nana the rider

2児の父です。長男がサッカーのヘディングが原因の硬膜下血腫と診断されました。育成年代のサッカー環境や心と身体の安全について選手と保護者が学びあうためのコミュニティ『フットボールファミリー・ユナイテッド』を運営しています。

nana the rider

2児の父です。長男がサッカーのヘディングが原因の硬膜下血腫と診断されました。育成年代のサッカー環境や心と身体の安全について選手と保護者が学びあうためのコミュニティ『フットボールファミリー・ユナイテッド』を運営しています。

マガジン

  • 少年サッカー、そして怪我のこと

    長男がサッカーのヘディングが原因の硬膜下血腫と診断され現在治療中です。ひとりでも多くのサッカー関係者、指導者に、低年齢児の頭部への衝撃リスクや、子どもの人権についての理解が進むことを願っています。

  • 我が家とリバプール

最近の記事

スポーツで繰り返し起きる頭部への衝撃が変性性脳疾患(CTE)を引き起こすとの研究結果

以下記事訳: 研究者らは、脳疾患であるCTEが、タックルやボールヘディングを伴うスポーツ中に繰り返し頭部に衝撃を受けることで発症する「決定的な証拠」を発見したと発表しました。 主なポイント: この研究は、世界中のCTE研究を照合し、過去に喫煙と肺がんを関連付けるために使用された基準で確認を行なった。 研究者たちは、反復的な頭部衝撃がCTEを引き起こすという「最大の科学的確信」を持っているとする。 研究者らは、ジュニアスポーツにおけるタックルおよびヘディングの禁止を呼び

    • サッカーにおける認知症について:リスク軽減の方法を見極めるため元サッカー選手への調査が始まる(BBC Sports Newsから 4/25, 2022)

      (原文は最後) 元サッカー選手の認知症発症リスクを軽減する方法を調査するために、新しい認知症研究が開始されました。 この研究は、(グラスゴー大学の)ウィリー・スチュワート博士が主導します。博士のこれまでの研究により、元プロサッカー選手が認知症で死亡する確率は、一般の人の3.5倍であることが分かっています。 4年間にわたり130万ポンドの費用を投じて、BrainHOPEスタディはこの調査を基に行われます。 この調査は、FAとFIFAが共同で資金を提供し、40歳から59歳の元プ

      • 初めて『車出し』をするパパさんママさんへ

         これは私の実体験に基づいたお話です。  最初に結論をお伝えすると、保護者の車出しのお願いが来たとき、いちばん最初にすべきこと、それはご自身が加入されている自動車保険内容のチェックです。そして、万が一の事故の際にご自分の家族以外が補償される内容でなかった場合は、「同乗者障害特約オプション」に加入することをオススメします。私の場合は月額300円プラス程度でした。  理由を説明します。  以前息子が所属していたサッカー少年団で初めて車出しをお願いされたときのこと。私が真っ先

        • スポーツ指導の右や左について

          右往左往 2020年11月にスタートした(と書いてもうすぐ1年たつことに気がついた)、フットボールファミリー・ユナイテッド(以下ファミユニ)の活動を通じて、これまで様々な立場でご活躍されている方にお話を聞く機会に恵まれ、指導者、競技者、ジャーナリスト、それぞれの見方や考え方を知ることで、保護者の視点で見ていた景色が少しずつ変わってきました。 僕がファミユニを立ち上げた動機は、ヘディングのリスクに限らず、オーバーユースや熱中症など深刻な事故や怪我は、指導者と保護者の知識によっ

        • スポーツで繰り返し起きる頭部への衝撃が変性性脳疾患(CTE)を引き起こすとの研究結果

        • サッカーにおける認知症について:リスク軽減の方法を見極めるため元サッカー選手への調査が始まる(BBC Sports Newsから 4/25, 2022)

        • 初めて『車出し』をするパパさんママさんへ

        • スポーツ指導の右や左について

        マガジン

        • 少年サッカー、そして怪我のこと
          8本
        • 我が家とリバプール
          3本

        記事

          公園の右と左

          先日、知り合いに素敵なスポーツ公園を教えてもらいました。 そこは、台風などで河川の水位が限界を超えたときに水没して周囲の住宅地に被害が及ばないようにするための遊水地となっているのですが、広大な敷地の7割くらいが芝生で、サッカー、バスケ、野球、テニス、などの専用コートや、小さな子ども向け遊具のある公園まであります。 芝生の手入れの良さや雰囲気がどことなくイギリスの公園に似ていて、芝、池、樹木や草木のバランスがすごく良いし、日本の公園にありがちな注意書きだらけの看板も広さのせ

