2014年3月号までに立て続けに発表された連作短編小説「女のいない男たち」シリーズの1作目が原作。
 2014年4月に短編集「女のいない男たち」として発売された単行本に収録されている。
 映画化にあたって、他の村上作品の要素や濱口監督らの独自の解釈も加味され、濱口監督と大江が脚本を執筆した。

 主人公は10年ほど前に妻の音(霧島れいか)を亡くし、深い喪失感の中にいる舞台俳優で演出家の家福(西島秀俊)。接触事故を起こして免停になったことから、若い女性の運転手、みさき(三浦透子)を紹介してもらうことで物語が動き出す。みさきは寡黙で愛車を丁寧に扱ってくれる。家福はそのことが気に入って専属運転手になってもらった。
 そんなある時、みさきから「友達をつくらないんですか」と聞かれ、妻と何らかの関係があったであろう俳優の高槻(岡田将生)が根津美術館裏の小さなバーで話し始めた妻とのあるエピソードについて家福が語りだす…、という物語だ。

 濱口作品がカンヌでコンペ部門に出品されるのは2018年公開の『寝ても覚めても』(出演:東出昌大・唐田えりか)以来2度目で、濱口監督は今年3月にはカンヌと並ぶ世界的映画祭の第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門でオムニバス作品『偶然と想像』が最高賞の次点にあたる銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。昨年9月に開かれた第77回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清の映画版『スパイの妻』では脚本を担当しており、欧州では高評価の状態にあった。

 カンヌ映画祭は、新型コロナウイルスの影響で昨年は従来の形での現地開催を見送り秋にイベントのみの開催に追い込まれたが、今年は例年の5月から7月に開催時期を遅らせ、感染対策を徹底して実施にこぎつけた。
 長編コンペ部門には24作品が出品されていた。
 審査員長は米国のスパイク・リー監督が務めた。

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