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ラグビーの試合中に脳震盪を起こし、その後亡くなった少年の父親のメッセージ

 現代医学は全ての傷病の犠牲者の上に成り立っていると言っていいと思うが、私は尊い犠牲者という言葉を使いたくない。

 自分の子どもが不慮の事故により失われたときの絶望は計り知れない。亡くなった子を持つ親がそのことを尊い犠牲と思えるだろうか?

 しかし、もし未然にその事故を防げる方法があったならば、当事者に起きた悲劇を伝えて将来起こりうる事故を防ぎたいと思うのは当然だと思う。スポーツ事故でお子さんを失ったり、重い障害を負ったお子さんを持つ親御さんの多くが同じことを繰り返してほしくないと声を上げられている

 知識さえあれば未然に防げる事故やリスクに対してなんの対策もされていないのなら、それは声をあげて訴えるべきだ。未来の子どもたちのために。

 今日、また悲しいニュースを知りました。ラグビーのプレイ中に起きた脳震盪で14歳の息子さんを失った父親の記事です(BBC UK)。

Concussion: Father calls for mandatory brain injury lessons
脳震盪:その父は、脳損傷について学ぶことの義務化を求める

All school pupils should receive mandatory lessons about the dangers of concussion.
全ての学生が脳震盪の危険性について学校の授業で学ぶことを義務化すべき。

 以下に記事を紹介します。
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That is according to the father of a 14-year-old from Carrickfergus who died after suffering concussion in a school rugby match in 2011. Benjamin Robinson's father Peter gave evidence to a Westminster committee inquiry into concussion in sport. MPs said that sport had been allowed to "mark its own homework" on reducing the risks of brain injury.
Rugby death first of its kind in NI
Father backs new concussion in sport rules
They also said there should be a UK-wide protocol for dealing with concussion across all sports. 

 これは、2011年に学校のラグビーの試合中に脳震盪を起こし、その後亡くなった、英国キャリファーガス出身の14歳の少年の父親によるものです。
 ベンジャミン・ロビンソンの父、ペーターは、スポーツにおける脳震盪に関するウェストミンスター委員会の調査へ証拠を提出しました。議員たちは、脳損傷のリスクを軽減するためにスポーツは"自らへ課題を示す"ことができるはずだ、と述べました。

 また、すべてのスポーツにおいて、脳震盪に対処するために英国全体に統一されたプロトコルがあるべきだと述べました。

Benjamin suffered repeated concussions when playing rugby for his school before dying in the Royal Victoria Hospital in 2011. A subsequent inquest ruled that Benjamin had died due to second impact syndrome. The syndrome happens when a blow causes swelling to the brain before it has recovered fully from an earlier injury.
'This has to stop'
Benjamin's father Peter Robinson has since campaigned for more awareness of the dangers of brain injuries in sport. He also helped draw up Sport Scotland's "If in Doubt, Sit Them Out" guidelines on dealing with concussion. In written evidence to the Digital, Culture, Media and Sport (DCMS) committee, Mr Robinson said that "if Benjamin had been removed after his first injury he would have survived".

 ベンジャミンさんは学校でラグビーをしていたときに繰り返し脳震盪を起こし、2011年にロイヤル・ヴィクトリア病院で亡くなりました。その後の検死で、ベンジャミンの死因はセカンドインパクト症候群だと判断されました。セカンドインパクト症候群とは、以前に受けた傷害から完全に回復する前に受けた衝撃によって脳が腫れてしまうことを言います。

'This has to stop'
‘これは止めるべきだ’

 ベンジャミンの父親であるピーター・ロビンソン氏は、スポーツにおける脳損傷の危険性について、より多くの人に知ってもらうためのキャンペーンを行ってきました。また、Sport Scotlandの “疑いがあるときは, 参加せず "の作成にも携わりました。ロビンソン氏は、デジタル・文化・メディア・スポーツ(DCMS)委員会での書面による証拠として、「もしベンジャミンが最初の負傷後にすぐ復帰していなければ彼は生き延びていただろう」と述べています。

He also said he had been calling for mandatory lessons in schools since Benjamin's death. "This still has not happened," he said. "Educating the next generation is the only way we can change the culture around how we deal with brain injuries.
"I am a qualified football coach and I still see brain injured kids being asked 'are you ok to play on?' This has to stop."
Schools in Northern Ireland were provided with lesson plans and resources to teach pupils about the dangers of head injuries in 2015.
However, the lessons are not compulsory.

 彼はまた、ベンジャミンの死後、学校の授業で教えることの義務化を訴えていました。
「しかし、いまだに実現していません。」彼は言います。
次の世代を教育することが、脳損傷への対応をめぐる文化を変える唯一の方法なのです。
 私はサッカーのコーチの資格を持っていますが、いまだに脳にダメージを受けた子供たちが『プレーを続けても大丈夫ですか?』と聞いてきます。
こんなことは止めなければなりません。

 北アイルランドの学校には、2015年に生徒たちに頭部外傷の危険性を教えるための授業計画と資料が提供されました。
しかし、この授業は必修ではありません。

'Failure to address the issue'
‘問題の周知の失敗’

MPs on the DCMS committee were critical of sports governing bodies and the government for failing to address the issue of brain injury in sport.
They said that the UK government should work with "the devolved governments in Scotland, Wales and Northern Ireland to develop, in the next 12 months, a UK protocol for concussion across all sport".
They also said there had been "a broader failure to address the issue of acquired brain injury in sport". Their report called for a standard definition of concussion that all sports must use, and a paid medical officer at every major sporting event. The MPs heard and received evidence from former athletes, scientists, doctors, players' unions and the governing bodies for various sports as part of their inquiry.

 DCMS委員会の議員は、スポーツにおける脳損傷の問題を周知しなかったスポーツ団体と政府を批判しました。

 また彼らは、「英国政府はスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの分権政府と協力して、今後12カ月以内に、すべてのスポーツにおける脳震盪に関する英国のプロトコルを策定」すべきだとしています。

 また、「スポーツにおける後天的な脳障害の問題に対して広範囲な失敗が見られる」とも述べています。

 この報告書では、すべてのスポーツが適用しなければならない標準的な脳震盪の定義と、すべての主要スポーツイベントに、医療担当者を雇って配置することを求めています。議員たちは、調査の一環として、元アスリート、科学者、医師、選手会、各スポーツの統括団体などから証拠を入手しました。

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以上、記事より。


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