          公園の右と左

          初のヘディングなしサッカーの試合が世界で議論のきっかけに。(NR TIMES)

          先週日曜(9/26)に英国で開催された、ヘディングなしのサッカーの試合について、早速ニュース記事があったのでご紹介します。 注)記事中のビル・ゲイツさんはあのビル・ゲイツさんではありません 初のヘディングなしのサッカーの試合が世界で議論のきっかけに。 サッカーにおけるヘディングの危険性を認識してもらうために、ヘディングを禁止した初の成人向けサッカー試合が開催され、国際的にこの問題についての議論が行われました。 ビル・ゲイツ・セレブレーション・トロフィーでは、元プロ選手

          初のヘディングなしサッカーの試合が世界で議論のきっかけに。(NR TIMES)

          英国で、認知症対策のための試験的な取り組みとして、元プロ選手によるヘディング禁止のサッカー試合が初めて行われました。

          私はたまたま、サッカーのヘディングによって脳内出血を起こしてしまった子どもの親であるだけで、科学者でも医者でもありません。 しかし、たとえ素人であっても手に入る情報を調査してみると、スポーツによる脳のダメージについてはまだ研究中であることがわかります。例えば脳震盪について言えば、過去に看過されていたこと(脳震盪を起こしても歩けるようになれば大丈夫)が、医学的にはそうではなかったこと(短い期間のあいだに次の衝撃を受けると致命的となる=セカンドインパクト)が明らかになり、競技へ

          英国で、認知症対策のための試験的な取り組みとして、元プロ選手によるヘディング禁止のサッカー試合が初めて行われました。

          ラグビーの試合中に脳震盪を起こし、その後亡くなった少年の父親のメッセージ

           現代医学は全ての傷病の犠牲者の上に成り立っていると言っていいと思うが、私は尊い犠牲者という言葉を使いたくない。  自分の子どもが不慮の事故により失われたときの絶望は計り知れない。亡くなった子を持つ親がそのことを尊い犠牲と思えるだろうか?  しかし、もし未然にその事故を防げる方法があったならば、当事者に起きた悲劇を伝えて将来起こりうる事故を防ぎたいと思うのは当然だと思う。スポーツ事故でお子さんを失ったり、重い障害を負ったお子さんを持つ親御さんの多くが同じことを繰り返してほ

          ラグビーの試合中に脳震盪を起こし、その後亡くなった少年の父親のメッセージ

          中学生のお子さん、くも膜嚢胞 + サッカーのヘディングが原因とされる慢性硬膜下血腫による緊急手術

           先日、朝日新聞の記事をご覧になった中学生のお子さんを持つお母様より、私が運営するコミュニティにメッセージをいただきました。  今年の4月、息子さんがくも膜嚢胞が原因と見られる慢性硬膜下血腫の診断を受け緊急手術をされたとのこと。原因はサッカーのヘディングが原因だと言われたそうです。  経過は良好で現在は元気に学校へ通われているそうですが、サッカーをプレイする子どもたち、保護者、指導者の皆さんにも、お子さんが手術に至るまでの経緯や症状を知っていただ

          中学生のお子さん、くも膜嚢胞 + サッカーのヘディングが原因とされる慢性硬膜下血腫による緊急手術

          ジュニアサッカーママさんから相談されたチーム移籍トラブルについて

           サッカーのヘディングが原因とされた息子の怪我(硬膜下血腫)と、その原因となった脳内の先天性の水溜り(くも膜嚢胞)の発見がきっかけで、2020年11月にオンラインコミュニティフットボールファミリー・ユナイテッドを立ち上げて情報発信を始めて以来、新聞の取材を受けたりオンラインイベントへの参加依頼を受けるようになった。  コミュニティを立ち上た理由は、 1. ジュニアサッカー現場の小さな声を保護者や関係者へ届けたい 2. 息子のように頭部に先天的なリスクを抱える子どもの存在を

          ジュニアサッカーママさんから相談されたチーム移籍トラブルについて

          【19歳のサッカー選手、ヘディング事故で引退】

          【19歳のサッカー選手、ヘディング事故で引退】2021年2月23日 BBC SPORTより 英国の19歳プロサッカー選手、ヘディング後の症状により引退を余儀なくされました。今年7月練習のヘディングにより、小さなけいれん、視界の喪失、半身が痺れるなどの症状が出て病院へ。復帰後も再発しそのまま引退。 私が記事の中で、この19歳の青年に強く共感したのはこの部分です。 「今、僕の目的は他の人を助けることだ」 「もし、僕がより多くの人を、その暗い闇から救うことができるのなら、そ

          【19歳のサッカー選手、ヘディング事故で引退】

          ヘディングのリスクについて:追記と整理

          先日取材を受けた際に、息子の怪我とヘディングのリスクに関して私の考えを聞かせて欲しいと質問を受けたので、改めてこれまで調査してきた情報を整理しました。 私がサッカーにおけるヘディングのリスクに関して調査を始めたのは、息子が「硬膜下血腫」と診断された2020年3月のこと。 そのひと月前、英国でサッカーをプレイする子どもに対して練習中のヘディングが禁止されました。その理由は息子のケースとは違いますが、いずれの場合も脳を損傷するリスクがあることに変わりはないと理解しています。

          ヘディングのリスクについて:追記と整理

          当事者バイアスはいったん脇へ置き - ヘディングのリスクについて

          発信のモチベーション私が実名で「小さな子どもたちにヘディングさせるのは危ないよ」と声をあげ始めたのは2020年の夏。そこに至るまでの経緯は繰り返し書いてきたので省略するが、息子がサッカーのヘディングが原因とされる重症の怪我(硬膜下血腫)を負ったからだ。 2020年の夏時点で、英国や(2020年2月)アメリカ(2015年11月)のようにヘディングを規制する動きは日本国内で見られなかったし、2021年1月現在も、JFA(日本サッカー協会)から育成年代におけるヘディングについてガ

          当事者バイアスはいったん脇へ置き - ヘディングのリスクについて

          子どもの話を聞いてくれる大人がいたパーティーハウス(実家)

           noteでいつか、亡き父の思い出を書こうと思っていた。  父は昭和18年(1943年)、太平洋戦争終戦の2年前に生まれた。食べ物に困ることが多かったそうで、子ども時代、コメの代わりに食べさせられたサツマイモが嫌いだと言っていた(当時のサツマイモは今のような美味しいものではなかったそうだ)。  子だくさんの家の末っ子として生まれ、実母は生後すぐ他界、よその家に預けられ、家庭のあたたかさや両親の愛を知らずに育ったという話を母から良く聞かされた(母は正反対の箱入り娘で、違った

          子どもの話を聞いてくれる大人がいたパーティーハウス(実家)

          「自分の考えを相手に伝えるのが当たり前」ではない国の場合。

           先日、すごく共感したnoteの投稿に対して、それを書かれた人がTwitterで批判?というか言いがかり?を受けているのを見てとても残念な気持ちになりました。  でも、その方のコメント欄に書くにはあまりにも長くなってしまったので、自分のところへ投稿することにしました。  もうかれこれ40年以上、小さな頃からずっと抱いている違和感なのですが、日本にいながら「自分の考えを相手に伝えるのが当たり前」という行動を取ると、十中八九浮きます。攻撃されます。もしくはスルーされます(異論

          「自分の考えを相手に伝えるのが当たり前」ではない国の場合。

          治療から、リスクマネジメントへ

          【ご報告】 今年の8月、noteを始めたきっかけは息子の怪我でした。  投稿を公開してから、我々親子へ本当にたくさんの励ましの言葉いただきましたことを心より感謝しております。ありがとうございました。  本日は、息子の治療が無事終了したことをご報告させていただきます。  あれから7ヶ月治療を続け、10月に4度目のMRI検査を受た結果、大人の手のひらほどあった血腫は完全に消えました。  おかげさまで息子はとても元気にしています。普通の生活ができて、蹴って走ることもできま

          治療から、リスクマネジメントへ